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サウジの『Helpline』設立者「勇気とは、自分の感情を封じ込めるのではなく、開放すること」

年齢を問わず、多くの人々が、ロックダウン、隔離、ソーシャルディスタンスの結果、家族や友人からの孤立感を深めた。(Shutterstock)
年齢を問わず、多くの人々が、ロックダウン、隔離、ソーシャルディスタンスの結果、家族や友人からの孤立感を深めた。(Shutterstock)
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10 Oct 2021 09:10:08 GMT9
10 Oct 2021 09:10:08 GMT9
  • 「私たちの目標は、メンタルヘルスにまつわる偏見をなくすことです」と共同設立者のサレハ・アル・ザイヤー氏は語る

アメーラ・アビド

ジェッダ:ティーンエイジャーが個人的な問題に直面したり、世界を理解することに苦しんだりする時、年長者ではなく同世代の友人に助けや助言を求めたがる傾向がある。

社会問題や、自分が情熱を持って取り組んでいることについて議論したいとき、また不安や抑うつなどの精神的な問題を抱えているときでも、彼らの多くは同年代の人と話す方が楽だと感じる。

それは、彼らが自分と同じ問題に直面し、同じ影響を受けている、自分と最も共通点の多い人たちだからだ。

しかし、若い人たちにとって、このようなサポートネットワークを見つけたり、つながったりすることは必ずしも容易ではなく、昨年初めにパンデミックが始まったときには、さらに困難になった。

年齢を問わず、多くの人々が、ロックダウン、隔離、ソーシャルディスタンスの結果、家族や友人からの孤立感を深めた。しかし、特に被害が大きかったのは、広い世界への第一歩を踏み出すべき時期に、友人や仲間から突然引き離された若い人たちであった。

そんな中、あるティーンエイジャーのグループが「世界を変えよう」と立ち上がった。

17歳の若者6人が力を合わせて立ち上げた「Helpline」は、サウジアラビアの若者のコミュニティを作り、そのメンバーが必要とするあらゆる支援やサポートを提供することを目的としたサービスとなる。

若者が抱えるメンタルヘルスの問題に対する意識を高めるための活動を始めたところ、グループはあっという間に40人に増えた。

当初の計画は、自殺願望のある若者が匿名でカウンセラーに相談できる電話ヘルプライン(Helpline)を設置することだった。しかし、そのようなサービスがすでに存在することを知り、彼らはソーシャルメディアやウェブを利用したアプローチに切り替えた。そして「Helpline」という名前はそのまま残った。

リヤドにあるアブドルアジーズ・インターナショナルスクールの生徒で、共同設立者のファハド・アル・オワイダ氏はアラブニュースの取材にこう答えている。「隔離が続くとモラルも低下し、私たちの多くが自分自身や環境に対して否定的な見方をするようになりました」

「私たち自身が抱える悩みから、精神的・感情的なストレスに悩むすべての人がお互いにつながる方法を提供するために、メンタルヘルスを意識した取り組みである『Helpline.sa』を立ち上げたのです」

このプラットフォームは高校生によって運営されているが、そのユーザーは高校生に限定されてはいない。設立者は、助けを必要としている人や、単にメンタルヘルスの問題について知識を深めたい人なら誰でもコミュニティの対象になると述べている。

「私たちの目標は、メンタルヘルスにまつわる偏見をなくすことです」と、共同設立者で研究者のサレハ・アル・ザイヤー氏は言う。

「ソーシャルメディアを通じて、OCD(強迫性障害)、うつ病、不安症など、さまざまなトピックに関する情報を広めていきたいと考えています。また、『自分は一人ではないんだ』ということを、人々に伝えたいと思っています」

問題に対する反応は人によって異なり、その対処の仕方も異なる。このようなテーマについて時間をかけて学べば、相手をよりよく理解し、よりよい支援を提供することができるとアル・ザイヤー氏は付け加えた。

Helplineの共同設立者であり、コンテンツとリサーチの共同責任者であるジョウド・アル・ナムナカーニ氏は次のように述べる。「ユーザーはこのプラットフォームを、『私は自分の心の健康に気を配っているだろうか』、『どうすれば自分の自信を高めることができるだろうか』、『会話をしているときに相手の気持ちを思いやることができていただろうか』など、自分を振り返る場と利用することができます」

Helplineのアプローチは、複雑なメンタルヘルスのトピックを、シンプルで簡潔で親しみやすい方法で議論することで、意識を高めることである。

「私たちの社会では、メンタルヘルスについてあまり語られていません」とアル・ナムナカーニ氏は言う。「それを補うためには、メンタルヘルスをより親しみやすいイメージで伝えなければなりません。例えば、特定の疾患に関する根拠のない噂話を否定することも必要でしょう。また、メンタルヘルスに悩んでいる人は注目を集めたい人と見られがちですが、そうではないことを明確にしなければなりません」

「もうひとつのよくある誤解、それは彼らが『弱い』ということです。セラピーを受けることは、弱さではありません。それは、助けを求め、良くなろうとする勇気ある行為です。それはまた、自分の感情を封じ込めるのではなく、開放することを意味します」

Helplineは、人々が興味を持つ特定の問題に焦点を当てた記事を英語とアラビア語で毎週掲載している。また、月に一度、ウェビナーを開催し、その内容をウェブサイトに掲載するとともに、その他のリソースも提供している。

グループの創設者とボランティア達は、これまでのHelplineの歩みの中で、それぞれの課題に直面してきた。パンデミックの影響で、リモートでの活動を余儀なくされたため、通常であれば直接会って話をすることで有機的に結ばれるはずの人脈や関係を築くことが難しくなった。

9月30日にヘルプラインが主催した最新のウェビナーでは、思春期カウンセラーであり、メンタルヘルス提唱者でもあるヤラ・ヘルワ氏が中心となり、自殺予防についてのディスカッションを行った。

「私の目標は、中東でメンタルヘルスに対する認識を広めることです。使われる言語にかかわらず、偏見をなくすために懸命に活動しています」とヘルワ氏は語る。

「私はただ、人々に自分が経験していることを話してほしいと思っています。そしてHelplineはそれを提供してくれているのです」と彼女は語り、Helplineの創設者たちとその想いは同じだと付け加えた。

「彼らは会話し、投稿し、若い世代と、その分野における訓練された専門家を結びつけてもいるのです。だからこそ、私は躊躇なくこの場所に参加しています」

若い世代と対象とした、デリケートな話題を扱うウェビナーという条件の中、自分もHelplineスタッフも、その反響の大きさに驚いたと言う。

ヘルワ氏は、若者たちが自分たちにはなじみのないテーマについて学び、理解し、心を開いてくれたこと、彼らがどれほど反応し、情報を吸収できたかについて「うれしい驚き」を覚えたと語る。また、メンタルヘルスの話題を避けて通るのではなく、率直に話すことができたのは新鮮だったとも述べている。

アル・ナムナカーニ氏は、ウェビナーが参加者に好評だったことを嬉しく思い、誇りに思っていると語る。「とてもポジティブなフィードバックを頂いています」

Helplineの主催者は、現在の目標はサービスを拡大することだと語る。現在、サウジアラビア国内の数カ所でボランティアが活動しているが、さらに他の地域でもボランティアを募り、Helplineのメッセージをできるだけ多くの人々に伝え、大きな効果を上げることを目指す。

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