アル・ムカッラー:フーシ派はイエメン政府の重要な収入源を断つために、政府管理下のマアリブからのガスタンカートラックがフーシ派支配地域に入るのを禁じて、イエメン政府に対する経済戦争をエスカレートさせている。
イエメンの政府当局者と政府系ガス企業は、フーシ派が支配下におく人口密集地域で調理用ガスの不足が深刻であるにもかかわらず、数百台のガスタンカートラックを強奪したり、その他の積載車両をサナアとジュフのフーシ派支配地域に入らせないようにしたりしたと発表した。
イエメン政府によると、イランから支援を受けている民兵組織が、ホデイダ港からイエメンに輸入される価格の高いガスを優先させるために、マアリブから運ばれる安価なガスを阻止しているという。
イエメンのムアンマル・アル・エルヤニ情報大臣によると、フーシ派がフーシ派支配地域の調理用ガスをイランから輸入される価格の高いガスに置き換えて、地域の住民に倍の価格で売りつけているという。このため、地域住民の経済的負担が増える上、民兵組織の財源を膨らませることになっている。
エルヤニ情報大臣はTwitterで、「これらの犯罪行為は、政府に対するクーデター以来、テロリストのフーシ派民兵組織が住民に貧困と飢餓を強いる政策の延長線にあり、住民の負担を三倍にし、戦争で利益を上げ、民兵組織のリーダーの懐を肥やすことになっている」と述べた。
同大臣は、イラン政府が最近、戦争終結に向けた和平への努力を支援すると表明したにもかかわらず、同国がイエメンの不安定な状況をあおっていると、イランを繰り返し非難した。
「イラン産の原油とガスがホデイダ港を通じてフーシ派民兵組織に密輸されているということは、イラン政権がフーシ派民兵組織への支援と資金提供を続けていることを裏付けている」と同大臣は述べた。
マアリブのイエメン石油ガス公社によると、4月だけで、マアリブからフーシ派支配地域に向かう2万8333トンのガスを積んだガスタンカートラック1108台を、フーシ派が強奪したという。
イエメン政府は、マアリブのガス田から生産される調理用ガスの大半をフーシ派支配地域に住む住民に販売し、毎月数十億イエメン・リヤルの収入を得ている。
フーシ派が支配地域での反対運動や抗議活動を弾圧しているが、住民はSNSに調理用ガスの価格上昇に対する怒りを表し、ガスが地域のフーシ派側からのみ供給されていることに不満の声を上げている。
イエメン政府によると、フーシ派は国連仲介による停戦状態の施設を利用して、ホデイダ経由でイランからガスを輸入しているという。
フーシ派がマアリブからのガス供給を制限するのは、政府資金の圧迫を狙った一連の活動の中でも一番新しい。
今週、フーシ派は、政府支配下のアデンからきた小麦粉を運送する数十台の車両がタイズのアル・ラヘダの検問所経由でフーシ派支配下地域に入るのを阻止した。取引業者や地元住民は、絶対必要な必需品が台無しになって、取引業者に数百万リヤルの損害が出るかもしれないと警告したが、それを無視した。
フーシ派は、取引業者はホデイダ港から商品を輸入すべきであると主張。これは、取引業者をアデンなどの政府の支配地域から追い出すことを狙った動きである。
政府の主な収入源である石油輸出は、フーシ派が、シャブワ州とハドラマウト州にある政府管理の石油施設にドローンとミサイルによる攻撃を開始した昨年以降、停止されている。
フーシ派の資金調達の手段を受けて、イエメンのマイーン・アブドルマリク・サイード首相はイエメン政府が収入確保の目標を達成できるように国際社会に資金援助を呼びかけた。
イエメンのサイード首相は在イエメン米国大使との5月31日の会談で、フーシ派による石油施設への攻撃は、経済を安定させようとする政府の取り組みに「危険な影響」を及ぼし、すでに悲惨な状況にある自国の人道危機を悪化させていると述べた。
専門家によると、フーシ派はまた新たに収入源を開拓しようとしているという。
イエメン紛争のアナリスト、ナドワ・アル・ダウサリ氏はアラブニュースに対し、「これは、フーシ派がイエメン政府から重要な収入源を奪いつつ、同時に、昨年の停戦開始以降行ってきた、新たな資金源を生み出す一連の動きである」と語った。