アミン・アッバス

まさに五感の饗宴となった第1回シャルジャ・アニメーション・カンファレンス（SAC）は、3日間で世界中から5,000人を超える出席者を集めた後、閉幕した。

中東では、この種のイベントが開催されたのは初めてのことである。アニメーション愛好家、趣味人、業界関係者1,500人が集い、マスタークラスやワークショップ、活発な議論によってもてなされた。本格的かつ刺激的な数々のコンテンツをリードしたのは、アカデミー賞作品で知られる、エミー賞やアニー賞受賞歴のある専門家たちである。

シャルジャ・ブック・オーソリティ（SBA）が企画し、キュレーションしたこのカンファレンスは、アニメーション業界の150の出版社やプロデューサーが将来につながる関係性を築き、アイデアを交換するための活力に満ちたプラットフォームとなった。有益なセッションと貴重なネットワーキング機会が豊富に織り込まれたSACは、地域内外におけるアニメーションコミュニティの文化的試金石として、確固たる地位を確立した。

シャルジャ・ブック・オーソリティおよびSACのエグゼクティブディレクター、クーラ・アル・ムジャイニ氏は、アラブニュース・ジャパンの独占取材で日本について次のように語った。「私たちは、SACの観客に高品質のビジュアルコンテンツを提供し、彼らのスキル開発と、アニメーション業界の最新トレンドや技術に関する貴重な洞察の獲得を支援する、という目標を達成しました」

「シャルジャ・ブック・オーソリティは、先駆的なイベントをまとめ上げました。それは、最高評議会の一員でシャルジャの統治者であるシェイク・ドクター・スルタン・ビン・モハンマド・アル・カシミ殿下の明確なビジョンに基づく目標とシームレスに一致し、中東において出版とアニメーションのセクターを前進させようという首長国連邦の揺るぎない献身を反映するものでした。我々は、この画期的な集まりを活かして、アラブのクリエイティブ業界に道を開き、シャルジャ独自のアイデンティティと文化を活性化し、アラビア文学作品を基にした優れたアニメーション作品の波を巻き起こしたいと願っています。アラブの次世代のアーティスト、イラストレーター、コンテンツクリエイターの育成を通して、この地域の文学的伝統の豊かさを世界の聴衆に紹介すると同時に、私たち自身の間で文化に対する誇りを高めることを目指しています」

「世界中の出版社、プロデューサー、業界専門家が戦略的パートナーシップを結び、アラビア文学作品を基にしたアニメーション映画を共同制作するきっかけとしてカンファレンスの役割を拡大しています。デビューイベントの成功を足場に、SACは我々独自のアイデンティティや文化を明確に表現する重要なコンテンツを可能にし、アニメーション業界の変革を推進するカンファレンスの可能性を強調して、世界規模でのこの業界の進化に大きく貢献するでしょう」と、エグゼクティブディレクターは付け加えた。

カンファレンス参加者は、3日間にわたってアニメーション芸術のマスタークラスを受けることができた。また、度胸から忍耐、勝利へと続く見事なストーリーを業界の先輩である著名なエキスパートたちが披露し、参加者を楽しませた。世界中のさまざまな場所から集まった著名人たちは、何十年にもわたる経験と苦労して得た専門知識を惜しみなく提供し、アニメーション制作の基礎、ツール、テクニックに関する貴重な洞察を隈なく共有した。日本、英国、イタリア、ブラジル、米国など遠く離れた国々からの代表者が揃ったこの驚くべき集まりはまさに、文化とクリエイティブな展望のるつぼであった。そのそれぞれが、アニメーションが持つ変革の力への情熱によって結ばれていた。

イタリアのベルガモ・アニメーション・デイズ（BAD）フェスティバルと提携して開催されたSACは、中東やその他地域におけるアニメーションの無限の可能性を讃える忘れ難い経験を提供した。この歴史的な集まりは、150の活力に満ちたミーティングを催して世界の制作会社と国内および周辺地域の出版社を結びつけた。それは、アラブ世界のアニメーション業界に新しい命を吹き込むことを目的とした、有意義なコラボレーションと戦略的パートナーシップへの道を開いたのである。この試みの中心にあったのは、文学作品を視覚的に魅力のある映画やテレビシリーズに作り変え、アラブ世界の豊かさと多様性を世界の観客に紹介するという共通のコミットメントだった。

シャルジャ・アニメーション・カンファレンスでは、アニメーション界の著名人と語り合う一生に一度の機会が提供された。参加者は、世界各地から集まった業界の巨匠から貴重な洞察と経験を吸収することができた。

