ラマッラー：エルサレムでの「国旗の日」の行進を翌日に控えた17日、イスラエル全土やヨルダン川西岸地区、ガザ地区が緊張に包まれた。エルサレムでの暴力的な衝突に対する恐れが生じるとともに、パレスチナの「イスラム聖戦」とイスラエルが合意した停戦が破られる懸念が生じている。

18日午後の行進は、1967年の東エルサレムの掌握とそれに続く支配をイスラエルの極右が年に一度祝う行事だ。イスラエル政府は、当時の事件をエルサレムの「再統一」と称している。

17日、イスラエル警察が東エルサレムと旧市街の警備を強化する一方で、主要道路には軍の検問所が設けられ、3000人体制で行進の警備にあたる。

イスラエルのベンヤミン·ネタニヤフ首相は、問題の行進のルートを政府が変えることはないと述べた。つまり、ダマスカス門や旧市街地を通ることになる。

イスラエルの情報筋によると、7人の閣僚や連立与党に所属する国会議員が行進に参加し、イタマル·ベングビール国家安全保障大臣が先頭に立つ予定だという。

大臣は「明日、神の助けの下、我々の永遠の首都でエルサレムの日を祝福する。行進の安全を確保するため、警備隊を出動させた。明日、エルサレムは青と白で埋め尽くされるだろう」と述べている。

挑発的な行進に先立って、「神殿の丘」関連のユダヤ人団体や入植者グループは、アル·アクサ·モスクの中庭に突入するために5000人以上の入植者を募集したと見られる。

パレスチナ自治政府は、問題の行進のルートをエルサレム旧市街から変更しなかったイスラエル政府の決断は意図的な挑発だとしている。

自治政府のナビル·アブ·ルデイネ報道官は「過激派によるモスク突入の呼びかけは地域を刺激するもので、悲惨な結果を招く」と述べた。そして「緊張の高まりは暴力を招く可能性があるが、その全責任はイスラエル政府にある」と続けた。

また、「政府の動きは過激派の要求に対する黙認を裏付けている」とした。そして、米国のジョー·バイデン政権に対し、イスラエルのこのような挑発を明確かつ率直に非難することで、言葉を実行に移すように求めた。

パレスチナ外務省は「18日の行進は、エルサレムが統一されずに占領下にあり、占領下にあるパレスチナ固有の領土であることをイスラエル国内や国際社会に理解してもらうための決定的な証拠になる」と述べている。

一方、西岸地区やガザ地区、エルサレム、それにイスラエル国内のパレスチナ人に対し、可能なすべての場所でパレスチナ国旗を掲げたり、オンラインで掲げたりしようという呼びかけもなされている。イスラエルの「国旗の日」の挑発に対抗する動きだ。

エルサレムの旧市街に住む活動家のカーリド·アル·クルディ氏は「現地は緊迫しており、イスラエル警察は旧市街やダマスカス門の約1500の店舗を休業させた」とアラブニュースに語った。

「東エルサレムを掌握しているとの既成事実をつくるためにイスラエルのあらゆる過激な右派が旧市街に集結するため、事態が緊張している」という。

東エルサレムには35万人ほどのパレスチナ人が住んでいる。ハマスのハゼム·カセム報道官は、行進は扇動的なものであり、「イスラム教やキリスト教の聖地を含むエルサレム市におけるユダヤ人のアイデンティティを変更し、押し付けようとするイスラエルの試み」にハマスが対応を余儀なくされると述べた。

「Islamic Movement in Israel（イスラエルのイスラム運動）」のカマル·アル·ハティーブ副代表は、行進への抵抗を呼びかけ、植民者のユダヤ化活動からアル·アクサ·モスクを守るよう求めた。

「明日、アル·アクサは新たな挑発にさらされる」と副代表は述べている。

エジプトの大物聖職者シャウキ·アラム氏は、行進が緊張を高め、対立の空気を醸成する可能性があると警告している。

行進には、正統ユダヤ教の若い男性信者10～20万人が参加すると見られる。イスラエル軍は、行進に対してガザ地区からロケット弾が飛来するのに備え、防衛システム「アイアンドーム」を強化した。

ホワイトハウスは、イスラエルとパレスチナの双方に冷静な対応と自制を呼びかけ、行進を巡って緊張を高めるような行動や言動をしないように求めている。