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ウイルス危機は我々全員へのモーニングコール

26 Mar 2020
2020年3月25日カラチ、政府が新型コロナウイルスの予防措置として課した全国的なロックダウンの間、人のいない道路を通勤車両が通過する。(AFP通信)
2020年3月25日カラチ、政府が新型コロナウイルスの予防措置として課した全国的なロックダウンの間、人のいない道路を通勤車両が通過する。(AFP通信)
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それは微細で、すばしこく、不可解だ。つまり老いも若きも、富める者も貧しき者も、強者も弱者も、たとえ誰であっても、たとえどこにいても区別しない、目に見えない卑劣な敵だ。それは国境の存在など気にしていないし、それはただ単に人間の接触だけを拠り所にしている。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは世界を支配し、恐怖、パニック、苦悩を引き起こしている。ほんの数か月の期間で、195の国や地域で、感染者400,000人、死亡者190,000人以上が報告されてきた。そしてこのパンデミックは拡散し続けている。世界最強の諸国を屈服させ、地球をロックダウンの状態に追い込んできた。

人々は見えないものや知らないものを恐れ、反応は多種多様だ。疾病や死亡の証拠があるにもかかわらず、現実から目をそらす者や、信じられないといった様子の者も中にはおり、こうした者たちは全体的な状況を疑問視したり、軽視したりする。あるいは、たとえ歴史が我々に過去の多くのパンデミックについて教えてくれていようとも、陰謀説やありとあらゆる種類の解釈を思い付いたり、拡散したりするかもしれない。さらに悪いのは、保健当局によって助言された予防対策を無視する者たちだ。こんな時、当局の取り組みを陰で批判し、無秩序と混乱を引き起こす噂や、フェイクニュースを作り出す者たちがいる。こうした者たちは皆、自分本位に自らの生命と周囲の人々の生命を危険にさらすことになり、こうしたことがウイルス感染拡大に寄与する。

パニックになったり、現在の状況や予想される状況を誇張したりして反応する者もいるかもしれない。こうした者たちは食料、食料雑貨品、薬品を買い溜めし、自分を最優先にすることで敵対的になり、利己的になる。こんなことがいつまで続くのか、自分や家族や国家に対して、短期的には、長期的にはどんな影響が及ぼされるのか、という明確な答えを持たないので、苦悩に陥る者もいる。既に株価は崩壊し、航空や観光のような産業は衰弱している。あらゆる「通常業務」という形態はなくなった。予想される雇用減や収入減のレベルは驚異的だ。

このウイルス感染が急激に拡大する最初の兆候に対して、責任を持って迅速に、透明性を保ちながら行動した各政府に敬意を表したい。

 マハ・アキール

我々が知っているような生活は立ち止まっている。あらゆる交差点で、一時停止標識が揚げられている。

これに反して、ドアは閉められているが、ボランティア、寄付、共有を通じて心は開いている。我々は家の外で集まることはできないが、家の中でお互いにもっと親密になり、不作法や反社会的と考えられることなしに、容認できる社交形態として、社会距離拡大戦略を実践している。面と向かって話し合うことはできないが、もっと頻繁にオンライン上でおしゃべりをし、お互いを励ますための多くのジョークばかりか、祈りや連帯や愛のメッセージを取り交わしている。

チャンスが花開くことも中にはある。遠隔教育、在宅勤務、宅配業務、エンターテインメント、政府官僚制度のスリム化など、とりわけインターネットに関わること全てがそうだ。

もしかしたら、これはモーニングコールなのかもしれない。もしかしたら、私たちは多忙な予定や、物質主義的な事柄への執着から時間を取り、ゆとりを持って、心の平穏を見出し、我々が持っているものの真の価値に覚醒する必要があったのかもしれない。普段最も汚染されている場所の中には、空や海がきれいになっているところもある。地球は呼吸するのが少し楽になっている。自然界の音は普段より澄んでいる。汚染されていない清浄ということは、我々や環境にとって尊重されるべき傾向となった。

これはまた真の英雄たちを評価するチャンスでもある。つまり自らの生命を危険にさらして、我々に医療、治安、基本的な生活必需品を提供している人々だ。本当に優先すべきことは、もっとしっかりと明確になっている。武器やぜいたく品ではなく、良好な医療や公共サービスやインフラだ。ワクチンや治療薬を科学者が発見するのを我々は待っているのだから、教育、研究、技術革新にもっと投資する必要があることを当然認識している。

このウイルス感染が急激に拡大する最初の兆候に対して、責任を持って迅速に、透明性を保ちながら行動し、他のいかなる考慮すべき事柄よりも、人々の生命と人権を尊重する各政府に敬意を表したい。サウジアラビアはこれに関して、勇気ある徹底した措置を講じるロールモデルであることが判明した。そして概して国民には、高い意識と規律がある。サルマーン国王からの鼓舞するような発言により、国民を安心し、その規制に従うように勇気づけられた。

これは世界的な危機だ。だが皮肉にも、この危機は我々をロックダウンに追い込んでいるが、我々がいかに世界中で相互につながり合っていて、持ちつ持たれつの関係であるのか、ということを明らかにした。このパンデミックの後遺症から生き残り、乗り切るために、我々は協調し合い、お互い助け合い、お互いを支える必要がある。このウイルスのために、人口統計学的に、社会的に、経済的に、政治的に世界は変わろうとしている。世界は違ったところになるだろう。

  • マハ・アキールはジェッダを拠点とするサウジの作家だ。Twitter: @MahaAkeel1

 

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