ジャーバル、シリア:内戦で荒廃したシリア北部のとある川岸には、かつては豊かな森があった。しかし伐採によって、現在は木もまばらで、乾燥した脆い土から朽ち果てた幹が突き出ている有様となっている。
12年におよぶ内戦は違法伐採の急増を引き起こし、気候変動などの要因の影響と相まってシリアの緑を蝕んでいる。
ユーフラテス川岸にあるこの森は「年々縮小している」。そう話すのは、シリアのラッカ県のクルド人支配地域にあるジャーバル村のスーパーマーケット店主、アフメド・アル・シェイクさん(40)だ。
以前は、「この森は観光客や鳥を集め、空気をきれいにし、地域を砂塵嵐から守ってくれていた」という。
しかし、内戦による燃料不足や貧困蔓延のせいで、多くのシリア人が木を切って売ったり暖房用に使ったりしているため、ジャーバルを取り巻く自然は打撃を受けている。
古い城塞があるジャーバルは、内戦前は人気の観光地だった。1990年代半ばに森林再生プロジェクトが開始され、焼け付くような暑さから逃れられる貴重な避暑地となっていた。
「木を切って売って金を稼ぐ人もいれば、冬の暖房に使う人もいます」とシェイクさんは言う。
「これが続けば砂漠化が起きるでしょう」
住民らの話では、夜になると伐採者が木を切るためにバイクでこの森に入っていくのが聞こえるという。
真っ昼間でさえ若者たちが、この広大な緑地を少人数でパトロールしている森林警備隊の目を盗んで森に忍び込み木を切っている。
シリア内戦は50万人以上の死者と数百万人の難民を出している。
オランダの平和構築団体「PAX」は今年発表した報告書の中で、シリア内戦は環境にも壊滅的被害を与えており、国内の森林の「憂慮すべき」損失を引き起こしていると警告した。
グローバル・フォレスト・ウォッチのデータによると、シリアでは「森林面積が2000年以降26%減少している」という。
ジャーバルから10km(6マイル)離れたトゥワイヒナでも、木々は同じ運命に見舞われている。
看護師のモハメド・アリさん(30)は、炎天下の地面に散乱した木の幹に囲まれながら、「私が子供の頃は、友達と一緒にここに来てユーカリや松の木陰に座ったものでした」と話す。
「しかし今は荒れ地です」とアリさんは言う。「木陰は残っておらず、どこも太陽の熱が降り注ぐ場所ばかりです」
「砂塵嵐は止まらず、湖は干上がり、木は残っていません」。湖とはシリア最大の淡水ダム貯水湖であるアサド湖のことだ。
ユーフラテス川とそこから水を引いている貯水池では水位が低下し汚染が悪化している。また、この川の流量は上流のトルコ領内にあるダムからさらなる影響を受けている。
AFP