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ネタニヤフ首相のガザ戦争が地域対決に発展する恐れ

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13 Oct 2023 03:10:07 GMT9
13 Oct 2023 03:10:07 GMT9

7日に発生した数百人のハマス戦闘員による近隣入植地や軍事基地、町への奇襲攻撃を受け、イスラエルが西側諸国の指導者たちから受けた同情や連帯の波は、今や世界世論の変化によって相殺されている。イスラエルはハマスに宣戦布告したのだと言うが、狭くて混雑し、包囲されたガザ地区への容赦ない爆撃が始まって以降、そこで起きていることは大量虐殺に他ならない。

ハマスが行ったことは、1968年に展開された、ベトナム戦争におけるテト攻勢のパレスチナ版である。これはあの戦争の転換点となった。

このハマスの驚くべき奇襲攻撃により、1,000人以上のイスラエル人が死亡し、さらに多くの負傷者がでた。それは、軍事力や情報機関で圧倒的に勝るイスラエルに屈辱的な打撃を与えた。また、ハマスは、幹部や民間人を含む数百人の人質を取り戻すこともできた。イスラエルは、その短く激動の歴史の中で、これほど被害が甚大な攻撃を受けたことはない。これに応えなくてはならなかった。

しかし、感情はさておき、次のことを考えてみよう。

ここ最近の暴力の連鎖は、何十年も続くイスラエルとパレスチナの間の紛争という文脈で見なくてはならない

オサマ・アル・シャリフ

ここ最近の暴力の連鎖は、何十年も続くイスラエルとパレスチナの間の紛争という文脈で見なくてはならない。これは単独の孤立した出来事ではないのだ。イスラエルはこれまでに何度もガザに戦争を仕掛けており、何万人ものパレスチナ人(そのほとんどが市民である)を死傷させた。爆弾の雨を降らせ、住居ビルを爆破し、地区全体を消し去り、学校や病院、モスク、墓地を標的にした。にもかかわらず、ハマスやその他の武装勢力を打ち負かすことも、その勢力を弱めることもできなかった。そしてその過程で、イスラエルは戦争犯罪を犯している。主に女性や子供を含む市民を殺害し、200万人以上の人々に対して全面的な封鎖を実施し、薬品、燃料、基本的な必需品、さらには破壊したものを再建するために必要なセメントの入手を出来なくしたのである。集団的懲罰はイスラエルの国家政策であり、戦争犯罪である。

今回の新たな軍事作戦は、これまでのものと何か違いがあるのだろうか。窮地に立たされたベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスの根絶を誓った。しかし、この複合的な組織を壊滅させるということは、ガザを地図から消し去ることだ。それ以外にない。西側諸国の支援を受けたイスラエルは、自衛権を利用し、ガザの人々に対してさらなるナクバ(大惨事)を引き起こしている。ガザの人々のうち約70%は、ハマスが攻撃し、現在占領している土地にかつて家があったが、家族とともに退去を余儀なくされた難民である。これは民族浄化に等しく、戦争犯罪であり、人道に対する罪である。

この最新の軍事作戦において、イスラエルはこれまで以上に民間人を無差別に殺戮し、無慈悲な破壊を行っている。9日と10日の2日間で、120人以上の子供たちが死亡し、15家族以上が全滅した。ガザの人道的状況は、イスラエルの攻撃以前から壊滅的だった。

ネタニヤフ首相とその極右勢力は、パレスチナに血を流すことで、執念深いイスラエル国民に対して自らを正当化したいのだ。首相は自身のSNSアカウントに、粉々に吹き飛ばされた住宅ビルの動画を投稿した。この恥知らずな行為には、罪のない人々を殺すことでイスラエルの犠牲者に復讐している姿勢を示し、大衆をなだめようとする、ネタニヤフ首相の試みが反映されている。

