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リヤドで成長著しいフォーラム・ビジネスを後押しするアジアハウス

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27 Feb 2020 10:02:44 GMT9
27 Feb 2020 10:02:44 GMT9

リヤドで開催されたアジアハウス中東貿易協議の会合の最後に、グリーン卿が抜本的なスピーチを行った。元英国大臣・銀行家のグリーン卿は、1970年に同氏が初めて訪問した際のサウジアラビアを、活況を呈する大都市に変貌を遂げた現在の様子と比較した。

この変化を示す兆候の一つは、サウジアラビアの首都がアジアハウスイベントのような大きな国際的なビジネスフォーラムを引き付けることができるという事実である。

先週だけでもサウジアラビア王国は、国際金融協会(IIF)やG20の財務大臣・中央銀行総裁、炭素捕捉に関するサウジ・アラムコ社の国際会議、小規模な貿易イベントなどの重要なプレーヤーを歓待している。

世界経済フォーラム(WEF)や未来投資イニシアチブ、そして11月のG20サミットが今後に予定されており、またその他多くのフォーラムも進行中である。今週末には世界保健機関(WHO)も来る予定となっており、2020年はサウジアラビアが国際的なフォーラムの輪に完全に入り込む年になりそうだ。

サウジ・ブリティッシュ・バンク(SABB)と提携したグリーン卿のイベントは、リヤドのシーンから歓迎された。そのタイミングは完璧で、かつ同時に問題をはらんだものであった。

中国が圧倒的な最大を占めるアジアの好景気な投資市場に関する知識や認識を広めるために、アジアハウスは存在している。中国がコロナウイルスに襲われており、この大流行が中国および世界経済に及ぼす影響に投資家からの強い関心が集まっている。

しかしまた、コロナの大流行は中国の協議への参加も妨げた。大流行が原因で飛行機による移動の制限が厳しくなる中、中国の専門家らはリヤド行の飛行機に乗ることができなかったのだ。

中国が圧倒的な最大を占めるアジアの好景気な投資市場に関する知識や認識を広めるために、アジアハウスが存在している。

 フランク・ケイン

アジアハウスはSkypeを用いてリヤドと北京間をつなぎ、この問題を克服した。そして同国の経済および国際関係の専門家、ビクター・ガオにインタビューを行うことができた。このビデオセッションは、同イベントのハイライトの一つとなった。

ガオ氏がリヤドに語った内容は、率直なものであった。湖北省の大流行の中心地以外では状況は改善しているものの、中国全土が大流行と闘うために動員されており、中国の製造部門は1か月分の労働日を失うことが予測されている。さらにガオ氏は、中国経済は急速に回復すると予想しているという。

協議の主要な焦点であった米中貿易の問題についても、同氏は同様に断定的であった。

両国間の関税戦争は「相互に破壊的」であるが、主な損害は、輸入により高い価格を支払わなければならない米国の消費者にもたらされた。

中国政府から見れば、ドナルド・トランプ大統領との対立は、関係の一時的な中断に過ぎない。

「中国は5,000年前から存在しており、アメリカ政府で何が起きることには左右されず、重要なプレーヤーであり続けるでしょう」と同氏は述べている。

協議の他の参加者は、東西貿易を決定づける要としてのサウジアラビアと中東の役割を力強く強調していた。

元銀行家で中東の英国貿易委員に転身したサイモン・ペニー氏は、EU離脱後の英国が中東、特にアラビア湾岸諸国を単なる英国の輸出先としてではなく、新たな貿易関係において同等になることを望んだ経緯について述べている。

「英国が中東へものを売ることが、歴史的なモデルでした。現在、私たちは長期的なパートナーシップを検討しています」と同氏。

他のセッションでは、サウジアラビアの新しいビジネス環境における女性の役割が注目されており、また世界的に気候変動に関する議論が活発化する中、再生可能エネルギーが中東経済で果たす重要な役割が検討された。

これらすべてのテーマなどを網羅した基調講演は、SABBの会長であり、世界をリードするビジネスウーマンの1人であるルブナ・オラヤンによって行われた。オラヤン女史はコロナウイルスによるリスクだけでなく、世界の商業的ライフラインに対する貿易戦争によってもたらされる脅威も取り上げ、国際関係における貿易の「政治問題化」について意見を交わした。

サウジアラビアはこのような傾向に毅然と反対しており、さらにこのことを声高、かつ明確に伝えることはG20までの間にサウジの実業界に課せられた使命の一つだということを、オラヤン女史が同協議の場を離れる際に確信していたことは疑いようもない。

「私たちは岐路に立たされています。貿易の緊張の高まりを見過ごすことは選択肢にはありません」とオラヤン女史は断言している。

  • フランク・ケインはドバイを拠点とし、受賞歴のあるビジネスジャーナリストである。 Twitter:@frankkanedubai
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