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ネタニヤフ首相、ガザ停戦を否定 ブリンケン国務長官、支援拡大と民間人保護を要求

イスラエルとパレスチナのイスラム主義組織ハマスの対立が続く中、イスラエルを訪問中のアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官(中央)は、2023年11月3日、テルアビブのKirya軍事基地内にあるベン・グリオン・ハウスで、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領(左)と会談した。(AFP)
イスラエルとパレスチナのイスラム主義組織ハマスの対立が続く中、イスラエルを訪問中のアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官(中央)は、2023年11月3日、テルアビブのKirya軍事基地内にあるベン・グリオン・ハウスで、イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領(左)と会談した。(AFP)
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、局地的な人道的停戦を促すためにテルアビブへの2度目の訪問を行った。(AP)
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、局地的な人道的停戦を促すためにテルアビブへの2度目の訪問を行った。(AP)
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04 Nov 2023 03:11:46 GMT9
04 Nov 2023 03:11:46 GMT9
  • ブリンケン国務長官、開戦以来3度目のイスラエル訪問
  • ブリンケン国務長官、イスラエルへのアメリカの支援を改めて表明

アラブニュース

ガザ/エルサレム:アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は11月3日、イスラエルに対し、更なる人道援助を確保し、ガザのパレスチナ民間人の保護に一層の努力をするよう要請し、さもなければ「和平のパートナーは存在しない」だろうと述べた。

イスラエルは、紛争拡大の恐れが高まる中、レバノンとの国境での攻撃に厳戒態勢を敷いていると警告した。

イスラエル軍はガザ市の包囲を強化した。この作戦は、ガザ市を支配する武装組織ハマスを鎮圧することに焦点をあてている。ハマスによるイスラエル人コミュニティへの残忍な攻撃が戦争の発端となった。

しかし、10月7日の攻撃以来、この紛争が他の前線で戦闘を引き起こす可能性があるとの懸念があり、イスラエルとイランの支援を受けた過激派組織ヒズボラは、レバノン国境沿いで銃撃戦を繰り返している。

ヒズボラの指導者であるハッサン・ナスナッラー師は、戦争が始まって以来初となる公式演説において、過去数週間の前例のない国境を交えた戦闘によって、ヒズボラは「戦闘に入った」と述べた。「我々はこれにとどまるつもりはない」と述べ、エスカレーションの可能性を示唆した。それでもナスナッラー師は、ヒズボラが全面的に戦争に参加すると発表するまでには至らなかった。

開戦以来3度目のイスラエル訪問となるブリンケン国務長官は、イスラエルには自国を防衛する権利があるとして、この戦争におけるアメリカのイスラエル支持を改めて強調した。しかし、ガザの人道的危機に対する警戒が高まる中、パレスチナ市民への支援物資の輸送を促進するために「人道的な一時停戦」が必要だと述べた。

ブリンケン国務長官との会談後、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスによる攻撃で拉致された約240人に触れ、イスラエルは「人質の返還を伴わない一時停戦は拒否する」と述べた。同首相は、イスラエルは 「総力を挙げて 」軍事攻撃を進めていると述べた。

ブリンケン国務長官は、「パレスチナの民間人を保護するための一層の努力が必要だ」として、ガザへの人道支援を大幅に、かつ即座に増やす必要があると述べた。それがなければ「和平のためのパートナーは存在しない」と同国務長官は述べ、イスラエル・パレスチナ紛争の二国間解決への道を回復することが重要だと付け加えた。

ハマスと同盟を結ぶヒズボラは2日、イスラエル北部のイスラエル軍の陣地を無人偵察機、迫撃砲、自爆ドローンで攻撃した。イスラエル軍は軍用機とヘリコプターで報復したと発表し、報道官であるダニエル・ハガリ少尉は、ヒズボラの攻撃で民間人が負傷したと述べた。

「本日および今後数日間のいかなる事態にも対応できるよう、北部では非常に高い警戒態勢を敷いている」とハガリ少尉は語った。

ブリンケン国務長官は、東地中海に空母やその他の部隊を配備しているアメリカは、紛争に「第二、第三の前線」が開けないようにすることに全力を尽くしていると、ヒズボラに言及しながら述べた。

ナスナッラー師は演説の中で、民兵組織ヒズボラはアメリカの警告には動じていないと述べ、「地中海にいる艦隊は(…)恐れるものではない」と語った。

ヒズボラとの戦争は、イスラエルとレバノンの双方に壊滅的な打撃を与えるだろう。ヒズボラはハマスよりもはるかに強力で、約15万発のロケット弾とミサイルを保有しており、イスラエルの奥深くを攻撃できる精密誘導兵器もあると考えられている。

イスラエルは、全面戦争が勃発した場合、レバノンに莫大な破壊をもたらすと約束し、ヒズボラが住宅地の中に軍事施設を隠していると非難している。敵対する両者は2006年、1カ月に及ぶ決着のつかない戦争を繰り広げた。戦闘が再開すれば、ハマスとヒズボラの両方を支援するイランが紛争に巻き込まれるリスクもある。

