![アル・アクサの敷地は近年、極右入植者による度重なる攻撃や突入に晒されている。(AFP)](https://www.arabnews.jp/wp-content/uploads/2023/06/3862376-1239493262.jpg)
ラマッラー:イスラエル国会で議論されているアル・アクサモスクの分割に関する法案に対し、パレスチナ人は懸念を深めており、法案の成立を阻止するべくトルコ、マレーシア、インドネシア、エジプトに支援を要請しようとしている。
リクード党のアミット・ハレヴィ議員によって提案されたこの法案を数日以内にクネセト(イスラエル国会)に提出しようとするイスラエル当局に対し、パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は警告を発した。
同首相の発言は、ラマッラーで行われた閣議の冒頭でなされたものだ。
同首相は、この措置を取れば「圧倒的な怒り」を買うことになり、その結果は「予測できない」と述べた。「パレスチナ人、アラブ人、イスラム教徒にとってアル・アクサモスクは神聖であり宗教的価値を持つものからだ」
また、非難だけに留まるのではなく、アル・アクサモスクに対する変更を阻止し、エルサレムのイスラム教およびキリスト教の聖地に対する侵害をやめさせるための制裁を科すよう、アラブ世界、イスラム世界、国際社会に行動を呼びかけた。
法案は、アル・アクサモスクをイスラム教徒とユダヤ教徒の間で分割しようとするものだ。
ハレヴィ議員は、岩のドームの中庭からアル・アクサモスクの北側の境界の端までの区域をユダヤ教徒に割り当てることを提案している。
この計画は、パレスチナとイスラエルの政治的対立を宗教戦争に変え、パレスチナの領土において広範囲の暴力を引き起こすことになる、大規模で危険なプロジェクトの始まりに過ぎないのではないかと、パレスチナ人は懸念している。
パレスチナ、およびイスラム教とキリスト教の聖地の管理権を持つヨルダンは、アル・アクサモスク内でのイスラエル当局によるいかなる干渉や変更にも反対している。
パレスチナ大統領府のエルサレム問題担当顧問であるアフメド・アル・ルワイディ氏はこの計画について、エルサレムを管理下に置くとともに東エルサレムをイスラエルの一部として併合しようとするイスラエルによる新たな試みだと非難する。
アル・ルワイディ氏はアラブニュースに対し、イスラエルの右派政権はエルサレムにおけるパレスチナの役割を低減させるべく、パレスチナの機関や要人だけでなく、イスラム教およびキリスト教の聖地に対するハシェミット王家の守護をも標的にしていると指摘する。
アル・アクサモスクはイスラム教徒だけの聖地であり、それに対するヨルダンの守護をイスラエルは尊重しなければならないと同氏は言う。
同氏はまた、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、イタマル・ベングビール氏やべザレル・スモトリッチ氏などの極右活動家に対しアル・アクサへの突入や人種差別的な発言のゴーサインを出したと指摘する。
さらに、ネタニヤフ首相はアル・アクサ問題を利用して政治的勝利を得ようとしているとしたうえで、もし宗教戦争が勃発すれば全ての人がその影響を被ることになると警鐘を鳴らす。
パレスチナ人は、アル・アクサモスク分割法案はモスクのイスラム教聖地としてのアイデンティティーを変え、それをアル・キブリ礼拝堂のみに制限することになると言っている。ヘブロンのイブラヒミモスクの分割により、スペースの75%がユダヤ教徒に、残りの25%がイスラム教徒に割り当てられたのと同様にだ。
パレスチナ人は、ハレヴィ議員が自身の計画の中で行っている提案について、現状を覆すものであり、アル・アクサモスクに対するイスラエルの支配の拡大につながるものだと言っている。
法案は、ユダヤ教徒がモロッコ門からだけではなく全ての門から敷地内に入ることができるようにするものだ。モロッコ門は完全にイスラエル当局の管理下にある唯一の門であり、パレスチナ人は通ることができない。
別の動きもあった。イスラエルのクネセトの立法問題担当閣僚委員会が、ヨルダン川西岸地区の軍事法廷によってパレスチナ人に科せられた罰金を徴収し、イスラエル警察によって徴収された交通違反の罰金と共にイスラエル政府の公庫に入れることを目的とする法案を承認したのだ。
クネセト総会は間もなくこの法案の採決を行う可能性が高い。