
ラマッラー:ヨルダン川西岸地区ヘブロンの南に位置するマサーフェルヤッタの住民は、イスラエル軍によって自宅から追放されるのではないかと、絶えず怯えながら暮らしている。
イスラエル最高裁判所は、マサーフェルヤッタを「射撃区域」だとして、同地からのパレスチナ人追放を承認した。
住民らによると、村々へ通じる道の多くはイスラエル軍によって閉鎖されており、イスラエルはこの地域に6つの入植拠点を設置することも許可している。
約3,000人のマサーフェルヤッタの住民たちは、14の村に暮らしている。
その多くがトタン屋根の住居や洞穴で暮らす住民たちは、どんな犠牲を払っても去るつもりはないと語る。
パレスチナ人たちは、ヨルダン川西岸地区のC地区においてイスラエル軍の住宅取り壊し活動が激化する中、自分たちがいつ追い出されてもおかしくないという。
パレスチナの人々の恐れは、彼らに対する入植者の暴力的攻撃の件数増加と、彼らの土地への入植拠点設置を受けて高まりつつある。
入植者らは住民の作物を燃やしたり、家畜が牧草地や泉に行くのを妨げたりもする。
放牧エリアは奪われ、住居の洞穴やパレスチナ人の農場は破壊されている。
また、イスラエル政府にパレスチナ人を追放するという裁判所の決定を実行させないための民衆および国際社会からの圧力が低下していると、パレスチナの人々は懸念している。
マサーフェルヤッタの住民は2日に、攻撃と追放を目指す企てから住民を守るための早急な行動を呼びかけた。
マサーフェルヤッタ村議会の長であるナイダル・ヨウニス氏はアラブニュースに対し、入植者から住民への攻撃はこの数週間で著しく増加したと述べた。
同氏によると、イスラエル軍は暴力を容認しているという。
住民らはイスラエル警察に訴えたものの、無駄だった。
パレスチナ・アル・ハク人権協会(Palestinian Al-Haq Association for Human Rights)のシャワン・ジャバリン事務局長はアラブニュースに対し、イスラエル政府への欧州および世界からの外交圧力は弱まっており、それがイスラエル当局をつけあがらせ、住民を追放するという裁判所決定の実行に向かわせていると述べた。
パレスチナ人情報筋は、イスラエルの右翼政党は現政権の崩壊前にヨルダン川西岸地区を併合しようとすると考えている。
国際刑事裁判所は立ち退き計画を撤回するようイスラエル政府に圧力をかけるべきだと、ジャバリン氏は述べた。
入植者は「南部のマサーフェルヤッタからヨルダン川西岸地区北部までのパレスチナ人の広大な土地を奪うための道具として、イスラエル軍に利用される」ようになっていると、同氏は語った。
入植と壁抵抗委員会(Settlement and Wall Resistance Commission)の国際関係部局責任者であるヨウニス・アラー氏はアラブニュースに対し、イスラエル軍当局がマサーフェルヤッタの住民をいつ追い出してもおかしくないと恐れていると述べた。
同氏は、いかなる追放の試みも「新たな大惨事」だと表現し、イスラエル政府にそのような措置を講ずることを思いとどまらせるための圧力は、欧州や世界だけでなくアラブ世界からも与えられていないと述べた。
パレスチナ・ナショナル・イニシアチブは、イスラエルの裁判所による追放計画の承認を、パレスチナの人々に対するイスラエルによる民族浄化だと評した。
「歴代のイスラエル占領政府はこの何年にもわたって、入植地拡大計画を実行するために、恣意的な措置とマサーフェルヤッタの人々への継続的弾圧によって、彼らを立ち退かせ、追放しようとしてきた」と、同氏は述べた。