
エルサレム:イスラエルの最高裁判所の権限を弱める計画について、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は中心的な要素を撤回すると述べた。この計画は激しい論争を引き起こし、イスラエルを何か月も揺さぶっていた。しかし、首相は判事の選考方法については変更を模索していくと述べている。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」のウェブサイトに29日投稿されたインタビュー映像において、ネタニヤフ氏は、最高裁の決定を覆す権限を議会に与えることはもうないと語った。
大きな物議を醸していた「オーバーライド条項」について、同氏は「それはやめにした」と述べている。
国粋主義や宗教色の濃いネタニヤフ政権には、判事の指名において連立与党に最終的な権限を与えるという計画もある。この点について、同氏は「変更はするが取り下げることはない」としている。
「判事選出の方法は現在のようにはならないが、元のようにもならない」と首相は述べている。
極右のイタマル・ベングビール警察大臣は首相の発言に憤慨し、「デモ隊に屈した」となじっている。
そして、「私たちは統治と変化をもたらすために(人民に)選ばれた。(司法制度の)改革は公約の重要な要素だ」とツイートした。
1月の発足直後に、ネタニヤフ政権はイスラエルの司法制度を一新するプランを発表した。その際、「最高裁判所は政治の領域への権限を有さないにもかかわらず、その領域をどんどん侵食している」と訴えた。
プランは大規模な抗議活動を引き起こすと同時に、「民主主義への脅威」との非難の声も上がった。
米国政府は、一方的な変更を拙速に進めるのではなく、「改革」について幅広い同意を得るようにネタニヤフ氏に求めた。米政府は「一方的な変更はイスラエルの民主主義の健全性を損なう」と述べた。
抗議活動が何週間も続く一方で、制度変更やそれに伴う政情不安を巡って金融市場も動揺を見せ始めた。首相は3月下旬にプランを一旦棚上げし、反対派と妥協案を探ることになった。
だが、話し合いは今月中断し、首相は「制度変更を推し進める」と発言。
首相が率いる連立政権は、今週新たな法案に取り組み始めた。司法審査の基準としての「妥当性」を制限することで、最高裁の権限を弱めるという内容だ。
ネタニヤフ氏の直近の発言について、反対派の指導者たちはまだ反応を示していない。同氏は汚職事案で裁判にかけられているが、自身は罪を否定している。首相府は詳細を明らかにしていない。
ロイター