この特別な集まりの目玉は、次のようなものだった：『スパイダーマン:スパイダーバース』、『ASTRO BOY 鉄腕アトム』、『絵文字の国のジーン』、そしてアカデミー賞受賞のアニメーション映画『リメンバー・ミー』で知られるアニメーション業界の重鎮、ジョン・ネバレス氏による思慮深いメッセージ；アニー賞を受賞した2Dアニメーターでありキャラクターデザイナー、『メリー・ポピンズ リターンズ』で知られるサンドロ・クルーゾ氏；世界最高のアニメ監督の1人として広く認知され、最も有名な作品に『ドラゴンボールZ』、『オーバーロード』、『吸血鬼ハンター”D”』、『HUNTER×HUNTER』がある吉松孝博氏；BAFTA映画賞を受賞した制作プロダクション、ブルーズーの創設者兼MDであるオリ・ハイアット氏；エミー賞受賞者で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、『ワンダーウーマン』、『スター・トレック BEYOND』などのコンポジターとVFXスーパーバイザーを務めたマリオ・ブリオスキ氏；世界的に有名なキャラクターデザイナーで『デスノート』、『劇場版 NARUTO -ナルト- 疾風伝』のアニメーションディレクターを務めた横田守氏。

参加者は、フローレンス・ポップス・オーケストラによる、まさに魔法のような演奏を楽しむこともできた。イタリアを拠点とするこの才能あるオーケストラ団は、ディズニーの『美女と野獣』、『アラジン』、そしてピクサー・アニメーション・スタジオの『トイストーリー』といった大人気作から最も象徴的な曲のいくつかを美しく披露し、ノスタルジックな記憶の旅へと観客を送り出した。しかしコンサートをクライマックスへ導いたのは、宮崎駿監督による傑作『もののけ姫』からの魅惑的な楽曲の演奏だった。

日本の神秘的な森を旅したアシタカの壮大な物語をオーケストラが奏で、このアニメ映画に再び息を吹き込んで観客の心を揺さぶった。フローレンス・ポップス・オーケストラは音楽的才能と技巧への献身を披露し、その技術と情熱に対する畏敬の念を観客に抱かせた。それは、創造性、閃き、知識の共有と驚きに満ちた3日間を決定づけるものであり、この地域で初の開催となったカンファレンスの初日を最良の形で締めくくった。

初開催となったシャルジャ・アニメーション・カンファレンス（SAC）の参加者は、アニメーション業界の2人のアラブ人ビジョナリーから話を聞くことができた。フリージ・フォークロアの首長国連邦出身クリエイター、モハメッド・サイード・ハレブ氏と、スペーストゥーン・ゴーのゼネラルマネージャーを務めるカメイ・ウェイス氏である。参加者は、彼らの創造的なプロセスに関する独占的な洞察を得て、業界の絶え間なく変化するニーズと顧客の望みに対する深い理解が、どのように彼ら専門家を成功に導いてきたかについてを学んだ。

デジタルクリエイターのビビ・ズモット氏は、SAC 2023の感想を次のように共有している。「シャルジャ・アニメーション・フェスティバルは、本当に素晴らしいイベントです。国内外の驚くべきアーティストによる才能の紹介を見ることができました。参加者は、彼らを見て、挨拶できるだけでなく、多数の貴重なアクティビティがあることに興奮していました」

「私は、アニメーション業界のビジネス面と文化面において、このイベントは人々に機会をもたらしていると真剣に考えています。次回のSACが本当に楽しみです」と彼は付け加えた。

SACでは、さまざまなクリエイティブ領域にまたがって1,500人を超える参加者の技能を高めるために、細心の注意を払いながら没入型ワークショップとオーダーメイド式コースが用意された。参加者は、基本的な描画技術から高度な2Dや3Dアニメーションまで、多様な芸術的要素について貴重な洞察を得ることができた。このイベントでは、キャラクターの作図から身体の寸法、表情、動きの習得まで、キャラクターデザインの原則と技術の複雑さについても掘り下げた。さらに、絵コンテ作り、視覚効果、デジタルイラストについての専門知識や、業界の採用担当者を引き付けるための説得力ある履歴書や添え状作成の重要スキルも共有された。このカンファレンスの総合的なカリキュラムは、意欲的なアニメーターやプロフェッショナルに豊かな教育経験をもたらした。それは、この先何年も素晴らしい成果を出すために確実に続いていくだろう。