ガザ保健省は、これまでにガザで9,200人以上のパレスチナ人が死亡し、そのほとんどが女性と未成年者であり、23,000人以上が負傷したと発表したが、民間人と戦闘員の内訳は明らかにしなかった。

イスラエル側では1,400人以上が死亡しており、その大半はハマスの最初の攻撃で殺害された民間人で、約240人が人質となり、 約5400人が負傷した。

地上作戦の開始から、ガザでは24人のイスラエル軍兵士が死亡している。開戦以来、イスラエルとレバノンの国境沿いでは、7人のイスラエル軍兵士と1人の民間人がそれぞれ別の事件で死亡している。

ブリンケン国務長官の最新の出張

ブリンケン国務長官は、これまでのアメリカ政府高官と同様、イスラエルとその自衛権に対する揺るぎない支持を約束した。

「イスラエルには自国を防衛する権利だけでなく義務もあり、10月7日が二度と起こらないようにするという計画を強く支持する」と、ヨルダンのアンマンも訪問する予定のブリンケン国務長官は述べた。これは、ジョー・バイデン大統領が戦闘の人道的な「一時停止」を提案したことに続くものだ。その目的は、パレスチナ人への支援を投入し、外国籍パスポートを持つパレスチナ人や負傷者をより多く外に出すことにあるのだろう。

この2日間で約800人がガザを離れたが、ハマスが解放した人質4人とイスラエル軍が救出した人質1人を除き、包囲されたエリアから人が出たのは初となった。

ブリンケン国務長官はまず、ネタニヤフ首相と密室で会談し、その後、同首相および戦時内閣との広範な協議を開始し、イツハク・ヘルツォグ大統領と会談した。

ハマスが支配するガザの保健省によると、25日間の戦闘で3,700人以上のパレスチナ人の子どもが死亡したという。砲撃により、ガザ地区の230万人の半数以上の人々が家を追われた。イスラエルの包囲下で、食料、水、燃料が不足し、満員の病院は崩壊の危機を訴えている。

イスラエルは、食料や医薬品を積んだ260台以上のトラックのガザへの乗り入れを許可しているが、支援関係者らは、それだけでは十分ではないと主張している。イスラエル当局は、ハマスが燃料を軍事用にため込んでおり、新たな物資を盗むだろうとして、燃料の持ち込みを拒否している。

ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障報道官は、アメリカは全面的な停戦を主張しているのではなく、「一時的で、局地的な」一時停戦を提唱していると述べた。

イスラエルはバイデン大統領の提案に表立って反応していない。しかし、これまで停戦を否定してきたネタニヤフ首相は2日に「我々は前進している。我々を止めるものは何もない」と述べた。同首相は、ガザ地区におけるハマスの支配を破壊することを誓った。

イスラエルとアメリカは、ガザにおけるハマスの支配が崩壊した場合、次に何が起こるかについての明確な計画がないようだ。国務省によれば、ブリンケン国務長官の訪問中の重要な議題はこれだという。

ガザ市包囲

一方、軍関係者らは、イスラエル軍は現在、ガザ市を完全に包囲していると述べた。イスラエルは、密集した地域であるガザ市こそがハマスの軍事インフラの中心であり、地下トンネル、地下壕、司令部などの広大なネットワークがあるとしている。

イスラエル軍は「建物が密集し、複雑な地域で戦っている」と同軍のHerzi Halevy参謀長は述べた。

同軍のハガリ報道官は、イスラエル軍は武装勢力と「対峙」し、必要に応じて空爆や砲撃を要請しいると述べた。ハガリ報道官は、イスラエル軍はハマスの戦闘員に大きな損害を与え、エンジニアリング機器で同組織のインフラを破壊していると述べた。

ハマスの軍事部門は3日早朝、ガザのいくつかのエリアで戦闘員がイスラエル軍と戦い、ベイトゥ・ラヒア市の北端で兵士4人を殺害したと発表した。また、地元で作られた対戦車ロケット弾で戦車数両を破壊したと主張している。

イスラエルとハマスのどちらの報告も、独自に検証することはできなかった。

イスラエル軍がガザ市の住宅密集地に向かって進軍しているため、双方の死傷者は増加すると予想された。イスラエルは、ガザ市の中心部に接するShati難民キャンプから直ちに避難するよう住民に警告した。

イスラエルが繰り返し避難を呼びかけているにもかかわらず、何十万人ものパレスチナ人が、ガザ北部の戦闘の渦中に留まっている。その多くは、安全を求めて国連施設に押し寄せている。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリップ・ラッザリーニ事務局長によれば、ガザ北部とBureijで避難所となっている4つの国連学校がここ数日で攻撃され、24人が死亡したという。

イスラエル軍とパレスチナ保健局によると、占領下のヨルダン川西岸では一晩中、イスラエル軍が各地で7人のパレスチナ人を殺害し、さらに多数のパレスチナ人を逮捕した。

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