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パンデミックが新興市場を脅かす

01 Jun 2020
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パンデミックのロックダウンにより極度の重圧にさらされる中、世界経済の構造プレートが変化している。それらの圧力が爆発を迎える場所や、圧力が止んだ時にどのような状況になっているかは、言うことができない。しかし、以前の秩序へどのように戻ることができるのかも、想像するのが難しい。

新興市場は景気悪化の影響をまともにくらう可能性が高い。その影響はもちろん、アジア、アフリカ、ラテンアメリカに直接関係がある。グローバル化に向かって進んだ30年にわたるトレンドの終焉は、それらの地域の経済にとって直接的かつ明らかな意味を持つ。しかし、それは西洋や中東の経済的な健康も脅かす。

批判的な意見はあるものの数億人の人々に相対的な繁栄をもたらしたグローバル化は、主に米中間の低迷がきっかけとなった世界貿易の落ち込みにより、脅威にさらされている。もし世界経済におけるこの2大プレイヤーがこれ以上互いにビジネスを行わないことを望めば、全てが終わる。そうなる可能性は徐々に増えているように見える。

しかし、全く同じように重要なのは、新興市場と比較して「発展している」経済国の政府から出される、対照的な政策反応である。

欧州、北米、および比較的規模は小さいものの日本と韓国がパンデミックによるロックダウンの経済的影響を軽減するために財政措置の集中砲火を展開してきた一方で、世界の残りの地域ではそのような行動は概ね選択肢にならない。(非常に特殊なケースである中国は少し脇に置いておく)

ニューヨーク、ロンドン、フランクフルト、ブリュッセルは、ある解説者が「魔法のお金の神様」と呼んだものの論理を採用した。それらの国の政府は、米連邦準備銀行の数兆ドル規模の「バズーカ」や、英国で拡大している「一時帰休」給与補償、および欧州当局による巨額の財務支援パッケージで見られたように、効果的にお金を刷ることができる。

彼らがそれを実行できるのは、そのような気前の良い支援を維持するための強い通貨と資産基盤を持っているからこそである。彼らが実施した措置は後にインフレや持続不可能なレベルの公的債務によりしっぺ返しとなる可能性があるものの、そうなるまでにパンデミックによる景気後退/不況を乗り切るのがその戦略である。

ブラジル、ロシア、インド、メキシコなどの国や、ナイジェリアやトルコなどの世界経済にとって重要な国は、そのような戦略の選択肢を持っていない。彼らにあるのは、大量の人口と脆弱な通貨、および柔軟性の低い財政制度である。

また、彼らはまだパンデミックの全面的な損害を経験しておらず、本格的なパンデミックが到来した時にはその不十分な医療体制のためにより深刻な状況になるのではないかという疑いもある。

それらの国にとって、第4四半期のV字回復は全くもって問題外に見える。もっとも、そのようなV字回復自体がほとんどの経済分析によって徐々に軽視されるようになっているが。

中国は異なる立ち位置にいる。現実的な違いを生む十分強力な経済力を持つ中国には、この感染症の撲滅以外の全てがあり、2009年当時のように世界の残りの国々を景気後退から引き上げる原動力となる可能性がある。

しかし、中国が再び世界を救う役割を果たすことを望んでいるという兆候はほとんど見えない。最近の全国人民代表大会は、大規模な経済刺激策の話には一切触れず、代わりに香港に対する姿勢によって不透明さを加えた。

2段変速の世界的な経済システムが存在するものの、どちらも不況を防ぐのに十分な速さがなく、来年までに新興市場は沈滞し、先進経済国は財政的な生命維持装置が必要になるという現実的な可能性がある。それは世界経済にとって非常に良くない状況だろう。

そのような状況は中東にとっても良くない。同地域は過去10年にわたり、自分自身を欧州、アフリカ、アジアの間の中心となる旋回軸として売り込んできた。もしその旋回軸が機能するのを止めたら、この地域の役割はどのようなものになるのだろうか?

また、多くの地域経済における支配的な利益製造機であるエネルギー業界の問題もある。石油需要がすぐに1億バレル/日の水準に近づく兆候はない。ましてや、先進国市場と新興国市場の間の貿易と投資がほとんど枯れ果てた世界においてはなおさらである。

西洋諸国は自分自身で景気後退から抜けだす希望を持つことができる。世界の残りの国はそれができないだろう。その結果は、どちらの陣営にとっても楽に耐えられるものとはならない。

  • フランク・ケインはドバイを拠点とする受賞歴もあるビジネスジャーナリスト。

Twitter: @frankkanedubai

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