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ICJ法廷で明確に示されたイスラエルによるジェノサイドの意図

2024年1月12日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所近くに集まった親パレスチナ抗議活動参加者たち。(ロイター通信)
2024年1月12日、オランダ・ハーグの国際司法裁判所近くに集まった親パレスチナ抗議活動参加者たち。(ロイター通信)
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15 Jan 2024 07:01:35 GMT9
15 Jan 2024 07:01:35 GMT9

ジェノサイド(大量虐殺)行為の責めを国家に負わせようとする際の最大の課題の一つは、その国の指導者(政治および軍事の双方)にジェノサイドの意図があったこと、そしてそれが実際に起こったことであることを証明する必要があることだとわかっている。

後者については、ビデオや写真といったデジタル画像のおかげで、比較的簡単に証明することができるが、意図を証明することは概してたいへん難しい。

先週、南アフリカが国際司法裁判所(ICJ)で行った、ガザ戦争でイスラエルがジェノサイドを犯したと非難する弁論で、最もパワフルかつ説得力があったのは、おそらくイスラエル当局者らによる公式声明とその声明を周知させられるイスラエル兵のビデオであった。南アフリカの書面による報告書では、意図の有無に関する記述が9ページにも及んだ。

イスラエルの場合、ガザ地区のパレスチナ人に対するジェノサイドの意図の証明は、イスラエル当局者の公式発言でこの目標自体が宣言されているため容易になった。10月7日のハマスによる攻撃以降、特にパレスチナ人の殲滅を呼び掛ける公的宣言が多く出されており、それらは今でも普通にオンラインで閲覧可能となっている。現代のテクノロジーは、当局が国民に向けて発信する手段として機能する役割を持つと同時に、簡単に否定することができない告発者にとっての動かぬデジタルな証拠にもなっている。

南アフリカの弁護団が口頭弁論の比較的凝縮された時間枠でできたことは、イスラエルの政治と軍の高官が話した言葉と、軍隊によるその言葉の理解の仕方との関連性を示すことであった。

一方、イスラエルは、声明の多くは「節度を欠いた」ものではあるものの、ジェノサイドの呼びかけには当たらないとの認識など、さまざまな方法でこれら主張への反論を試みた。同国の主張の要旨は、声明は高官によってなされたものではなく、軍や軍評議会によって発せられた具体的な命令でもないという2点である。

1948年のジェノサイド条約の第2条では、ジェノサイドを「国民的、民族的、人種的、又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意図をもって、集団構成員を殺害すること、集団構成員に対する重大な肉体的又は精神的な危害を加えること、全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること、集団内における出生を防止することを意図する措置を課すること、集団の児童を他の集団に強制的に移すことのいずれも」と定義されている。

ジェノサイドの意図を示す最善の方法は、被告または被告が従っている指揮系統の上層部の人物による命令の証拠を入手することだが、別の方法は、集団の破壊に必然的につながる行動の明確なパターンを示すことである。意図の確証を得るのは難しい場合があるが、プロパガンダ、ヘイトスピーチ、または国の政策にそれを見て取れる可能性がある。

破壊の意図は、特定の集団の重大な人権侵害に至る広範な差別行為として現れることがある。また、行為の広範または体系的な性質や使用される武器の種類から推測することもできる。

具体的にパレスチナ人の殲滅を呼び掛ける公的宣言が多くなされている。

ダオウド・クタブ

南アフリカの弁護団ははっきりと物を申した。イスラエルには「ガザ地区のパレスチナ人に対するジェノサイドの意図」があると国際司法裁判所に伝えた。南アフリカを代表するアディラ・ハッシム氏は裁判所に対して、「イスラエルはガザ地区を、従来の爆撃作戦において近代戦争史上最も激しいと言われるような攻撃にさらした」と述べた。

南アフリカの弁護団は、ジェノサイドが事前に宣言されることは決してないことを認める一方で、「この裁判所には過去13週間の証拠があり、そこには明確な行動のパターンと関連する意図が示されており、ジェノサイド行為という妥当な主張を正当化するものだ」とハッシム氏は説明した。

南アフリカ高等法院の優秀な法律家であるテンベカ・ヌクカイトビ氏は、法廷ではっきりと発言し、イスラエルの意図は「この軍事攻撃の実施方法から」明確であると主張した。ヌクカイトビ氏は、「イスラエル国家のあらゆる領域でジェノサイド的な言論が何度も繰り返され」ており、「ジェノサイドの意図の証拠は恐ろしいだけでなく、圧倒的で議論の余地がない」と述べた。

ヌクカイトビ氏は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が二度、預言者サムエルがサウル王に告げたとされる聖書の話をしたことについて指摘した。その中でサムエルは、サウル王に対し、「アマレク人に罰を下す。イスラエル人がエジプトを脱出した時、彼らが領地内を通るのを拒否したからだ。さあ、攻め上ってアマレク人を一人残らず打ちなさい。男も女も、子どもも赤ん坊も、牛も羊も、らくだもろばも徹底的に打つのだ」という主のお告げを伝えたのだ。この南アフリカの法律家は、ネタニヤフ首相が兵士たちに、「アマレク人があなた方にしたことを忘れてはいけないと聖書には書かれている。そして、我々は忘れていない」と語ったことを指摘した。

イスラエル軍最高司令官によるこのジェノサイドをにおわす呼びかけの後、銃を高く掲げて踊るイスラエル兵のビデオが流された。彼らは命令を理解し、何をすべきかわかっていると繰り返し唱えた。

首相、大統領、国防相をはじめとするイスラエルの政治高官からそのさまざまな部下まで、全員がパレスチナ人を殲滅し、ガザ地区を住めなくする必要性について語っている。これが過去3か月の間に起こったことだ。ジェノサイドの意図とその実際の実行は、国際司法裁判所で疑いの余地なく証明されている。

  • 受賞歴のあるパレスチナ人ジャーナリストのダオウド・クタブ氏は、Community Media Networkのディレクターを務めている。
    X: @daoudkuttab
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