
ワシントン:スーダンの紛争当事者は、対話を通じて「非良心的な戦争」を終結させなければならない、と米国の上級外交官は12日、同国での記者会見で呼びかけ、チャドとスーダンの国境にあるキャンプを先頃訪問した際の難民のひどい苦しみを強調した。
リンダ・トーマスグリーンフィールド米国国連大使はまた、スーダンの難民と周辺の受け入れ国を支援するため、米国が新たに1億6000万ドル以上の援助を約束したことを改めて発表。これで米国の包括的援助計画は約7億1000万ドルになる。
アラブニュースが出席した会見でトーマスグリーンフィールド氏は、先週チャドの国境の町アドレのキャンプを視察した際、スーダン難民の窮状を目の当たりにしたと述べた。
「アドレでは、MSF(国境なき医師団)の病院における何百人もの子どもたちに対する急性栄養失調の治療といった人命救助活動を目の当たりにしました。子どもたちはひどく低体重で、栄養失調により足首が腫れ上がり、話すことも泣くこともできないほど弱り果てていました。私の人生で最も悲しい経験のひとつと言えるでしょう」。同氏は語った。
同氏は、スーダンのダルフールやその他の地域で民間人に対する残虐行為に責任がある者たちに対して、米国政府が新たな制裁を科したという先の発表を強調した。
制裁は、スーダンの即応支援部隊(RSF)の上級司令官、アブドゥルラヒム・ハムダン・ダガロ氏、および、その兄弟であるRSFのモハメド・ハムダン・ダガロ司令官が標的となっている。
さらに同氏は、米国務省がアブドル・ラフマン・ジュマRSF総隊長兼西ダルフール司令官に対し、重大な人権侵害に関与した疑いでビザ制限を課していることを付け加えた。
トーマスグリーンフィールド氏は、米国政府が当事者たちに対話による解決を求めたことを強調した。「われわれはどちら側を支持しているわけでもありません。われわれはスーダンの人々を支援しているのです」と同氏は語った。
同氏は国際社会に対し、スーダン難民の苦しみを和らげるよう協力を呼びかけた。「米国だけでは不可能です」
「このような大規模な危機には世界的な協力が必要ですが、現時点で2023年人道危機対応計画の資金は30%をも満たしていません。私は国際社会に対して大規模な残虐行為を阻止、そしてそれに対応するため、また、スーダンで今も続いている惨事の責任を問うため、可能な限りの努力をするよう求め続けるのと同様に、国際社会に立ち上がるよう求め続けます」
トーマスグリーンフィールド氏によれば、米国はスーダンの紛争当事者に再び協議するよう、周辺国や周辺団体に働きかけているという。
「われわれは、近隣諸国、アラブ連盟、サウジアラビア、エジプト、アフリカ連合など、同地域のすべての当事者と協力してこの非良心的な戦争を終わらせるよう、両当事者に圧力をかけるために、すべての地域勢力を結集させています」と同氏は語った。
スーダンでの戦闘は、4月にスーダンの正規軍トップであるアブドゥルファッターフ・ブルハン・アブドゥルラフマーン・ブルハン氏派の部隊と、以前は軍と手を組んでいた重武装準軍事組織RSFを指揮するモハメド・ハムダン・ダガロ元副議長との間で勃発した。
国連やスーダンの当局者はここ数か月、紛争による大規模な人道的災害を警告してきた。
国連によると、スーダン国内では360万人以上が避難し、さらに95万人が近隣諸国(特にチャド、エジプト、南スーダン、中央アフリカ共和国、エチオピア)に避難している。
周辺国は、紛争当事者に対して和平協定の署名をさせることに何度も失敗してきた。