
ベイルート:汚職容疑をめぐりレバノンの暫定首相とその家族を対象に3年間にわたって実施された調査が、モナコ司法当局により証拠不十分であるとして打ち切られた。首相府が25日に発表した。
ナジーブ・ミカティ首相の首相府によると、モナコの司法副長官であるモルガン・レイモンド氏は同首相の弁護団に対し、不正蓄財とマネーロンダリングの疑いで不特定のレバノン人原告から提起されていた事件に対する調査を打ち切ったと伝えた。
首相府は、モナコの決定はこの事件が「捏造」であり「政治目的の」ためのものだったことを示しているとしたうえで、ミカティ首相とその家族はこれらの「嘘や流言」を流した者たちに対して法的措置を取る予定だと述べた。
2021年、「パンドラ文書」と名付けられた一群のリーク文書を、国際調査報道ジャーナリスト連合とベイルートの独立系デジタルメディア「ダラジ」が調査したところ、レバノンの政治家や銀行家が長年にわたりオフショアのタックスヘイブンに蓄財し、その資金で高額の不動産を購入してきたことが明らかとなった。
ミカティ氏は1990年代からパナマを拠点とするオフショア会社を所有していた。ダラジは同文書に基づいて、同氏が2008年にこのオフショア会社を使ってモナコに1000万ドル以上の不動産を購入したと報じた。
同文書には、ミカティ氏の息子マヘル氏がイギリス領ヴァージン諸島を拠点とする企業少なくとも2社の取締役だったこと、そしてミカティ氏所有のモナコを拠点とする企業「M1グループ」がロンドン中心部のオフィスを獲得するためにそれらの企業を利用していたことも記されている。
ミカティ氏は当時、家族の財産は政治に関与する前に蓄えられたもので、「世界基準に準拠」したものであり監査役によって定期的に精査されているとの声明を発表していた。
AP