チュニス:12日、チュニジア南東部のガベス港付近で移民が乗ったボートが沈没し、幼児1人と20歳の男性1人が遺体で発見された。同国の沿岸警備隊が報告した。
国家警備隊の声明によると、チュニジアからの移民20人を乗せていたこのボートは、ガベスの海岸からわずか120メートル沖で沈没した。
これまでに13人が救助され、今も行方不明の5人の捜索活動が続けられている。
声明によると、検察庁は事故の原因と状況について調査を開始した。
ガベス港から約140km離れたところにあるスファックスは、欧州に向けて地中海渡航を試みる人々の多くにとって出発地点となっている。
この地中海の危険な海域で犠牲になる人の数が増加する中、今回の事故ででまた新たな犠牲者が出た。
つい数日前にも、スファックスを出発したボートが沈没し41人が溺死したとみられると、イタリア赤十字と救助団体が伝えている。4人が救助された。
この悲劇は地域の移民危機を浮き彫りにしている。多くの人々がより良い生活を求めて欧州の海岸に辿り着こうと危険な旅に出ているのだ。
国際移住機関によると、この地中海中央の移民ルートでは今年に入って1800人以上が死亡しており、世界で最も犠牲者の多いルートとなっている。これは昨年の2倍以上の人数だという。
チュニジア沿岸警備隊によると、同隊は6月20日までの6ヶ月間に3万4290人の移民を阻止したが、その大半がサブサハラアフリカ諸国からの移民だった。2022年同期は9217人だったという。
チュニジアのカイス・サイード大統領は2月21日の演説で、非正規移民の「大群」が犯罪を引き起こし、アラブ系住民が多数派の同国に人口動態上の脅威をもたらしていると主張した。それ以来、地中海渡航を試みるアフリカ人の数は急増している。
また、7月3日にスファックスでチュニジア人と移民の間で乱闘が発生しチュニジア人男性が刺殺された事件の後、数百人の移民が逮捕されたり砂漠に追いやられたりしていることも、多くの人の逃亡を促している。
チュニジアが過酷な経済危機と深刻な穀物不足に直面する中、欧州への渡航を選択するチュニジア人が増えている。
イタリアによると、今年に入ってから9万4000人近くの移民が同国の海岸に到着したという。これは2022年同期の2倍以上の人数だ。
チュニジアからの移民は、コートジボワール、ギニア、エジプトからの移民に続く4番目に大きい移民集団となっている。
スファックス沿岸警備隊のモハメド・ボルヘン・チャムトゥリ司令官は10日、同隊は今月わずか10日間で約3000人の移民を阻止したが、その90%はアフリカの他の地域からの移民だったと語った。
EUは7月にチュニジアとの間で、移民船出航防止と密入国業者対策のために、欧州からの直接援助を1億500万ユーロ(1億1500万ドル)提供する協定を結んだ。
* AFP/AP