
バラタ難民キャンプ、ヨルダン川西岸地区: ヨルダン川西岸地区で19日、パレスチナ人とみられる容疑者による銃撃でイスラエル人2人が死亡した。イスラエル軍が発表した。同地区を揺さぶる暴力勃発の最新の事例となった。
同軍は、容疑者を捜索するとともに、ヨルダン川西岸地区北部の不安定な地域であるハワラ付近で道路検問を実施していると述べた。
ヨルダン川西岸地区では今年春以降、イスラエルとパレスチナの間の衝突により過去20年近くで最多の犠牲者が出ている。
同じく19日、今週ヨルダン川西岸地区でイスラエル軍により銃撃されていたパレスチナ人がその負傷により死亡した。パレスチナ公式メディアが同日報じた。同地区を揺さぶっている暴力の波の最新の事例となった。
パレスチナの公式通信社WAFAによると、モハメド・アブ・アサーブ氏(19)は16日、ヨルダン川西岸地区北部の都市ナブルス近郊のバラタ難民キャンプにイスラエル軍が侵入した際に頭部を銃撃された。同通信は医療関係者の証言を引用して伝えた。
イスラエル軍は16日の声明の中で、秘密の武器工場を破壊するために特殊部隊がバラタ難民キャンプを急襲したと述べた。
この工場とそこに備蓄されていた即席爆発装置を解体していた際、密集したこのキャンプの入り組んだ路地において同軍兵士らと武装したパレスチナ人らの間で銃撃戦が発生したという。
WAFAによると、アブ・アサーブ氏はこの戦闘の際に頭部を撃たれ、ナブルスのラフィディア病院に搬送されたが、後日その負傷がもとで死亡した。
パレスチナ保健当局は今のところ同氏の死亡について正式に発表していない。
アブ・アサーブ氏が過激派組織に所属していたかどうかは明らかではなく、今のところどの組織からも同氏がメンバーだったとの発表はない。
ヨルダン川西岸地区と東エルサレムでは1年以上前から暴力事件が急増している。
イスラエルは今年春以降、パレスチナ人による襲撃で死者が相次いだことを受けて、毎晩のように急襲を実施している。ヨルダン川西岸地区において過去約20年で最も激しい暴力の応酬となっている。
AP通信の集計によると、これらの地区では2023年に入ってからイスラエル軍の銃撃により180人近くが死亡している。その半数近くが過激派組織に所属していたが、イスラエル軍はその数はもっと多いと主張している。一方、同期間にパレスチナ人によるイスラエル人に対する襲撃でイスラエルとヨルダン川西岸地区において27人が死亡している。
イスラエルは、これらの急襲は過激派ネットワークを解体し今後の攻撃を阻止することを意図したものだとしている。パレスチナ側は暴力について、イスラエル政府による入植地建設拡大やユダヤ人入植者による暴力激化を含む56年にわたる占領に対する当然の反応だと考えている。
イスラエルは1967年の中東戦争で、ガザ地区および東エルサレムとともにヨルダン川西岸地区を占領した。パレスチナ人は将来の独立国家のためにこれらの領土を求めている。
AFP