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停戦交渉が難航する中、ガザの衝突は収束せず

イスラエル軍とパレスチナ武装勢力の衝突が続く中、ガザ地区中央部の町デル・アル・バラで、イスラエル軍の空爆により損傷した建物。(5月12日、ロイター)
イスラエル軍とパレスチナ武装勢力の衝突が続く中、ガザ地区中央部の町デル・アル・バラで、イスラエル軍の空爆により損傷した建物。(5月12日、ロイター)
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14 May 2023 07:05:33 GMT9
14 May 2023 07:05:33 GMT9
  • イスラエルはガザ地区の軍事施設や民家の他、農地や空き地等各地を爆撃した。
  • 合計51戸の住宅が完全に取り壊され、940戸が部分的に破損し、49戸が居住に適さない状態になっていると関係者は述べた

ハゼム・バルーシャ

ガザ:カイロで行われている停戦交渉に進展がないまま、イスラム聖戦とイスラエルとの戦闘は5日目となる13日も続いた。

イスラエルはガザ地区の軍事施設や民家の他、農地や空き地等各地を爆撃した。

先週9日に今回の戦闘が始まって以来、15の住宅街区が破壊されたとガザ当局は13日に発表した。

ある関係者が述べたところによると、合計51戸の住宅が完全に取り壊され、940戸が部分的に破損し、49戸が居住に適さない状態になっているという。

被害額は推定で約500万ドルにのぼるとされている。

ジャーナリストや活動家がソーシャルメディアで公開した動画には、イスラエル軍機がガザ地区の北から南にかけて多数の家屋を爆撃している様子が記録されている。

イスラエルは、イスラム聖戦の幹部やメンバーを殺害する目的で爆撃を行う場合を除き、標的とした家屋を破壊する直前に住民に避難するよう通告を行っている。

エンティサール・アル・マスリさん(67)は、イスラエル軍が家族に自宅のある建物を明け渡すようにと電話で伝えてきたと隣人から聞いた、とアラブニュースに語った。

アル・マスリさんと家族は何も持たずに自宅から逃げ出し、精神的にもショック状態に陥ったという。

「私たちは裸足で、家にいたそのままの格好で逃げ出しました。30分後、ロケット弾が降り注ぎ、私たちの家は完全に破壊されてしまいました」

アル・マスリさんの自宅があった建物は、ガザ地区北部のイスラエル境界フェンスから約3km離れた場所にあり、女性や子どもを中心とした5家族計19人が住んでいた。

「家は人生の楽園といいます。40年間所有し、愛してきた場所を失った喪失感を克服するのは、それが神の意志だったと思ってはいても、とても難しいことです」とアル・マスリさんは語ったは述べた。
イスラエルは、これまでの戦争や衝突においても、パレスチナ武装勢力に圧力をかけるために住宅地を破壊したとして非難されている。

イスラム聖戦の軍事部門「アル・コッズ旅団」は、「暗殺が続き、アパートや隠れ家が爆撃される事態に直面し、パレスチナの抵抗勢力は、占領都市へのミサイル攻撃を再開する」と反撃の意図を鮮明にしている。

「(パレスチナ人の)レジスタンス勢力は何ヶ月にも及ぶ対決への用意ができており、士気は高く、民衆の支持を得ている」

一方、ガザ地区で12日にイスラエル軍に殺害された軍司令官イヤド・アル・ハッサニ氏の葬儀には、数百人のパレスチナ人が参列した。イスラエルによるパレスチナ人組織高官の殺害は、現在の衝突が始まって以来アル・ハッサニ氏で6人目となる。

イスラム聖戦は、停戦交渉の失敗を受けて、13日もイスラエルの町や都市に向けてロケット弾を発射している。

アラブやイスラエルのメディアは、様々な情報源を引用しながら、エジプトが主導する停戦交渉は、宣言の文面作成の最終段階で合意できなかったために頓挫したと伝えた。

パレスチナの代表は、イスラエルに対し、パレスチナ高官の暗殺を止めることをまず最初に約束するよう要求しているが、イスラエルはこれを拒否し、「平和的に対処するのは平和的な者に対してのみだ」と述べている。

 

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