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レバノンでコレラ感染が拡大

レバノンのケセルワン・ジュベイル地区にあるジュニーエ湾。(ウィキメディア・コモンズ)
レバノンのケセルワン・ジュベイル地区にあるジュニーエ湾。(ウィキメディア・コモンズ)
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20 Oct 2022 02:10:37 GMT9
20 Oct 2022 02:10:37 GMT9
  • フィラス・アビアド保健相は、感染者の大半はシリア難民であると述べた
  • 「多くの地域で水が汚染されており、それが感染者数増加の主な要因となっている」―フィラス・アビアド氏

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンではコレラ感染が急速に拡大しており、今週の2日間で80人の感染者が確認された。

レバノンのフィラス・アビアド保健相は19日、感染者の大半はシリア人難民だと述べた。しかし、アビアド氏は、「レバノン人の間でも感染者が増えてきている」と付言した。

同省によると、レバノン山のあるケセルワン地域の2人を含め、新たに見つかった感染者は合計169人に上った。死亡者は新たに2人確認され、計5人になった。

レバノンは10月5日、北部のアッカル地方でシリア人難民とレバノン人女性の計2名のコレラ感染者が初めて確認された。この地域に複数あるシリアとの国境地点でも、これまでに計数百人の感染者が確認されている。

アビアド氏は次のように述べた。「灌漑用水を利用して作られた野菜の汚染に加えて、多くの地域で水が汚染されている。それが感染者数増加の主な要因となっている。また、そうした感染者と接触することも増加の一因だ」

同氏は、計画停電のため、水汲み場から「十分な」清浄水が得られなくなっている点も指摘した。

さらに同氏、「水道パイプラインに残った水は、しばらくすると汚染されてしまう。このため、きれいな水を確保するためには、浄水場に十分な電力を供給することが重要となる」と述べた。

「汚染された可能性がある水を取り除くため、ユニセフが、ベカーと北レバノン両地域の水汲み場で使用するディーゼル機器を確保した」

アビアド氏は、感染拡大の解決策は「水を浄化するために配布する塩素の量を十分に確保する」ことだとした上で、保健省がシリアとの国境地帯にあるアルサルに野戦病院を整備していると述べた。

「医薬品と血清を配布するため、8つの野戦病院が準備されている。コレラのホットスポットがいくつもあるため、世界的に利用できるワクチンは不足しているが、数量の確保は約束されている」

レバノンでは、経済が破綻状態に陥る中、コレラの蔓延によって医療部門が大きな打撃を受けている。同国では32年前、全国的にコレラが発生し、多くの死者が出たことがある。

国会保健委員会の委員で医師でもあるビラル・アブダラ議員は、症例の増加は憂慮すべきことだと述べた。

「関係当局は、衛生、水の安全、担当国際機関の手続きの問題をフォローアップするとともに、シリアの感染拡大地域との国境地点の人の移動を制御する必要がある」とアブダラ氏は述べた。

コレラ感染はベカー地域で広がっており、これまでに14人の感染者が見つかっている。先週、カブ・エリアス難民キャンプで、レバノン北部にある感染地域の難民キャンプから移動してきた難民の感染者が1人、確認された。また、ティムニン・エル・タフタ難民キャンプでも、2人の感染者が確認された。

アラブニュースが入手した報告書によると、国連の人道支援組織ユニセフは、「最近の重なり合う危機は、レバノンの難民受け入れ先の住民と難民による医療サービス、安全で清潔な飲料水、衛生サービスへのアクセスに大きな影響を与えている 」と述べている。

ユニセフは、感染者数は「これからも増え続ける」とみている。

ユニセフは、世界保健機関(WHO)やレバノン政府と協力しながら、「コレラの発生を抑え、死亡率を減らすための共同対策計画を策定した」と発表した。

 その当面の対策は、現在の水と衛生のシステムを強化することだという。

ユニセフは10月8日以降、8万リットルの燃料を給水ポンプ場と下水処理場に配布したという。

また、ユニセフは、コレラ患者や中程度から重度の下痢などのコレラの症状のある患者計5,000人分の経口補水塩や、コレラ治療キット15万個を含む医療物資を確保した。

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