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ガザ地区へのさらなる空爆で「完全勝利」を期するネタニヤフ首相

イスラエルとパレスチナのイスラム主義組織ハマスとの間で紛争が続く中、砲撃を行うイスラエル軍の砲兵部隊。イスラエル南部、イスラエル・ガザ境界線近傍。2024年1月6日。(ロイター通信)
イスラエルとパレスチナのイスラム主義組織ハマスとの間で紛争が続く中、砲撃を行うイスラエル軍の砲兵部隊。イスラエル南部、イスラエル・ガザ境界線近傍。2024年1月6日。(ロイター通信)
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07 Jan 2024 08:01:00 GMT9
07 Jan 2024 08:01:00 GMT9
  • ハマス支配下のガザ地区では、大規模破破壊が大量の避難民の発生と人道危機を引き起こし、一般民間人が紛争の矢面に立たされる構図となっている
  • 武装組織ハマスは、また、イスラエル側の発表によれば、約250人を拉致して人質とし、132人が依然として拘束されたままで、その内24人は既に殺害されたと考えられている

パレスチナ、ガザ地区:ハマスとの戦争が開始以来4ヶ月目となりつつある中、イスラエルは、1月6日、ガザ地区への空爆を継続し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がハマスに対する「完全勝利」を達成することを確言した。

AFP特派員は、イスラエル軍がガザ地区南部の都市ラファを攻撃し、数十万人が戦闘からの避難場所を求めて退避していると報じた。

空爆の犠牲となった人々が運ばれたハーン・ユーニスのヨーロッパ病院には、親族や弔問客が集った。

親族の1人であるモハメド・アウド氏は、12歳の少年の遺体を見て泣き、彼の一族の死亡した人々の数を数えた。

10月7日のイスラエル南部でのハマスによる襲撃以来ガザ地区で拘束されているイスラエル人の人質たちの解放を求める集会で、人質たちの肖像が描かれたプラカードを掲げる親族や支援者たち。テルアビブ。2023年12月30日。(AFP)

「私の兄、彼の妻と子供たち、親戚、彼の妻の兄弟たち、20人以上が殉教しました」と、ジャーナリストのアウド氏はAFPに語った。

挑戦的姿勢を崩さないネタニヤフ首相は、イスラエルは「ハマスを排除し、人質を解放し、ガザ地区がイスラエルの脅威とはならなくなるまで」軍事作戦を継続すると確言した。

「私たちはすべてを後回しにする必要があります…完全勝利の達成まで」と、ネタニヤフ首相は首相官邸が発表した声明で述べた。

イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は、イスラエルは「ガザ地区北部の軍事的枠組みの解体を完了」し、現在はガザ地区中部と南部に軍事作戦の焦点を置くと述べた。

この戦争を引き起こす契機となったハマスによる10月7日の前例の無いイスラエルに対する襲撃では、イスラエルの公式発表に基づくAFPの集計によると、約1140人が死亡し、そのほとんどが民間人だった。

イスラエルに併合された東エルサレム地区のジャバル・ムカベル区域で、建設許可無しに建造されたとされるパレスチナ人のシュカイラート家の住宅を取り壊すイスラエル軍のショベルカー。2024年1月3日。(AFP)

武装組織ハマスは、また、イスラエル側の発表によれば、約250人を拉致して人質とし、132人が依然として拘束されたままで、その内24人は既に殺害されたと考えられている。

この襲撃への返報として、イスラエルは容赦のない空爆と地上侵攻を行った。ガザ地区の保健省によると、少なくとも22,722人が死亡し、そのほとんどが女性と子供であるという。

ガザ地区の保健省は、過去24時間で120人以上の死亡を記録したと1月6日の声明で発表した。

イスラエルのヨアフ・ガラント国防相は、1月4日、「戦後」に向けたイスラエルの最初の計画案を提示した。この計画案は、イスラエルの戦時内閣には未だ採択はされていない。

他方、パレスチナ解放機構(PLO)の高官は、ガザ地区の将来は「イスラエルではなくパレスチナ人たちが決めることです」と、1月6日に述べた。

「占領者側の政治家や指導者が提案した構想はすべて失敗する運命にあります」と、PLO執行委員会のフセイン・アル・シェイク事務局長は述べた。

欧米諸国のトップ外交官たちは、1月6日、ガザ地区への援助物資の流通を促進し、紛争拡大への高まる懸念への対応のための新規の取り組みの一環として、中東地域を訪問した。