今回の流血の連鎖は、いくつかの事実を浮き彫りにした。第一に、国際社会を差し置いて関与し、独占的な立場をとりながら、米国は長年取り組んできたこの紛争に対し、政治的解決策を見出すことができなかった。米国は、占領下にあるヨルダン川西岸地区やゴラン高原、包囲されたガザ地区において、国際法、つまりジュネーブ条約や国連決議に毎日のように違反しているイスラエルの擁護者となった。何十年もの間、イスラエルの指導者に政治的な隠れ蓑を提供してきたことで、両国家間での解決は、平和への真の道筋ではなく、空虚なスローガンになり下がった。

イスラエルこれまで以上に民間人を無差別に殺戮し、無慈悲な破壊を行っている

オサマ・アル・シャリフ

第二の事実は、ネタニヤフ首相自身に関係している。彼は自己中心的で、利己的、狡猾かつ皮肉屋な指導者であり、30年以上にわたって、オスロ合意を妨害し、イスラエルの左派を無力化し、ユダヤ人入植者を育成し、極右に力を与え、パレスチナ自治政府を弱体化させてきた。そして最後に、この国を権威主義的な存在に変えるであろう物議を醸す司法改革をめぐってイスラエルを分裂させ、二極化させた。

彼は今、この戦争を利用して自分の政治的キャリアを救おうとしている。これは危険だ。彼は、ヒズボラやイランを戦いに巻き込むことを目的とした地域戦争に、疑うことを知らないバイデン政権を引きずり込もうとしているのだ。イスラエルがここ数日行っているように、ヒズボラを挑発すれば地域全体が不安定になり、地獄の門を開くことになる。米国をはじめとする西側諸国政府は、イスラエルの自衛権への支持とパレスチナの自決への「野望」について声明を発表する前に、立ち止まって考えるべきだ。

現在、ガザへの地上攻撃の可能性が高いと見られているが、これはパレスチナやイスラエル、エジプト、さらにその先の地域に大きな影響を及ぼすだろう。米国は、すでに長引かせる手助けをしたこの紛争に突入する前に、ベトナムやイラク、アフガニスタンの教訓を再考すべきである。この地域が混乱に陥っているのは、イスラエルの政策と、この地域の同盟国が新たな地政学的現実に目覚めつつあることに気づいていないアメリカのせいだ。今回の危機は、新たな多極的世界秩序の誕生が間近に迫っていることを告げる、産みの苦しみの一部である。

最後に、イスラエルとの連帯を急いで示した西側諸国の政府は、自らを鏡で見つめ直すべきである。ネタニヤフ首相とその極右政権はイスラエルを乗っ取り、事実上のアパルトヘイト国家に変えてしまった。この国は、民族浄化や人種差別、集団的懲罰を公然と行い、パレスチナ人を抑圧し、子どもたちを殺害・拘束し、今では大量虐殺を行っている。

イスラエルのヨアフ・ガラント国防相がガザの「完全包囲」(つまり水も食料も電気も供給しないこと)を命じ、「われわれは人間の姿をした獣と戦っており、それにふさわしい行動をとる」と付け加えたとき、欧米の政治家の誰ひとりとして、彼の人種差別的な発言や、彼が戦争犯罪を犯したことを認めた事実を非難する者はいなかった。もしウラジーミル・プーチン大統領がこのような発言をしたり、キエフ全区域を爆撃したりすれば、西側諸国全体が抗議と非難の声を上げただろう。この偽善とダブルスタンダードはうんざりするほどで、西側諸国の世論は変わりつつある。

イスラエルは今回の戦いには勝利するかもしれないが、同時に大きな損失も被るだろう。イスラエルがガザで行っている大虐殺は、何年にもわたって世界を苦しめるだろう。ハマスは200万人以上の市民の生活を支配しているが、選挙で選ばれた存在ではない。これらの市民は7日の攻撃とは無関係だ。どんな動機があろうとも、このような方法で彼らを罰することは戦争犯罪である。

米国は、この戦争における次の一手について慎重になるべきだ。米国の外交政策は道義とは無関係であるが、ネタニヤフ首相が中東におけるさらなる大量虐殺戦争に米国を再び巻き込むことに成功した場合、米国は少なくとも自国の利益を考慮すべきである。

オサマ・アル・シャリフ氏はアンマンに拠点を置くジャーナリストで政治評論家。X: @plato010

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