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内戦は長期化し、解決が困難になっている

紅海に面する都市ポートスーダンで、アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン陸軍長官に忠誠を誓う陸軍兵士らを歓迎するスーダンの人々。(AFP通信)
紅海に面する都市ポートスーダンで、アブドゥルファッターフ・アル・ブルハン陸軍長官に忠誠を誓う陸軍兵士らを歓迎するスーダンの人々。(AFP通信)
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11 May 2023 01:05:31 GMT9

スーダンでの最近の戦闘勃発は、内戦が引き起こす恐ろしい人的および経済的損失を浮き彫りにしている。スーダンだけの話ではない。定義によっては、現在10から100の内戦が起こっているのだ。ジュネーブ・アカデミーによると、内戦の数が最も多いのは中東と北アフリカ地域であり、それにアフリカが続いている。

内戦という言葉を定義するのは難しい。だが、主に一国の国境内で発生し、戦闘員の大半がその国の住民である紛争を指すのが一般的だ。内戦にはさまざまな種類があり、それぞれの紛争に独自の特徴がある。一つの国家が、一度に複数の内戦を抱えることもある。そうしたばらつきがありながらも、過去30年間に行われた複数の研究プロジェクトから、内戦には共通点があることが判明した。

内戦は通常、国家間の戦争よりもはるかに長く続く。そして最近の研究は、内戦の平均期間が近年、長くなっていることを指摘している。エコノミスト誌は最近、内戦の平均期間について、1985年には13年だったのに対し2021年には20年近くになっていたことを報じた。学者や支援団体による他の研究も、内戦の長期化を報告している。

内戦を、それほど長引かせている要因とは何か。エコノミスト誌は、複雑性、犯罪性、気候変動、損なわれつつある世界規範、暴力的な宗教的過激主義の拡大など、いくつかの理由を特定した。他の情報源からの研究がこれらの結果を支持し、有用な他の論点を追加している。たとえば、内戦は交渉よりも、明確な軍事的勝利をもって終結することが多い。そのため、交戦中の集団が互いに相手方を負かすことができず、武装解除させられない場合、その紛争は長期化する可能性が高い。

内戦は、複数の集団が関与することで持続しやすくなる、ということが広範囲にわたる研究によって明示されている。研究者らは、交渉を通じて終わる内戦は短くなる傾向があるものの、複数の交戦集団と永続的な合意を取り決めることは非常に難しいことを発見した。明確な軍事的勝利によって争いを終わらせることさえ、多くの武装集団が戦っている場合には難易度が上がる。

関連する問題に、外国の関与がある。内戦当事者のうちの1つまたは複数を支援する立場で外国が介入した場合、戦争の期間を延ばし、死者数を増やす可能性があることが学術研究から分かっている。その理由の1つは、戦争の真のコストを負わない外国勢力が、戦争中の集団にリソースを提供し続けられるから、というものである。継続的なリソースの提供がなければ、彼らは戦争を続けることができなかったかもしれないのだ。外国の利益も、交渉努力を複雑にすることがある。冷戦時代には、ソ連と米国の代理戦争への関与がそれらの紛争の長期化を招いた。現在は、大国の、または地域勢力の関与が同様に作用する。

長期にわたる内戦は、しばしば戦争経済へと発展する。すると、武装集団には戦いを続けるための金銭的インセンティブが発生する。この当事者らは、恐喝やその他の手段で儲けることができるのだ。彼らは、鉱山や、薬物の原料になる作物などの天然資源を管理することで利益を得ることが多い。戦争経済がひとたび定着すれば、その戦争を終わらせることはさらに困難になる。

長期にわたる内戦は、しばしば戦争経済へと発展する。すると、武装集団には戦いを続けるための金銭的インセンティブが発生する。

ケリー・ボイド・アンダーソン

一部の内戦には、他の要因が寄与している。スタンフォード大学のジェームズ・フィアロン氏は、この主題に関して重要な研究を行った。そして彼は2004年、「『sons of the soil(大地の息子たち)』戦争は、典型的に、周辺の少数民族と国家が支援する移民の支配的民族集団との間で起こる土地紛争を伴う。それらは平均してかなりの長期にわたる」と書いている。アフガニスタン、イラク、シリア、そしてサヘルの一部地域のように、宗教的過激派が武力紛争と交わるとき、武装集団はますます残忍になり、交渉を嫌がるようになることが多い。気候変動は、内戦が起こる可能性に寄与するだけでなく、紛争解決のための取り組みを複雑化する主要なリスク増幅要因でもある。

過去には、国連が内戦の終結を助ける重要な役割を果たしたこともある。しかし、国連安全保障理事会が麻痺しているとき、有意義な行動を取ることができない。一般的に、交渉を主導し、合意を監督することができる、協力的かつ有能であり、信用もある第三者がいない場合、戦争の解決ははるかに困難なものになる。

また、内戦が本当に終わるのはいつか、新たな内戦が始まるのはいつかを見極めることも難しくする恐れがある。スーダンで現在起こっている戦闘は、新たな内戦の始まりだろうか。それとも、一連の国内紛争が延長しているものだろうか。イエメンの現在の戦争が始まったのは、2014年だっただろうか。それとも、数十年以上前から続いている一連の戦争の最新段階なのか。同様の質問を、ミャンマー、レバノン、エチオピアといった国々にも投げかけることができる。持続的な平和はいつで、戦争の合間の休止期間はいつなのか。

内戦発生の可能性を高め、争いを長引かせたり、残虐性を高めたりする要因について重要な情報を持っているのと同様に、専門家には、戦争終結を助ける方法についての知識もある。交渉を経て終結する内戦は、短い期間で終わる可能性が高い。そして、女性や市民社会の声を取り入れたり、戦闘員の動員解除中にある程度の治安を確保できる第三者の調停者を巻き込んだりするなど、交渉者に役立つ歴史的教訓がある。

ところが、交戦者が戦い続けるためのインセンティブとリソースを持っているような状況では、特に外国からの援助がある場合、戦争を終わらせることが非常に困難になる。通例のごとく、民間人は戦火に巻き込まれ、なす術もなく避難を試みることしかできない。それが多くのスーダン人にとっての現状である。

  • ケリー・ボイド・アンダーソンは、国際安全保障問題や中東の政治・ビジネスリスクの分野で専門アナリストとして18年以上の経験を持つ作家であり、政治リスクコンサルタント。これまで、オックスフォード・アナリティカのアドバイザリー担当副ディレクターなどを歴任。
    ツイッター:@KBAresearch
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