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干ばつに見舞われたチュニジアでは地球に優しい農業が定着

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29 May 2023 04:05:20 GMT9
29 May 2023 04:05:20 GMT9
  • チュニジアはウクライナとロシアからの穀物と肥料の輸入に依存している

キャップネグロ、チュニジア:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行でチュニジアの観光業も壊滅的な打撃を受けて、セイバー・ズアニ氏は、ウェイターの職を失った。同氏は何か新しいことに挑戦しようと決意し、パーマカルチャーの農場を始めた。

ズアニ氏は現在、必要な食料をすべて栽培し、母国を含む世界中で支持者を増やしている、環境に優しい農業方法のパイオニアとなった。

その農法の力を借りて、チュニジアが気候変動の影響を乗り越え、ウクライナやロシアからの穀物や肥料の輸入を含むグローバルサプライチェーンへの依存から脱却できるようにと、多くの人が期待している。

37歳のズアニ氏は故郷キャップネグロ西部の3ヘクタールの農場を誇らしげに見せてくれた。1970年代にオーストラリアのエコロジストによって普及した考えに沿って、自然の生態系を模倣して作られた農場だ。

工業型農業に代わるものとして登場したパーマカルチャーは、環境との調和、土壌構造の維持、化学肥料や農薬など人工物の不使用を目指している。

バイオテクノロジーの学位を持つズアニ氏は、タマネギやピーマン、ラディッシュの畝の周りに生えているイラクサやタンポポを指さしながら、「これは雑草じゃないんだ」と言う。

野菜を収穫する時、余分な緑を土に戻して蒸発を遅らせている。これは、農場の土の湿り気を落ち葉で覆われた森の地面と同程度に保ちたいと考えて行っているそうだ。

チュニジアでは今年の春、未曾有の干ばつで田園地帯が乾燥し、貯水池の水位が低く危険レベルにあるため、こうした方法は特に有効である。

ズアニ氏の農場では貴重な雨水を池に貯めて、自家採種して育てた作物には控えめにしか水やりをしない。

また、飼っている牛、羊、ヤギ、鶏の糞尿を堆肥にして、窒素が豊富に含まれる天然肥料で栄養たっぷりの土作りを行っている。

「生きている土を作り、ミミズや菌類、そして草木に必要なあらゆる栄養素を惹きつけなければなりません」とズアニ氏は述べた。

ズアニ氏によると、パーマカルチャーは何世紀にも前からある農業の方法や知恵を活用しており、「私たちのルーツ、祖父母が使っていた伝統的な方法に戻る」ことだそうだ。

ズアニ氏は、農産物を売って月に約300ディナール(約100ドル)の収入を得ており、自分、弟、年老いた両親が自給自足するのに十分だという。

2、3年で「ちゃんとした利益」を上げて、亡き祖母にちなんで「オム・フニア」と名付けられた農場を飲食店にし、最終的には田舎のエコロッジに変えたいと考えている。

ズアニ氏がチュニジア・パーマカルチャー協会から支援を受けて仕事を始めてから2年以上経つ。同協会は初期研修を提供し、その後、基本的設備の資金援助を行った。

同協会の「プラント・ユア・ファーム」プロジェクトは、5年間で50のマイクロファームの設置を目指しているが、そのうち約30がすでに稼働していると同協会代表リム・マスルーシ氏は述べた。

マスルーシ氏によると、目標は「パーマカルチャーが収益性の高い効率的な農業システムで、耕作や化学物質の投入で土壌がやせてしまっても、生物多様性を取り戻すことができることを関係当局や他の農業従事者に示すこと」だそうだ。

AFP

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