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イラン政権の侵略に対処する5つの方策

26 Sep 2019 01:09:15 GMT9

イラン政権の国内および地域、全世界における侵略、好戦的態度は終わりなく続くようにみえる。イラン政権が中東地域の覇権に対する黒い野望を次々と追及するのを見ていれば、その指導者たちがこれからも挑戦的な態度を続けることは明らかだ。

この数か月だけでも、イラン政府は直接、間接的にホルムズ海峡の船舶への攻撃や、サウジアラビアの石油施設攻撃、あるいは人質の確保に関与してきた。その上、強硬派も、いわゆる穏健派もその考え方は同じように見える。

この神権政治体制に効果的に対応するためには、どんなオプションがあるのだろうか?政治家や政策アナリストの中には、イラン政府と対峙するために融和政策を取ることを勧める人がいる。しかし、イランの地域的野望を挫くための、どんな情報に基づく交渉もイランの指導的聖職者に対する融和政策に根ざしていてはならない。この融和政策路線は米国のオバマ政権の時に8年間試行されたが、それは失敗に帰した。この政策の結果、イエメンではイランから軍事援助を受けた反体制派フーシが止むことなく殺戮と破壊を続け、ヒズボラはシリア領土の広範な地域で活動を繰り広げている。

イランを懐柔するかわりに、次の5つの方策を同時に遂行しなくてはならない。まずは、イラン体制が非対称戦争を仕掛ける能力を弱体化することである。イラン政府は主に、代理組織やテロ、民兵集団を使って非対称戦争を仕掛けることにより、その軍事能力を拡張し、権力を行使している。それゆえ、もしイランの代理組織や民兵集団が狙い撃ちにされ、弱体化すれば、イラン政府は地域的、戦略的、軍事的優位性をかなり失うことになる。

この目標を遂行するためには、アメリカがイスラエルのような地域同盟国と協力することが非常に重要である。イスラエル政府は、この地域でイラン関連の標的に対し着々と軍事行動を繰り広げている。彼らは何度かにわたるシリアでの空爆、また先月はバグダッド北部での空爆も行っている。更には、アメリカはサウジアラビアと協力して、フーシを標的にすることもできる。

引用:この融和政策路線は米国のオバマ政権の時に8年間試行されたが、それは失敗に帰した。

2番目の方策は、アメリカが「最大圧力」政策を拡張、増大することである。イランの指導者たちが激怒している理由の一つはこの政策で、それが功を奏しているからである。最近の船舶やサウジアラビアに対するイランの行動は、地域不安定化に必要な資金源が枯渇して、絶望的になった政権の行動である。

イランの指導層の聖職者たちは、制裁によってかなり逼迫したため、代理組織に対する提供資金も減額しなければならなくなっている。例えば、去年はイラン政府によるシリアへの石油供給が非常に困難になり、給料や手当を受け取れないイランの民兵も数多くいる。

更に経済制裁を追加する際には、制裁内容を明確にして、的を絞らなければならない。即ち、イラン・イスラム共和国の国庫に資金が流入する融資経路を絶たなければならない。そのためには、政権の主要収入源である石油の輸出に更に圧力をかけ、イランが不法な金融活動を行う際に使用する架空会社や休眠会社を見つけ出さなくてはならない。

アメリカと同盟国は、テロ集団を援助したり、イラン政府の核・弾道ミサイル開発計画を援助したり、海外で非人道的犯罪に携わったりする特定の個人や団体を標的にすることもできる。例えば、アメリカ政府はイランの情報省に制裁を科すこともできる。その他、各政府はイラン政権の責任を追及するために、国際刑事裁判所や国連、アムネスティインターナショナルなどの人権保護団体を利用することもできる。

3番目として、アメリカはその経済的影響力を利用して、イラン政権との外交関係を絶つよう、西側同盟諸国を説得しなければならない。イラン政府は世界の列強との関係を維持することにより、非常に重要な正当性を獲得することができるが、何よりもイラン政府は海外で諜報活動やテロ活動を行うため、革命防衛隊や情報省の出先機関として大使館や領事館を使っているからだ。ヨーロッパや北アメリカで計画された一連の暗殺やテロ事件は、成功したもの失敗したもの、様々だが、最近になってイラン政府の関与が明らかになっている。

4番目は、アメリカと同盟国はイランの人口の大部分を占める一般市民に対する支援をもっと大々的に、公の場で宣言しなければならない。一般市民はイランで民主主義に則った政府を樹立することを目指している。景気低迷と生活水準の低下に耐えながら、莫大な資金がイラン政府から代理組織に流れているのを見ている一般市民の間では、長い間水面下で国内不安が広がっている。

5番目としては、イランの侵略に対応、阻止するために、いつでも出動できる強大な連合軍隊が存在することを、イランの政権に知らしめなければならない。イラン政府が地域の安定を破壊するような軍事的冒険主義を行っても誰からも反撃を受けないと信じている限り、指導層の聖職者たちはその好戦的な政策をこれからも拡大していくだろう。

  • マージッド・ラフィザデー博士はハーバード大学出身のイラン系アメリカ人の政治学者である。博士はイラン・アメリカ外交政策の主要な専門家、実業家、そしてInternational American Councilの委員長である。Twitter:@Dr_Rafizadeh
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