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アラブ世界は団結してイスラエルの併合計画に反対すべきだ

23 May 2020
ヨルダン川西岸地区のラマッラーでパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領の出迎えを受けるヨルダン国王アブドゥッラー2世(左)。2017年8月7日撮影。(ゲッティイメージズ)
ヨルダン川西岸地区のラマッラーでパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領の出迎えを受けるヨルダン国王アブドゥッラー2世(左)。2017年8月7日撮影。(ゲッティイメージズ)
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世界中がコロナウイルスのパンデミックとの闘いに専念し、多くの国がその経済的、政治的影響に喘いでいるというのに、イスラエルはアラブ人の土地を併合するという野心を忘れていない。

イスラエルは、ヨルダン渓谷とヨルダン川西岸地区の一部を併合する計画を進める意向だと宣言した。それが国際法の原則にも国際関係を支配する原則や慣習にも大きく違反する行為であるにも関わらずだ。

この決定をイスラエル当局が見直すことはないと思われる。今やイスラエルにとっては、決定したことの実現に取り掛かりさえすればよいのだ。そしてこれにより、東エルサレムやシリア領ゴラン高原の併合の可能性が再び高まることにもなる。

イスラエルは、ヨルダン渓谷(ヨルダン川西岸地区の30%を占める)併合のプロセスを開始した。1967年のヨルダン川西岸地区占拠後に作られたいわゆるアロン・プランを実行に移すことから始めるつもりである。1967年の占拠以来、条件が許せばいつでもその一部を併合できるように、イスラエルは軍事的に、植民地的に、行政的に、そして安全保障上においても準備を進めてきた。

ヨルダン渓谷は完全にイスラエル主権下におく必要があるという主張の裏付けとして、この地域をイスラエルの安全保障上重要な地域だとしてきた。地域をイスラエルの国家安全保障問題に結びつける作戦を取ってきたのだ。イスラエルはこれによって東部戦線の安全が保障されると主張し、この理屈でトランプ政権を説得することにも成功した。

イスラエル側で、今後のいかなる政治的解決においてもヨルダン渓谷は特別なステータスとして扱うべきという主張にコンセンサスがあることは明らかのようだ。右派と極右と宗教団体の間で、いかなる状況下においてもヨルダン渓谷は放棄しないというコンセンサスがあるのだ。たとえそれが和平プロセスの一部であっても、である。

アラブ連盟が併合計画を非難し拒否しているにもかかわらず、イスラエルは傲慢な行動を続けるばかりだ。

ヨルダンのアブドゥッラー国王は、イスラエルの計画を非難する力強い声明を発表した。国王は脅迫までちらつかせ、一部のイスラエルメディアはこれを重大事として扱った。

エジプトはこの危機に対し明確かつ誤解の余地のない姿勢を示し、それはサーメハ・シュクリ外務大臣の発言にもはっきりと表れていた。サーメハ・シュクリ外相は、パレスチナの大義はアラブ諸国にとっても中心となる大義であって、エジプトがコロナウイルスとの闘いによってその大義から目を奪われることはないと述べた。イスラエルの占領によってパレスチナの人々はこれまで大いに苦しんできたが、その苦しみは今後も続くだろうという。

「こうした困難な事態のなか、アラブ諸国として我々は互いに手を握り合う必要がある。そうすることにより、公正で包括的な和平を達成し、それを1967年の国境線に基づいた、東エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家の樹立につなげる、という我々の取り組みを力説するのだ」とシュクリ外相は述べた。

世界は新型コロナウイルスに気を奪われているが、イスラエルはこれを単独行動に出て現場で既成事実を作ってしまえる機会と見たのである。パンデミックを悪用したのだ。これについてシュクリ外相は、こうしたイスラエルの行動がテロや過激主義のイデオロギーを刺激し、この地域を新たな暴力の循環に陥らせてしまうと懸念する。

「過去数十年における我々のテロとの戦いの努力が、これですべて逆戻りしてしまうことになる」と外相は付言した。

これはいつものことだが、エジプトやアラブ世界による批判によってイスラエルが自分達で決めたことを再考するとは考えられない。イスラエルがヨルダン渓谷併合の準備を始めたのは今よりずっと以前のことだからだ。

