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私たちは紛争に巻き込まれた子どもたちを守らなければならない

紛争地帯の子どもたちが直面させられる困難な問題を考えれば、子どもたちの安全とウェルビーイングを守ることが極めて重要である。(AFP)
紛争地帯の子どもたちが直面させられる困難な問題を考えれば、子どもたちの安全とウェルビーイングを守ることが極めて重要である。(AFP)
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20 Oct 2023 07:10:51 GMT9
20 Oct 2023 07:10:51 GMT9

アラブの子どもたちの命が未曾有の暴力に晒されている。UNICEFの推定によれば、中東と北アフリカでは紛争の影響下にある国に暮らしている子どもの数は6,100万人強に上るという。これはつまり、アラブの子どもたちの3人に1人が暴力の被害を経験しているという衝撃的な事実を意味する。パレスチナに拠点を置く、同国の子どもの人権に関する活動を行う独立組織ディフェンス・フォー・チルドレン・インターナショナル(DCI)の推定によると、イスラエルがガザに対して仕掛けた戦争により、今月命を落としたパレスチナの子どもたちは1,200人に上るという。

悲惨な人道状況は、子どもたちに様々な悪影響を及ぼす。その核となる深刻な心理的トラウマは子どもたちの人生を損ない、感情およびメンタルのウェルビーイングに長期的な悪影響を及ぼす。若年の被害者は一般的に、不安、鬱、自尊心の低下、睡眠障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、社会的孤立、分離不安、家族や友人を失ったことへの深い悲嘆といった症状を経験する。

紛争は子どもたちとその家族に地元を放棄することを余儀なくさせ、強制退去やコミュニティの結びつきの弱体化を引き起こし、支援する仕組みがないままに不確かで不安定な未来に自分たちだけで向き合わなければならない状況を作り出す。強制的に住む場所を追われることは学校に通う生徒たちが教育の機会を奪われることにも繋がり、彼らが将来職を得るために欠かせないスキルを身につけるチャンスが減ることになる。それと同時に、生存の手段として児童労働を強制され、搾取される子どもたちも出てくるだろう。

紛争地帯に暮らす子どもたちは、肉体的負傷による衰弱や長期的な障害を被り、劇的に生活の質が落ちる可能性も抱えている。紛争地帯における食料供給の途絶は飢餓や栄養失調を引き起こし、身体および認知機能の発育不全や発育の遅れという形で子どもたちの健康に深刻な悪影響を与えかねない。最悪なのは、紛争地帯においては現在進行系の暴力、栄養失調、病気や怪我を治療するための医療サービスにアクセスできないことなどにより、小児死亡率が高いことだ。

紛争地帯における食料供給の途絶は飢餓や栄養失調を引き起こし、深刻な悪影響を与える

サラ・アル・ムラ

紛争の影響を受けたアラブの子どもたちの保護と支援は、直ちに取り組むべき、極めて重要な人道および政策的課題だ。多面的な政策的ソリューションを包括的に協力して実行すれば、紛争地帯の子どもたちの保護に大きく貢献し、彼らの権利とウェルビーイングを守ることができる。シェルター、心理的サポート、健康と栄養、教育、安全とセキュリティ、家族の再会、子どもの保護機構といった数多くの不可欠な要素を優先事項に据えることを念頭に置かなくてはならない。

そういった要素がどれだけ満たされているのかを監視するために、子どもたちのモニタリングシステムを確立する必要がある。より明確な把握のためには、多角的で包括的な子どもたちのデータ収集に加え、出生時の子どもの登録が必要だ。人道危機はたいていの場合家族の暮らしに影響を及ぼすため、経済的負担を減らすために子どもを抱える家庭をサポートするための支援プログラムを立ち上げる必要がある。この支援は住居またはシェルター、食料引換券、衣類、ヘルスケア、保育助成金といった形で行うことで、親が働けるようにするためのものだ。子どもたちが安全に遊ぶことができ、地域コミュニティと交流できる、子どもにやさしい空間づくりも行う必要がある。そうした空間は育児教室、カウンセリング、子どもの発育支援、若者の教育プログラム、法律扶助クリニックなど、幅広い家族関連の必須サービスを提供するための土台としても機能する。

時宜にかなった有効な医療サービスへのアクセスは、依然として幼児期から思春期を通じて子どものウェルビーイングにおける最優先事項であり続けるだろう。発育の節目をモニタリングするための定期検診、ワクチン接種の義務化や様々な小児疾患の治療など、あらゆる角度からのサービスを提供しなければならない。人道環境は身体的な負傷や死亡のリスクが高く、恒久的な障害や子どもの死亡リスクを最小限に抑えるために緊急の負傷治療を迅速に提供できるようにすることが必要とされる。

時宜にかなった有効な医療サービスへのアクセスは、依然として幼児期から思春期を通じて子どものウェルビーイングにおける最優先事項であり続けるだろう

サラ・アル・ムラ

子どもたちのウェルビーイングを守り、未来の可能性をより良いものにするために、いかなる人道戦略においても教育は課題に含めておく必要がある。第一に、子どもたちが教育を継続できるよう、複数の適切な立地に安全な臨時の学習環境を整えるべきだ。この地域の不安定な状況を考えれば、授業時間は柔軟に設定しても良いし、オンライン授業やeラーニング教材へのアクセスが変革をもたらすソリューションになるかもしれない。本を配布して回るための移動式図書館の設置に加えて、子どもへの本や教材の配布には支援が必要になるだろう。

紛争が子どもたちのウェルビーイングに大きな影響を及ぼすことは間違いない。そのため、ソーシャルワーカー、教師、心理学者らの専門性を集約し、子どもたちが様々な感情やメンタル面の問題と向き合い、立ち直るための術を身につけられるようにすることが最優先事項となる。トラウマ教育、ストレスを軽減するテクニック、不安や恐怖への対処法などを組み込むことで、紛争の影響の一部を軽減し、立ち直る力を高めることができるだろう。さらに子どもたちには、さらなる緊急事態が起きたときに自分を守るための手順を教えておくべきだ。

戦争の混乱の中では、子どもたちが家族と離れてしまい、暴力、虐待、搾取、ネグレクトをとりわけ受けやすい状況に置かれる可能性がある。こうした困難にうまく反応して対処するためには、家族との離別という問題自体に対して妥協なき介入を行い、一時的あるいは代替ケアを提供し、最終的に家族の追跡プログラムを通じて別れた家族と子どもを再会させることが不可欠だ。こうした重大な問題にあっては、子どもたちが専門かつ専任の子ども保護チームに支援を求められるよう、コミュニケーションの手段を維持しておくことが不可欠である。コミュニティを中心とした草の根の子ども保護ネットワークを構築することは、子どもの保護に関する問題が起きた際にそれを察知し対応するために極めて重要だ。

子どもたちが直面させられる困難な問題を考えれば、世界、地域、ローカルの関係者が協力し、子どもたちの安全とウェルビーイングを守ることが極めて重要である。

  • サラ・アル・ムラ氏は人材育成政策と児童文学に関心を寄せるUAEの公務員。連絡先はこちらwww.amorelicious.com.
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