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気候変動対策の野心を行動に移すサウジアラビア

(ANアーカイブ)
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15 Nov 2022 12:11:04 GMT9
15 Nov 2022 12:11:04 GMT9
  • ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は2021年に「サウジ・グリーン・イニシアティブ」と「中東グリーン・イニシアティブ」を立ち上げた
  • プロジェクトには、都市環境の気温を下げるための公園の増設や数百万本の植樹が含まれる

ジェッダ:サウジアラビアの首都リヤドに着陸しようとする飛行機の乗客は、緑地が街の至るところに顔を出していることに必ず気づく。

10年弱前には、上空からの光景はむしろ「スター・ウォーズ」に出てくる架空の惑星タトゥイーンにそっくりだった。

サウジアラビアは国土の大半が砂漠に覆われているものの、近年は自国の生物多様性の保全・回復に精力的に取り組むとともに、国土の各地を緑の保護区に変えることでより持続可能な未来を選択している。

昨年、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は「サウジ・グリーン・イニシアティブ」と「中東グリーン・イニシアティブ」を同時に立ち上げた。これらは、大気中の二酸化炭素の回収、土壌の質の改善、生活の質の向上のための世界最大の植林プロジェクトを全面に出している。

エジプトのリゾート地シャルム・エル・シェイクで開催中の国連気候サミット(COP27)に合わせて、第2回「サウジ・グリーン・イニシアティブ」フォーラムが11月11日~12日に行われた。

これらのイニシアティブの立ち上げの際、皇太子は次のように述べた。「我々は世界のトップ産油国として、気候危機対策を進める責任があることを十分に認識している。また、石油と天然ガスの時代にエネルギー市場の安定化において主導的な役割を担ったように、来るべきグリーン時代においても主導すべく取り組んでいく」

地球温暖化は既にサウジアラビアおよび中東に被害をもたらしている。作物の生育や地下帯水層の再充填に必要な降雨の減少、砂漠化の進行、土壌劣化、砂塵嵐の規模と頻度の増大などが起こっているのだ。

2つのイニシアティブは、サウジアラビアおよび地域が、気候変動の影響に適応あるいはそれを軽減し、温室効果ガス排出やその他の環境汚染物質を削減する技術や実践を導入するのを支援することを目指している。

このような円形の農場がサウジアラビア各地に広がっている。(AFPファイル写真)

これらのイニシアティブのもと、公衆衛生の改善、生活の質の向上、持続可能な生活様式の促進を支援するために、2021年末までにコミュニティをベースとした約60のプロジェクトや民間部門との提携事業が既に立ち上げられている。

これら全ての中心に位置するのがリヤド市だ。

成長を続けるこの大都市を地域における経済・社会・文化のハブに転換することを目指す8000億ドル規模のプロジェクトにより、その人口は今後数十年間で2倍以上に増加すると予想されている。

当然ながら、そのような転換には環境面での課題が伴う。

2019年、世界最大の総合的都市緑化プロジェクト「グリーン・リヤド・プロジェクト」が、リヤドに750万本の植樹を行うことで緑地面積を一人あたり1.7平方メートルから28平方メートルに増やし、合計緑地面積をリヤドの総面積の9%にする計画を発表した。

このプロジェクトは、リヤドの植林部分の気温を平均8~15度下げ、空気の質を3~6%向上させ、都心の全体的な景観を改善することを目指している。

建築家で都市研究者のアブドゥラー・アルダケーラッラー氏はアラブニュースに対し、リヤドの位置や高い人口密度を考えると、サウジビジョン2030の「クオリティ・オブ・ライフ・プログラム」が設定した目標を満たす持続可能な都市になるには時間と努力と投資が必要だろうと言う。

コミュニティ参加はサウジのグリーンイニシアティブの主要な目標だ。(ANアーカイブ)

同氏は次のように語った。「都市エリアは緑地を取り入れるだけではなく、基本的な設備、環境に配慮した娯楽空間、道路や地区の緑化、歩道や歩行者専用道路の建設なども提供しなければならない」

