冬季五輪・パラリンピック招致を目指している札幌市が2030年大会を断念し、34年以降に切り替えることになった。秋元克広市長と日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長が11日、東京都内で会談後に記者会見し、表明した。
山下会長はJOCから札幌市に変更を提案したとして、「招致への理解が進んでいない。30年大会ありきで拙速に進めるのは好ましくない」と説明。国際オリンピック委員会(IOC)が住民支持率に懸念を示したことも明らかにした。IOCが年内にも30年大会の候補を絞り込む可能性があることも理由に挙げた。
秋元市長は、21年東京五輪を巡る汚職・談合事件や、東京大会の経費が増大したことに触れ、「大きな不信感と不安があった。市民の理解が得られなかった」と述べた。
34年大会に関し、山下会長は市民から支持を得ているソルトレークシティー(米国)が優勢だと認め、秋元市長は「かなり厳しい状況にあると認識している」と語った。
招致を白紙に戻す考えについて問われた秋元市長は「どうすれば支持と理解が広がっていくかをJOCと考えていきたい。ターゲットが34年かそれ以降かは国際情勢も踏まえて精査していく」と述べるにとどめた。
時事通信