この地域には約7万人のパレスチナ人が住んでおり、それに加えて19の集落に約15,000人のイスラエル人入植者が住んでいる。このイスラエル入植地は、米・イスラエルの合同委員会が新たな国境線を決定する際にイスラエルがあえて重要な土地とした領域の1つだ。同委員会は昨年10月の米国主導による、「世紀の取引」とも呼ばれる和平案の後で発足した。

4月20日にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とベニー・ガンツ国防相(2021年に首相の座を狙う)が新政権樹立に向け取り決めた合意の中には、併合に必要な法的手続と行政手続のタイムラインが含まれていた。これは歴史上始めてのことだ。合意の中では、2020年7月に「ヨルダン川西岸地区の入植地を含む広大な地域にイスラエルの主権を適用する」と言及されている。

つまり、これらの土地を併合する意図があるということだ。いかなる状況下でもこれらの土地を放棄することはないとのコンセンサスがイスラエル政治勢力の間にあることから、ここは特に譲れないというのであろう。

エジプト政府は以前はトランプ政権によるこの中東和平イニシアチブを拒否していたが、この1月、パレスチナ人のための公正で包括的な和平合意達成に向けた米国の継続的な努力を高く評価し、米国の努力は中東の平和と安定に寄与すると述べた。ただし、いかなる和平のイニシアチブも、国際法的な常識に基づいて、占領されたパレスチナ自治区における独立した主権国家の樹立を通じてパレスチナ人のすべての正当な権利を回復するものでなければならないと付け加えている。

エジプト外務省はその際、イスラエルとパレスチナに対し、米国の和平ビジョンについて注意深く研究し、そのすべての側面を検討し、米国の仲介の下に対話のチャネルを開き交渉を再開して、公正で包括的な和平に対する両者の願望と期待に応えるような合意に達するよう求めたほか、合意にはパレスチナ独立国家樹立が含まれなければならないとした。

アラブ連盟は、今週開催された会議で決議8522号を採択した。この決議にはイスラエルの併合決定およびそれに対する米国の支援に対処するための12項目が含まれている。これが賢明な策だったことに間違いはない。

同様に4月30日、イスラエルのEU大使とEU 9か国の大使が、ネタニヤフ首相とガンツ国防省に対しイスラエル政府の併合計画に関する正式な抗議を申し立てた。これもまた、パレスチナの大義に対する欧州の全般的な支持を反映するものとして前向きな動きと言えよう。だがアラブ諸国は、エジプトなどの世界的に影響力のある国々の先導によって、より緊急に、より効果的に行動する必要がある。たとえば、国連安全保障理事会の緊急会議開催を要求し、併合問題とその影響に関する討論を行い、イスラエルの行動を拒否する決議案に票を投じる、といったことができるのではないか。

アラブ人とパレスチナ人は、イスラエルの強欲に道を明け渡さないよう代替戦略を打つ必要がある。

アブデルラティフ・エル=メナウィ博士

また、アラブ政府の中には米国政府と良好な関係を持つ政府もあることから、その関係を利用して、併合が強行されることになれば、イスラエルの行動は中東の平和と安定に深刻な影響を与えることになり、ヨルダン川西岸地区に政治的不安や緊張をもたらし、そうなったら誰の手にも負えなくなるだろうということをトランプ政権に印象づけることも可能なのではないか。

アラブ人とパレスチナ人はまた、強欲とも言えるし不公平とも言えるイスラエルの和平案に道を明け渡さないよう、代替戦略を打つ必要もある。これまでずっと拒否や批判や非難に賭けてきたアラブ人は、それによって自らの権利を奪われるだけだったからである。

アブデルラティフ・エル=メナウィ博士は、世界各地の戦争や紛争に関する報道で高い評価を得るマルチメディアジャーナリストであり、作家、コラムニストである。ツイッター:@ALMenawy

ヨルダン川西岸地区のラマッラーでパレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領の出迎えを受けるヨルダン国王アブドゥッラー2世(左)。2017年8月7日撮影。(ゲッティイメージズ)

オピニオン:アラブ人とパレスチナ人は、イスラエルの強欲に道を明け渡さないよう代替戦略を打つ必要がある、と@ALMenawyは書く。

 

 

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