「サウジのプロジェクトは、都市全体の改善に貢献するような独自の形で『クオリティ・オブ・ライフ・プログラム』の主要戦略に合わせて調節される必要がある」

「土地の中にグリーンポケットがあれば、都市が豊かになり、屋外でのレクリエーション活動が促進され、市民の健康が向上する。また、表面が熱を吸収し、より長時間保持するため、ヒートアイランド減少が緩和される」

都市緑化プロジェクトのもう一つの利点は、「管理されていない表面」、すなわち人が住んでいない土地やラウンドアバウトなどの、熱を長時間保持する傾向のある空いた空間の影響を抑制できることだとアルダケーラッラー氏は指摘する。

「リヤドの約20%は管理されていない表面で構成されている。そのようなエリアに日陰を作ることで、管理されていない表面に当たる太陽光を減らし、市内の日中の気温を下げることが目標だ。研究では、それによって日中の気温を4~5度下げることができると予測されている」

木による日陰を増やすことだけでなく、建物の設計や改修も局所的な気温に大きく影響すると同氏は指摘する。

「屋根は建物や周囲の環境のエネルギーバランスにおいて重要な役割を果たす」と同氏は言う。「全体の高さと床面積の比率や屋根の幅は、直接当たる日光を減らすうえで主要な決定要因となる」

「残念ながら現代の建築方法は屋根のサイズや幅を小さくすることを優先しており、悪影響をもたらしている」

新たな緑地を作り維持するためには、リヤドは持続可能な形で調達した淡水を大量に確保しなければならない。川がなく降雨が貴重な国にとって、淡水は限られた資源だ。

地下深くの帯水層と海水淡水化プラントがサウジアラビアの主要な淡水供給源だ。同国の主要都市では淡水化海水の消費量が極めて多く、特にリヤドでは2020年に63〜64%のシェアを占めた。

地域の植樹イニシアティブが東部州を含むサウジアラビア各地で始まっている。(ANアーカイブ)

リヤドの飲料水の大半はメッカ、ジェッダ、ターイフの海水淡水化プラントから供給されている。海水淡水化は、再生可能なエネルギー源で稼働するプラントが増えるまでは、サウジアラビアの二酸化炭素排出に寄与し続けることになる。

キング・アブドゥラー科学技術大学砂漠農業センター副所長のマーク・テスター博士はアラブニュースに対し、リヤドは持続可能な形で緑地に水を供給したいのであれば廃水処理をより統合する必要があると指摘する。

「排水は大量の資源だ。特に水が乏しい国ではそうだ」と同博士は語る。「例えば、グレイウォーター(中水)をブラックウォーター(下水)から分離してグレイウォーターを直接利用できるようにする必要がある」

「そうすれば、莫大な費用の節約になるうえ、排水の汲み上げと処理に伴うCO2排出量を大幅に減らすことができる。最小限の処理を経たグレイウォーターを地域で利用すれば、グリーンな環境を作る機会が得られる」

ブラックウォーター(下水、ブラウンウォーター)はトイレからの排水のことで、有害な病気や細菌を運ぶこともある。

一方のグレイウォーターは流し台、洗濯機、浴槽、シャワーなどから出る排水のことだ。含まれる汚染物質がより少ないため、処理がより容易になる。

リサイクルされたグレイウォーターは灌漑や人工湿地に一般的に使用されている。

実は、食物粒子を含むグレイウォーターはむしろ植物に栄養を与えることができる。

リヤドで処理済みのグレイウォーターを使用すれば、計画・規制・建築基準の改善、数千万本の木への水の供給、健康・福祉の大幅な向上も可能かもしれない。

実際、緑化戦略の中心を占めるのは、安全で管理可能な気候の中で素晴らしい屋外環境の心理的メリットを経験することを可能にすることで、サウジ住民や外国からの訪問者にとっての幸福・福祉を実現することだ。

持続可能都市アドバイザーのフダ・シャカ氏はアラブニュースに対し次のように語った。「緑地の場所として優先すべきことは、安全かつ便利にアクセスできること、年齢、性別、身体能力を問わず誰もが楽しめることだ。例えば、道路の中央分離帯やラウンドアバウトよりは近所の公園の方がいい」

「そのような空間があれば、都市に住む人々の体と心の健康が向上するだけでなく、生物多様性、空気の質、食料へのアクセスが改善される機会も提供される」

 

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