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スーダンでは「1つの国に2つの軍隊を持つことは本当に大きな間違い」、南スーダンの外相代理

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23 May 2023 01:05:30 GMT9
23 May 2023 01:05:30 GMT9
  • デン・ダウ・デン・マレク氏は、世界に不意打ちを食わせたとはいえ、ある意味この危機は必然であったと語る
  • スーダン経済の存続のため、石油パイプラインの保護を確保するよう反目するスーダン指導者に訴えかける

ケイティ・ジェンセン

ドバイ:2カ月目に入ったスーダンでの戦闘は終わる気配がなく、アフリカで紛争による避難民が増加する一因になっている。ハルツームでの2つの派閥間の確執から始まった戦闘は、他の地域にも広がり、人命を奪い、人民の生活を停止させ、インフラを破壊し、医薬品、燃料、食糧の不足を特徴とする人道危機を引き起こしている。

スーダンの近隣諸国は、自国の紛争や不安定さ、人道的課題に何十年も取り組んできたが、今やスーダン軍(SAF)と準軍事組織、即応支援部隊(RAF)の間の戦闘が国境を越えて自国を巻き込む前に終結させるよう求めている。

4月15日にハルツームで暴力が発生する以前から、スーダンの対立する派閥間にくすぶる緊張が全面的な紛争に発展するのを防ぐ努力が続けられていた。

「危機の1週間前、我々の首席交渉官はハルツームに行き、主権評議会の議長であるアブドゥルアッターフ・アル・ブルハン将軍と、当時の副議長であるモハメド・ハムダン・ダガロ将軍に会った」と、南スーダン外務大臣代理のデン・ダウ・デン・マレク氏は、ジュバからアラブニュースの最近のズームインタビューに答えて語った。

南スーダン政府がぎりぎり最後の外交努力で目指しているのは、計画されているハルツームの文民主導政府への移行の問題点を解消することだと、同氏は述べた。

平和的解決への道を阻む多くの障害物の1つは、スーダンの現在の紛争の導火線に火をつけた、ダガロ氏のRSFの軍への統合という難しい問題だった。

マレク氏は、「スーダンの紛争はある意味、必然だった」と、どちらか一方に責任を押し付けるようなことはしなかった。

世界はスーダンの紛争勃発に大きな衝撃を受けたが、マレク氏は自国の紛争解決と平和構築の経験から、北の隣国で戦争が起こることは避けられないと見込む洞察力を身に着けた、と語る。

南スーダンでは、「1つの国に2つの軍隊を置くという規定があったが、当時は本当に大きな間違いだった。それで、2つの軍隊がジュバに来た途端、2016年7月の戦争につながった」と、マレク氏は思い起こす。

さらに、「我々は、どんな性質であれ、その軍隊の地位がどうであれ、1つの国に2つの軍隊を認めるのは常に問題があると強く認識していた」と付け加えた。

「そして、スーダンの状況は、全くその方向に向かっていることが知られていた」

南スーダン政府は、スーダンの権力分担協定をめぐる緊張を予想していたとはいえ、4月15日に発生した危機への備えがなかったことをマレク氏は認めた。

「私たちは、あのような規模の戦争の勃発には、あまり準備ができていなかった」と彼は言った。

「私たちは、限定的な交戦になり、SAFとRSFが非常に現実的な形で和解するだろうと考えていた、こんなことにならないと思っていた」

アル・ブルハン氏もダガロ氏も待ったをかけないため、南スーダンとスーダンの近隣諸国は、その影響に対処する覚悟を固めている。すでに数十万人が、動乱の国から逃れており、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、この戦闘によって86万人が避難することになると予測している。

「国外への人の流出、これは、私たちが最も懸念していることの1つだ」とマレク氏。

スーダンは、長さの順で南スーダン、チャド、中央アフリカ共和国、エジプト、エリトリア、エチオピア、リビアと、国境を接している。

UNHCRは3つのシナリオを想定している:スーダン難民が周辺国に逃れる、スーダンが受け入れた難民が帰国する、スーダンが受け入れた難民が他の周辺国に移動する。

「現段階では、南スーダンに移動した人は(比較的)少ない」とマレク氏は述べ、スーダンの戦闘で避難した人の大半がエジプトやチャドに逃げたのに対し、南スーダンは5万8,000人を受け入れた事実に言及した。

