Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 未分類
  • アメリカはキプロスの武器禁輸を解除して何を目指す?

アメリカはキプロスの武器禁輸を解除して何を目指す?

キプロス、ギリシャ、イタリア、フランスの軍艦が、8月26日から28日まで、東地中海のトルコ南部で実施された合同軍事演習に参加している。(AP通信)
キプロス、ギリシャ、イタリア、フランスの軍艦が、8月26日から28日まで、東地中海のトルコ南部で実施された合同軍事演習に参加している。(AP通信)
Short Url:
05 Sep 2020 06:09:39 GMT9
05 Sep 2020 06:09:39 GMT9
  • 地中海東側地域で交戦中の両国の緊張感が既に高まっている中、不安が増大している

メネクセ・トキャイ

アンカラ:アメリカのマイク・ポンペオ国務長官が9月1日、1987年からのキプロスへの武器輸出の禁止は、部分的に解除されることになると発表し、地中海東岸で継続中の論争に、新たな要素が導入された。

これがアメリカ政府の真意と、そしてトルコ政府がガス試錐している紛争水域での同政府の軍事演習と関連しているのかどうかについては、専門家たちの意見が分かれている。

アメリカの決定は、非致命的な武器をキプロス共和国に、売却することに1年間ゴーサインを出すことになる。この決定は、9月2日にトルコ外務省によって強い非難を受けた。トルコはアメリカ政府がこの決定を見直さなければ、一方的な措置を取ることを明らかにした。

トルコ政府はアメリカの動きにより、ギリシャ系指導者たちが、キプロスのトルコ系側、北キプロスとの長年にわたる統一会談を思いとどまるかもしれないと述べた。

しかし、外交政策研究所の中東研究プログラムのディレクター、アーロン・ステイン氏にとって、このアメリカの決定は、トルコというよりはむしろ、ロシアに関係があったように思っている。

「キプロス島へのロシアの影響に抵抗し始めようとするアメリカの試みを、強く求めているアメリカ的思考から、緊張感が生じているのです」と、ステイン氏はアラブニュースに語った。

2019年の東地中海安全保障とエネルギーパートナーシップ法のもと、アメリカ政府はギリシャとキプロスとの関係を強化し、ロシアの軍用艦艇がキプロスのリマソール港に停泊し、燃料補給するのを止めさせようとして、両国に安全保障援助を提供した。

ステイン氏によると、トルコはあまりにも人気がないので、アメリカ議会の中で、こうした取り組みを止めるための支援が一切得られないという。「そういう訳で、この方針を推し進めていたアメリカ国務省の人々は、この方針を推し進めることができたのです」と、ステイン氏は付け加えた。

その一方で、NATOのイェンス・ストルテンベルク事務総長は先週の水曜日、ギリシャとトルコが、地中海東岸での「軍事衝突回避メカニズムの確立と事件・事故の危険性削減」のために、技術的協議を始めることに合意したと発表した。

アラブセンターの中東外交政策アナリスト、ジョー・マカロン氏は、ドナルド・トランプ大統領に圧力をかけ、地中海東岸でのトルコの政策に反対するように促していた声が、アメリカ政府の内部で高まっていると思っていた。

「そして、ロシアのS-400地対空ミサイルシステムの第2陣を引き渡す契約に、今やトルコが調印したので、この圧力は高まる一方です」と、マカロン氏はアラブニュースに語った。

8月下旬、伝えられるところによると、トルコ政府とロシア政府は地対空防衛システムの2度目の引き渡しを行う契約し、ロシアからこうしたシステムを購入した最初のNATO加盟国になったという。

こうした圧力がかかっていることは、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とハマスの会談を、アメリカが最近非難したことや、そして、今やこのキプロスへの武器禁輸部分解除でも、はっきりと見て取れる、とマカロン氏は語った。

「この決定は1年限り有効であり、非致命的軍事設備だけに限定されているので、アメリカは地中海東岸の緊張の中で、必ずしもフランスに加担せず、トルコといくらか距離を取っています」と、マカロン氏は語った。

ギリシャとトルコは地中海東部で、広範囲なエネルギー調査を実施しており、海洋境界の認識で対立があり、これと同様に、トルコとキプロスは、1974年以来この分割された島周辺の沖合に埋蔵されたガスを巡って長く反目してきた。

米国ジャーマン・マーシャル財団のアンカラ事務所のオズグル・ウンルヒサルシクリ所長は、アメリカの決定は、キプロスをロシアから遠ざけさせる試みの一環であることに同意した。

「このタイミングは、近づきつつあるアメリカ大統領選挙と関係しているのかもしれません。トルコ系アメリカ人約35万人に対して、ギリシャ系アメリカ人は約140万人いるからです」と、ウンルヒサルシクリ所長はアラブニュースに語った。

それにもかかわらず、この動きはキプロス島の軍事バランスを一切変えないだろうが、このタイミングは不幸だった。なぜならこれによって、現在の自国政策が正しい、とギリシャ系キプロス人が受け取り、キプロスとのエネルギー資源の搾取に関して、北キプロス・トルコ共和国との対話開始を思いとどまるかもしれないからだ。

その一方で、ベルギー政府は今月中にある首脳会合の間に、トルコへ一連の制裁を課すかどうかを議論する予定だ。

topics
特に人気
オススメ

return to top