
エルサレム:イスラエルは29日、情報部「モサド」がイランで作戦を実施し、キプロスで複数のイスラエル人実業家を攻撃するイランの計画の首謀者とみられる人物を拘束してその攻撃を阻止したと発表した。
モサドは声明の中で次のように述べた。「モサドはイラン領内における独自の作戦により、この細胞のリーダーを拘束した。この人物が取り調べに対して行った詳細な自白が、キプロスでの攻撃計画の背後にあるテロリスト細胞の発覚と解体につながった」
イラン当局は今のところコメントを出していない。
モサドは、この拘束作戦が行われた日時、容疑者の現在の居場所、キプロスでの攻撃が予定されていた日時などは明らかにしなかった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は25日、ある攻撃が阻止されたとしながらも詳細は述べていなかった。その際、キプロスはコメントを避けた。
モサドは、容疑者の名前はユーセフ・シャハバジ・アッバサリルであるとしたうえで、この人物は計画されていた攻撃を実行するために「イランの革命防衛隊の高官から詳細な指示と武器を受け取った」と述べた。
モサドを監督するイスラエル首相府が公開した動画には、アッバサリル容疑者が革命防衛隊のメンバーとの間で交わした会話を再現しているところとみられる様子が映っている。
ネタニヤフ首相は29日、イスラエル南部のハツェリム空軍基地で演説した際、イスラエルは自国に対するイランとその代理組織による攻撃の試みを「我が国と対立していない近隣諸国における」ものも含めて阻止するために「休みなく取り組んでいる」と述べた。
イランとイスラエルは宿敵同士である。イスラエルは、過激派組織による自国への攻撃をイランが支援していると非難している。一方のイランは、イスラエルがイラン政府関係者を多数殺害していると主張している。
欧米とイスラエルの当局はイランが核兵器獲得を目指す可能性を懸念しているが、イランはそのような野心を否定している。
ネタニヤフ首相は、「我々は核兵器保有に向けたイランの意図を容認しない」としたうえで、イスラエルは米国とイランの間のいかなる核合意にも拘束されないと述べた。「我々は、中東全域におけるいかなる脅威に対しても、我が国の軍による自衛の権利と義務を維持する」
ロイター