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サウジビジョン2030:太陽エネルギーはオイル・ガスを補完し、ライバルとはならない

リヤドのキング・アブドゥルアジズ科学技術都市のアル・オイェイナ研究ステーションで一面のソーラーパネルの前を歩くサウジアラビア人男性。(ロイター)
リヤドのキング・アブドゥルアジズ科学技術都市のアル・オイェイナ研究ステーションで一面のソーラーパネルの前を歩くサウジアラビア人男性。(ロイター)
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24 Jul 2020 08:07:22 GMT9
24 Jul 2020 08:07:22 GMT9

サウジアラビアのエネルギー相アブドル・アジズ・ビン・サルマン王子は、先月、再生可能資源から同王国の電力50%を生産するという2030年までの方針を発表した。このサウジビジョン2030は、サウジアラビアが、さらには中東地域が、「大胆だが達成可能」な成長を遂げ得る、そして、辿るべき道筋を提示している。96の連鎖的な目標を包含するこの展望において、急速に変化する世界に対応する備えの必要性へのサウジアラビアの認識が明らかとなっている。

新型コロナ禍(COVID-19)は、新たな危機が疑いの余地なく迫っていることを示した。将来の、また、再発するパンデミックは言うまでもなく、気候変動も潜在的ながらそこに在る脅威であり続けている。総合的な即応能力と準備態勢は、人的資源、地域的な財務や産業そして社会全般に及ぶ回復力への巨額な同時投資が必要となる。再生可能なエネルギーに一層の重点を置くことによって、アラブ諸国は、喫緊の課題に対応し、気候変動と戦い、より強固な経済安全保障を実現することができるようになる。

中東の経済はもう長期にわたって炭化水素頼みである。サウジビジョン2030が示唆しているように、このような経済的依存の限界を先見の明を持った地域の指導者たちは既に認識している。

極端にも見受けられる二者択一を私たちは時として迫られる。例えば、中東諸国は炭化水素に依存し続けるべきか、太陽エネルギーといった再生可能なエネルギーへの疑いもなく困難で非現実的な短期間での全面的転換を行うべきかといった議論である。だが、これは無意味な二者択一に他ならない。

石油・ガス産業はサハラ砂漠から北極圏にまで至る国際的な産業である。さらには、石油やガスの取引は売買基準からOPECの構造や目的に至るまで、全世界的な枠組みの中で行われている。それとは正反対に、太陽エネルギーは非常に拡散され分散化されたものである。しかし、現在のテクノロジーと技術革新の新しい方向性を勘案すると、これら2種のエネルギー源は今後何十年間にもわたって併存し連携して機能することが可能である。また、そのような連携こそが必要なのだ。この文脈において、太陽光発電は地域の経済に対して再生可能な支援と回復力を提供することができるのである。

中東ソーラー産業協会は、新型コロナ禍の影響が無ければ、2023年に、同地域での太陽エネルギーへの投資額が年間1兆ドルに達すると見込んでいる。昨年、サウジアラビアの300メガワット級のサカカ太陽光発電所の完成が太陽エネルギーの拡充において重要な到達点となった。新型コロナウイルスによって引き起こされた経済的混乱にも関わらず、600メガワット級のアル・ファイサリア太陽光発電プロジェクトは、サウジアラビア国内の他のプロジェクトと同様、依然進捗している。

新型コロナウイルスが石油部門に与えた動揺、また、それに伴う世界の貿易と経済に生じた混乱を考慮すると、現在は太陽エネルギーへの投資を増加させる好機である。そのような追加投資にあたって、太陽エネルギーを石油やガスの直接的な競争相手と看做すのではなく、むしろそれらを補完するものとして理解する必要がある。地域の太陽光発電への依存度の増加は、輸出用炭化水素の増加を意味する。太陽光を用いた石油増進回収法(EOR)として知られる技術プロセスによって、太陽エネルギーは炭化水素の生産の支援にすら役立つのである。2013年、オマーンは、石油メジャーのシェルとトタルと連携して、中東初となる太陽光を用いたEORプロジェクトを推進した。

このプロジェクトは、オマーンの同様の施設のモデルとなっており、やがては中東地域全体のモデルとなっていくと考えられる。以前から、筆者は、資本主義にとって健全な進化とは「良い資本主義」の方向に進むことだと主張してきた。それは、持続可能性や環境衛生、社会的繁栄といったソーシャル・グッドの実現をその目的の中に組み込んだ収益性の高い市場志向の活動を意味している。良い資本主義の背後にある根本的な認識は、社会が困難な状況にある時、企業も繁栄出来ないというものである。つまり、健全と活気あふれる市場の創造に資する企業が求められているということなのだ。COVID-19以後の世界では、この傾向が一層強まる。

2種のエネルギー源は今後何十年間にもわたって併存し連携して機能することが可能である。また、そのような連携こそが必要なのだ。

ヴィノッド・セカール

そして、また、これが太陽エネルギーと炭化水素を結びつけようという動きがゲームチェンジャーになると筆者が考える理由でもある。サウジアラビアが、今日、世界の石油市場に影響を及ぼしているのと同様の構図を再現可能なのである。世界の石油離れがますます進む中、太陽エネルギー技術へのサウジの投資額の増加はサウジ自体の経済の急速な多様化に貢献する。ビジョン2030は、このように、サウジアラビアが太陽エネルギーの生産、技術、革新において世界的な影響力を保有するような新たな経済モデルへの足がかりを提供している。

再生可能エネルギーへの移行や、技術革新への投資、太陽光技術とビッグデータの統合、最先端のストレージソリューションにより、サウジアラビアは、中東地域、そして世界にとって魅力的で追随せずにはいられないような経済モデルを創造することになる。サウジは、効率性、収益性、エネルギー容量の向上に最も長けた、21世紀のテクノロジーのインキュベーターとしての役割を果たさなければならない。

エネルギー危機、雇用機器、環境危機への解決策、そして、さらには、未来の経済への架け橋を太陽光発電に見出すことが出来る。サウジアラビアと中東にとって、明るい未来はそこまで来ているのだ。

ヴィノッド・セカールは、エラストマーのリサイクル、除タンパク質、HIVとガンの治療、革新的な金融ソフトウェア、バイオフォトニクス、バイオ燃料関連の業績により、アジア発のグローバル・グリーン賞を受賞した。彼は、また、世界経済フォーラムの「アジアの新リーダー」40人の1人にも選ばれている。

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