欧州連合(EU)の外交政策の責任者であるジョゼップ・ボレル氏が、イランの支援を受けている武装組織ヒズボラの政治部門幹部とベイルートで会談したことをEU関係者は認めた。

レバノンのメディア報道によると、ボレル氏はレバノン国会のヒズボラ系会派のモハマド・ラード代表と会談した。

EUは「現状に影響力を行使し得る、または、現状に利害関係を持つすべての関連政治勢力の代表と外交的な対話を行っています」と、EU関係者は語った。

ハマスと同盟関係にあるヒズボラは、10月上旬以降、イスラエル軍とほぼ毎日砲火を交わしている。1月2日には、イスラエルが行ったとされる空爆によりベイルートでハマスの幹部が殺害されたことへの返報として、ヒズボラはイスラエル軍基地に対して数十発のロケット弾を一斉に発射した。

サウジアラビアに向かう前に、EUのボレル氏は、和平努力を倍加することを呼びかけた。

「イスラエルはハマスを根絶するという目標を宣言しました。ハマスの根絶には、これほど多くの人が殺害されることのない…別の方法があるはずです」と、ボレル氏は語った。

他方、米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、1月第2週のイスラエルとヨルダン川西岸地区での会談に向けてのアラブ諸国歴訪に先立ってギリシャを訪れていた。

ブリンケン国務長官は、中東の紛争が絶対に「拡大しない」ようにしたいと語った。

「切実に懸念されるのは、イスラエルとレバノンの国境です。私たちは、状況が拡大や激化しないようにあらゆる手段を講じて行きたいと考えています」と、ブリンケン国務長官は付言した。

ヒズボラは、ハマスの副指導者サレハ・アルアルーリ氏のベイルートでの殺害への「初動対応」として、イスラエル軍のメロン航空管制基地を標的として62発のロケット弾を発射したと発表した。

イスラエル軍は、「レバノンから約40発のロケット弾が発射」され、返報としてヒズボラの「軍事施設」を攻撃したと発表した。

イスラエル北部では、午後までに警報サイレンが7回鳴らされたとイスラエル軍は述べた。

AFPの取材に、イスラエル軍報道官は、山頂にあるイスラエル軍の基地が標的とされたことは認めたものの、被害を受けたか否かについては明言しなかった。死傷者が出たという即時報告は為されていない。

ハマス支配下のガザ地区では、大規模破破壊が大量の避難民の発生と人道危機を引き起こし、一般民間人が紛争の矢面に立たされる構図となっている

ガザ地区の広範囲が瓦礫となってしまっている、国連人道問題担当国連事務次長兼緊急援助調整官であるマーティン・グリフィス氏は、1月5日、「ガザは居住が全く不可能になってしまっています」と述べた。

世界保健機関(WHO)は、ガザ地区にある36の病院の大多数が機能を停止しており、残りの医療施設は深刻な医療物資不足に直面していると発表した。

ガザ地区中央部の町であるダイル・アルバラでは、イスラエルが発射したと思しきロケット弾で破壊されたムハンマド・アルアタル氏の自宅の跡のコンクリートの瓦礫やねじ曲がった鉄筋の周囲を男性たちが慎重によじ登っていた。

「事前の警告は一切ありませんでした」と、アルアタル氏は語った。アルアタル氏の手は瓦礫のせいで灰色になっていた。そこの下には「まだ女の子の遺体があります」。

ジャーナリストのアクラム・アルシェイフェイ氏は、ガザ地区での負傷が原因でハーン・ユーニスの病院で死亡した。

親族のマグダ・アルシェイフェイ氏によると、アルシェイフェイ氏の容態は当初は改善していたものの、「治療が必要」で、利用できる治療法は何もなかったと語った。

「彼は他界してしまいました」と、アルシェイフェイ氏はAFPに語った。

世界保健機関(WHO)は、ガザ地区にある36の病院の大多数が機能を停止しており、残りの医療施設は深刻な医療物資不足に直面していると発表した。

AFP

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