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中国とGCCの関係が、新しい世界秩序への道を切り開くかもしれない

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25 Apr 2022 08:04:28 GMT9
25 Apr 2022 08:04:28 GMT9

世界秩序がどのように形成されるかについて、ヘンリー・キッシンジャー氏の2014年の見解がこれほど適切であったことはないだろう。

米国の元国務長官であるキッシンジャー氏は、著書『国際秩序(World Order)』の中でこう記した。「『グローバル世界』の真の秩序は、これまで存在しなかった。現代において秩序と考えられているものは、約4世紀前に西ヨーロッパで考案された秩序である。ドイツのウェストファリアで開催された和平会議において、他の多くの大陸や文明が関与することなく、意識されることもなく行われたものだ。」

今日、グローバリゼーションの流れと前代未聞のスピードで進行する時事的問題により、真の世界経済秩序が初めて確立される可能性がある。この経済秩序は西洋に根ざしたものではなく、東洋へとシフトしていくものである。そして、湾岸諸国がそのムーブメントの強力なきっかけとなる可能性がある。

湾岸諸国最大の経済国であるサウジアラビアとUAEは、バイデン政権による近年の中東政策への不満から、ウクライナとの紛争をめぐる同政権のロシアへのアプローチへの協力をほぼ拒絶している。米国からの呼びかけに応じようとしない一方で、バッシャール・アル=アサド大統領を迎え、さらにプーチン大統領や習近平国家主席と会談を行う姿勢は、米国との緊張関係を如実に物語っている。

これは、湾岸諸国が米国の経済的ライバルである中国とより強い関係を築き始めているためである。2022年後半にサウジアラビアで開催される予定の第1回中国・アラブサミットに向け、中国政府は「新時代の未来を共有する中国・アラブコミュニティ」の構築を目指すと宣言している。これは湾岸諸国にとって非常に意味がある発言だ。

中国はアジア、アフリカ、ヨーロッパを結ぶインフラ計画「一帯一路」を推進する一方で、湾岸諸国はアジア全域とより強い繋がりを求めており、両地域は互いの計画を補完し合っていると言える。

米国と中東のこの厳しい状況が、中東地域における中国の影響力を高めるための土台となった。今後、中国と湾岸諸国は優先順位を変更し、経済的な相互依存関係をより強固なものにしていくと思われる。

しかし、これは全く新しい領域というわけではない。中国企業にとって、中東地域は常に肥沃な土地であった。中国企業はGCCにおける最大の外資であり、しばしば大規模建設を手掛けている。2022年FIFAワールドカップのメイン会場となるカタールのルサイル・スタジアム、アラブ首長国連邦やオマーンの港湾、産業インフラ、サウジアラビアの高速鉄道やヤンブー製油所など、中国企業は多くの建設契約を手掛けているのだ。

今年1月には、GCC首脳が中国を訪れ、王毅外相と5日間にわたって関係強化を狙った会談を行った。2028年までに米国を追い抜くと予想されている世界第2位の経済大国である中国が、炭化水素市場の主要プレーヤーから低価格での石油供給を望んでいるのは間違いない。中国は世界最大の石油輸入国であるが、そのほぼ半分をGCCから輸入している。一方で、GCCは石油依存経済から脱却し、多角化につながる事業を模索している。

また、輸出入関係を強固にするための自由貿易協定締結に向けても交渉が進んでいる。GCCにとって中国は最大の貿易相手国であるため、協定締結は特に重要となる。中国の「一帯一路」構想も、国際貿易路の交差点に位置するGCCの戦略的立地から利益を得ることができる。インフラ整備の中心はエネルギーであり、陸上および海上のパイプラインが中東・北アフリカ地域と中国やその他の国々を結ぶことになろう。また、このようなプロジェクトへの投資活動は、GCCと中国との間の資金調達経路を拡大することになる。

中東に対する米国の一貫性のない政策を目の当たりにし、湾岸諸国は中国との経済的な結びつきを、慎重でありながらもオープンな姿勢で受け入れてきた。欧米諸国が「中東疲れ」を起こしている一方、中国のインフラ計画は中東地域に対するコミットメントを示している。

湾岸諸国が東方へ軸足を移動したことは、政治的・安全保障的な利益を守るための単なるヘッジ戦術であるという意見もあるだろう。しかし、この出来事が経済同盟や地域のパワーパートナーシップにおける大規模な再編の兆しである可能性もある。

何十年にも渡り欧米諸国は中東・北アフリカ地域で絶大な力を行使してきたが、これまでは深刻な脅威にさらされることは多くなかった。しかし、湾岸諸国によるパワーパートナーシップの再編は、世界の経済活動の中心地の移動を促し、その他の急速に台頭する強力な経済国も東方に歩みを進めていく前例となる可能性がある。

これは、中国および人民元を中心とした将来の世界秩序を保証するものではない。しかし、これは米国と湾岸諸国が直面する難しい局面が生み出した結果であるかもしれない。長期的な関係性には困難を伴う時期がつきものだが、本件についてカップルセラピーが効果を発揮するかは不明である。とりわけ、湾岸諸国の将来的な繁栄に向けた代替案がますます望まれている時代には。

  • ルーピナ・マールーフ氏は、レバノン・アメリカン大学にて経済学および政治学の学位を取得。世界情勢における政治と経済の相互作用について議論する。
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