
液化天然ガス(LNG)は、特に冷暖房の需要が高い時期、発電に使われる。
今ではLNGは、コスト競争力が高くよりクリーンな輸送用燃料として、海運業や大型道路輸送車にも利用されるようになってきた。
LNG市場では、石油自体に危機が訪れるよりも前の、今年頭から世界的な供給過剰が拡大していた。供給側圧力の影響で、コロナウイルスによるパンデミックが発生する以前から、すでに崩壊していたのだ。
2年連続で予想以上に暖かい冬が続き、暖房や発電用のLNG需要は滞った。その結果、通常は枯渇するような季節にもかかわらず、在庫水準が高くなった。この傾向は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でさらに悪化し、LNG業界はかつてない需要ショックに見舞われた。
現在、米国発のLNG貨物が多数、ヨーロッパやアジアのバイヤーにキャンセルされ売れ残っている。
こういった要素はLNG市場に深刻な課題をもたらしているが、ガス需要の回復は石油よりも見通しが良く、適正な価格で売却されれば、石炭など汚染をもたらす燃料がエネルギーミックスから排除されるのを後押しするかもしれない。
日本は世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国だ。第2位は中国である。しかしこの2つの消費国のLNG需要は2019年末から急落しており、その影響で世界的な貯蔵量は増加し、過剰供給はアジアからヨーロッパへと広がった。
2019年に推定7750万トンを出荷したオーストラリアが世界一のLNG輸出国となり市場は溢れ、ガスの過剰供給は過去最大レベルに達した。
オーストラリアは現在では、輸出量が常にカタールを上回るようになった。
石油部門と違い、世界の需要と供給に合致する形で効果的に生産を体系化する共同組織がなく、世界の大手ガス輸出企業は自由にLNGを生産している。2001年に設立されたガス輸出国フォーラム(GECF)はあるが、これはガス市場の安定そのものを意図する組織ではない。
それでも、同フォーラムのメンバーは世界の天然ガス埋蔵量の70パーセント以上、Marketed Production(市場に出荷可能な生産量)の46パーセント、パイプラインの55パーセント、そして世界的なLNG輸出の61パーセントを支配する。
在庫が増えエネルギー市場が再形成される中、今こそガス部門もOPECモデルを手本とすべきなのかもしれない。
ファイサル・フェイク氏はエネルギーと石油専門のマーケティング・アドバイザーです。同氏にはOPECおよびサウジアラムコに所属していた経歴があります。Twitter:@faisalfaeq