
ヒューストン:米国は8日、4月にイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)による、米国が科す制裁への違反に当たる数百万ドル相当の原油の輸送を阻止して、98万バレル以上の原油を押収したことを明らかにした。
ロイターは4月、米国がタンカー「スエズ・ラジャン」に積載されていたイラン産原油を海上で押収したと報じた。米国の8日の声明は、情報筋の話を引用したこの報道の内容を裏付け細部を具体化するものとなった。
米司法省(DOJ)は声明の中で、この件でDOJが役割を果たしたことを認め、「イラン産原油の違法な販売・輸送」は対イラン制裁への違反であると述べた。当事者間の司法取引が今週公開された。
このタンカーはテキサス沖で2ヶ月半待機した後、先月になって荷揚げされた。
法的文書によると、スエズ・ラジャン・リミテッド社は4月に有罪を認め、3年間の監督処分と約250万ドルの罰金を言い渡された。
密輸原油を積んでいたタンカーの運航会社エンパイア・ナビゲーションは、協力することと、このイラン産原油を米国まで輸送することに同意した。DOJはこれについて、この種の制裁違反販売に対する初の刑事解決であるとしている。
エンパイア・ナビゲーションはこのタンカーの米国への航海に伴う多額の費用も負担した。同社は今のところコメントの要請に応じていない。
米国の擁護団体「統一反核イラン」の最高責任者であるマーク・ウォレス氏は、「これは、ギャングから抜けるための出口があるよという、イランの全ての密輸業者に対するメッセージだ」と指摘する。同団体は衛星画像を使ってタンカーの動きを追跡し、スエズ・ラジャンが別のタンカーから原油を引き取ったことを最初に指摘した。
米当局に協力したエンパイア・ナビゲーションは称賛されるべきだと同氏は言う。
DOJは、この原油輸送に関与した者らは船舶間での移し替え、自動識別システムの虚偽報告、偽造文書などの手段を用いて原油の産地を偽装しようとしたとしたうえで、このタンカーの用船者はイラン産原油の輸送を容易にするために米国の金融システムを利用したと指摘している。
この密輸原油は現在、コロンビア特別区連邦地方裁判所において民事没収訴訟の対象となっている。
没収訴訟の訴状は、タンカーに積まれていた原油はテロおよびマネーロンダリングに関する法律に基づく没収の対象であるとしているという。テロ支援国家との関連で没収に成功した資金の全額または一部は、米国の「国家支援テロ被害者基金」に充当される可能性がある。
法的文書によると、スエズ・ラジャン・リミテッドはこの貨物に関する全ての権益の喪失と全ての異議の放棄に同意した。
ロイター