マレク氏によると、このうち、スーダン人は8,000人に過ぎない。ちなみに、先月始まった戦闘以前、スーダンには、主に南スーダンからの100万人以上の難民と、300万人以上の国内避難民(IDP)がいた。

スーダンの治安は、かつてスーダンに避難していた人々にとってもはや適切ではなく、多くの元難民は2度も追い立てられ、出身国に戻ったり、別の場所に安全を求めたりしている。

スーダンの近隣諸国は、難民や国内避難民への対応だけでなく、紛争がもたらす広範な影響に直面することになる。

「南スーダンの経済的な存続はまた、スーダン共和国の領土を通過するパイプライン、つまり原油に依存している」とマレク氏は述べた。

南スーダンの原油輸出量は今年初め、1日あたり約14万4,000バレルに達し、その大半はスーダンの紅海沿岸にパイプラインで送られている。現在、原油価格は1バレルあたり100ドルから70ドルにまで下落した。

石油は重要なパイプラインを流れ続けているが、紛争は石油収入だけでなく、世界のエネルギー供給を脅かしている。

「(スーダンの派閥)指導者双方と、戦っている人たちへの私たちのメッセージは、(どちらにも言えることだが)こうだ:私たちはこのパイプラインを保護する必要がある、なぜなら、このパイプラインは(私たちの)国の経済の存続に関わるからだ」とマレク氏は語った。

経済の後退と避難民の流入という二重の痛手は、アフリカ北部や中央部に位置するスーダンの近隣諸国を圧倒してしまう恐れがあり、そのほとんどの国が貧しく不安定な状態にある。

南スーダンは、わずか3年前に終結した6年にわたる内戦の後遺症が残っている。この人災に続いて大洪水が起こり、現在も続いており、およそ1,200万人の住民(うち200万人以上が国内避難民)が、農地の利用ができないため、飢餓の瀬戸際に立たされている。

「国連も私たちの状況に圧倒されている」とマレク氏は言い、「国連機関は非常に深刻なプレッシャーを感じている」と付け加えた。

多くの危機が重なった結果、UNHCRのデータによると、南スーダンの人口の4分の3が人道支援に依存している。

マレク氏は、南スーダンが上ナイル州の複数のキャンプで34万人のスーダン人を受け入れてきたことを指摘した。「我々は、帰還する人々やスーダンから(南スーダンに)渡る人々の状況に対処できるよう、国連機関と調整している」と彼は言った。

「特に今、難民や国内避難民が帰還している南スーダン北部について話しているが。そこのインフラは課題だ。また、ポート・スーダンから物資を受け取るには、スーダンが唯一の手段だったが、それが今後も機能するかどうか、非常に大きな課題となっている」

将来を見据え、マレク氏は、スーダンの危機によってもたらされている損害を抑え、人道的大災害によって近隣諸国が不安定化するのを防ぐためには、国際的な支援が不可欠だと述べた。

この文脈でマレク氏は、国連機関が戦闘員の自由な移動を阻止できるよう、「スーダン国内の地方に必要な支援を提供」する必要があると述べた。

また、「危険性と戦争がハルツームから地域に広がれば、すべての周辺国にとって困難な状況になる」と、改めて注意を促した。

南スーダンを取り囲む問題に立ち戻り、マレク氏は、2011年の独立に関する住民投票から2018年のケニアでの和平交渉に至るまで、米国は長い間同盟国として世界で最も若い国を紛争時に支援してきたが、同国に課せられた制裁や武器禁輸を解除するためにはまだ作業が必要であると指摘した。

「今、私たちはアメリカ合衆国と新しいページを開き、一緒に仕事をすることが必要だ、と言ってきた」と彼は述べた。「もちろん、彼らは人権問題、民主主義の問題、汚職の問題、ガバナンスの問題などを抱えている」

「南スーダンは制裁下にあり、米国は(国連で)この特別な制裁を主導している。(米国が望む)5つの基準がある。南スーダン政府がこの5つの基準を満たせば、制裁と武器禁輸から脱することができるだろう」

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