
ベイルート:レバノン中央銀行の総裁が15日、汚職の容疑で再び起訴された。今回起訴されたのは、総裁に関連するマネーロンダリングの調査でベイルートを訪問している欧州の司法調査団の尋問に現れなかったためだと、当局者は伝えた。
司法当局によると、リアド・サラメ総裁、その弟のラジャ・サラメ氏、そしてアシスタントのマリアンヌ・ホエイク氏が汚職の罪で起訴され、拘束を命じられた。また同3名の資産も凍結された。
今回の訴訟は、同国で既に進行中のサラメ総裁に対する法的手続きとは別件だ。2月下旬、ベイルートのラジャ・ハムシュ検事は3人を公金横領、偽造、不正蓄財、マネーロンダリング、税法違反などの汚職容疑で起訴していた。
欧州調査団による調査の尋問でレバノンを代表しているヘレナ・イスカンダル判事が15日、総裁と2人に対する告訴の手続きを取ったと、当局者は語った。
当局者らは同訴訟について、匿名を条件に伝えた。
フランス、ドイツ、ルクセンブルクから成る欧州の司法調査団は、ベイルートの司法宮殿で約2時間、サラメ総裁が来るのを待っていた。同調査団は、仲介役であるレバノン人の判事を通じてサラメ氏に尋問することになっていた。レバノンの法律では、彼らがサラメ氏に直接尋問することができないためだ。
サラメ総裁の弁護士が現れ、自身のクライアントであるサラメ氏が外国の司法当局から尋問を受けないよう求める嘆願書を提出した。
この要求は検察庁によって却下され、新たな尋問が16日に設定された。サラメ総裁が同日に出席するかどうかはまだわかっていない。
欧州調査団による今回のベイルート訪問は、1月に続いて2度目となる。1月には、経済危機に陥っている地中海沿岸の同国の現・元中央銀行幹部や複数の銀行のトップなど9人を尋問していた。
同調査団は現在、約3億3000万ドルのマネーロンダリングについて調べており、司法当局によると、尋問は17日まで行われる予定だ。
レバノンは現在、近代史上最悪の経済・金融危機への対応に苦戦している。2019年10月に始まった経済破綻は、政界による数十年におよぶ汚職と誤った管理に根ざしており、人口600万人の小さな同国の75%以上を貧困に陥らせている。
AP