
ジェッダ/ワシントン:米国務省は、ユダヤ人入植者とみられる者らがパレスチナ人1人を殺害した事件をテロとして非難した。その際の辛辣な言葉遣いは、イスラエルの極右政権のもとでヨルダン川西岸地区における暴力事件が急増していることに対する米国の失望を反映したものとみられる。
同省は声明の中で、「我々は、19歳のパレスチナ人を殺害した過激主義的イスラエル人入植者らによるテロ攻撃を強く非難する」としたうえで、「完全な説明責任と正義」が果たされることを求めた。
イスラエル警察は、4日にブルカ村の近くで発生した事件に関連して入植者2人を拘束した。パレスチナ人らによると、この2人を含む集団が投石や車への放火を行い、村の住民らと衝突した際に19歳のパレスチナ人を射殺し数人を負傷させた。
イスラエル軍による最初の調査では、この事件は衝突がエスカレートしたもので、双方に犠牲者が出たとされた。
米国務省によるブルカ村の事件に関する声明は、テルアビブでパレスチナ人が巡査を射殺した事件をテロとして非難する声明と連続で出された。
銃や石や火炎瓶で武装した者らがイスラエル人コミュニティーを襲撃する事件が増加する中、入植者らはヨルダン川西岸地区の村々で繰り返し暴れ、大きな物的損害を与えている。
その犠牲者の中には米国との二重国籍を持つパレスチナ人らもいた。
米国が声明を出した6日、イスラエル軍はヨルダン川西岸地区でパレスチナ人3人を殺害した。
パレスチナ過激派組織「イスラム聖戦」は、この最新の死亡事件への報復を誓った。
それとは別に、ハマスは声明の中で、「我々パレスチナ民族とその勇敢なレジスタンスは、占領者による攻撃が代償を免れることを容認しない」と述べた。
民主党議員らが訪問へ
暴力が悪化する中、米下院の民主党議員24人は今週、イスラエルおよびヨルダン川西岸地区を訪問する。二国家解決の見通しやイスラエルの司法改革をはじめとする問題について話し合う予定だ。
下院民主党トップのハキーム・ジェフリーズ議員、およびステニー・ホイヤー議員が、下院民主党議員24人から成る代表団を率いる。ジェフリーズ議員の事務所が6日に出した声明によると、議員らは過激主義やイランの核能力についても議論する予定だという。
民主党のジョー・バイデン大統領はイスラエル・パレスチナ紛争の二国家解決を支持してきた。
民主党は下院では過半数を割っているが、上院では過半数を保持している。
声明は次のように述べている。「議員らはイスラエルおよびヨルダン川西岸地区への滞在中、イスラエルおよびパレスチナの指導者らとハイレベル会合を開き、様々な活動家や関係者と面会し、地域の安全保障にとって重要な地区において有意義な時間を過ごす予定である」
ヨルダン川西岸地区はパレスチナ人が国家樹立を目指す領土に含まれている。その目標に向けた米国の仲介によるイスラエルとの交渉は約10年前に行き詰まり、双方で強硬派が力を得ている。
民主党代表団による訪問は、昨年以来ヨルダン川西岸地区で暴力が悪化している中で行われる。イスラエル軍による急襲と、パレスチナ人によるイスラエル人に対する路上攻撃が増加しているのだ。
米国は最近、イスラエルの極右政権下で暴力事件が急増していることに対する失望を表明した。
イスラエル警察によると、同国治安部隊は6日、ヨルダン川西岸地区でパレスチナ過激派3人を射殺した。パレスチナ過激派組織からの報復の脅威をもたらす行動だ。
ジェフリーズ議員の事務所によると、民主党代表団はイスラエルで現在進行中の司法改革問題にも焦点を当てる予定だという。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる極右連立政権は、最高裁の権限を制限することになる司法改革を推し進めており、全国的な抗議と国際的な批判を浴びている。
支持者らは、司法改革は三権の間のバランスを取り戻すものだと主張している。一方の批判者らは、政府の権力に対する審査の権限を奪うものだとして反発している。
ロイター