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サウジアラビアの電力改革が市場を照らす

政府の改革推進の下、太陽光発電は家庭用電力需要を賄うために使用される原油の量を削減するための手段とみなされている。 (File/AFP)
政府の改革推進の下、太陽光発電は家庭用電力需要を賄うために使用される原油の量を削減するための手段とみなされている。 (File/AFP)
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05 Dec 2020 11:12:21 GMT9
フランク・ケーン
05 Dec 2020 11:12:21 GMT9

サウジ電力公社(SEC)の財務構造が抜本的な刷新によって変革されてから数週間が経過し、変革の意味合いを消化するまでしばらく時間があったこともあり、市場はこれまでのところ変革を前向きに受け入れているようである。

サウジ証券取引所(タダウル)で取引されているSECの株式は、450億ドルの大規模な再編が発表されるまでの数週間は、堅調な動きを見せていたが、最終的な内容が発表されると下落に転じた。 しかし、その後、力強さを取り戻し、現在は今年の最高値のSR22( 6ドル)に迫る水準で推移している。

サウジ電力公社(SEC)の発表した内容には、政府債務や料金、関税や規制構造など、複雑に絡み合った一連の取引が含まれていたため、市場が肯定的な評価に達するのに時間がかかったのも不思議では無い。

全体としては、SECが20年前にいくつかの小規模な地域発電事業者から設立されて以来、サウジアラビアの電力セクターの最大の変革となっている。

今回の刷新で最も目を引いたのは、SECが政府に対して負っていた448億ドルにのぼる負債や債務を債券に転換したことである。これらは、財務省が保有するシャリーアに準拠した金融商品、つまり実質的には史上最大のイスラム債に転換されている。

SECは、この債券は「株式同等」の性質を持つが、既存の株主の持分を希薄化せず、また最終的には財務省に4.5パーセントの利息を支払うことになっている。

信用格付け機関であるムーディーズは、新しい資本制度の数値を計算し、新商品を負債としてみなすと、負債と資本の比率が87%になるという結論に達している。ただし、株式的性格から、負債から除外し、資本とみなすと、比率は大幅に低くなり、来年には約36パーセントまで下がる。

ムーディーズは、新しい資本構造はSECにとってメリットになると予測している。「新しいフレームワークは、現在よりも透明性が高く、SECの負債保証メカニズムの予測可能性を高めている」と述べ、規制と料金体系の明確化がSECの格付けを現在の格付けからA1にアップグレードした理由の1つであると付け加えて述べている。

「新しい規制のフレームワークが、より安定した予測可能なキャッシュフローをもたらす」

フランク・ケイン

また、今回のアップグレードでは、新しいフレームワーク下でのSECに対するサウジアラビア政府のサポートが、以前の「高い」から「非常に高い」と評価されたことも反映している。ムーディーズがSECの格付けを、サウジアラビアの債務に対するソブリン格付けと同等に引き上げた背景に、この政府保証が織り込まれている。

「新しい規制のフレームワーク下で、SECのほとんどの事業でより安定した予測可能なキャッシュフローが生む出される」と、ムーディーズは述べている。「新しいフレームワーク下では、SECは運用コストを回収しつつ、3年間の管理期間を持つ規制資産ベースモデルの下での投資に対して6%の適正利益率を得ることができる」

SECはまた、新しい規制フレームワーク下でかなりの営業キャッシュフローを生み出し、財務上の柔軟性を高めることができる。ただし、経済成長再開後、サウジアラビア消費者の電力需要の伸びを賄うには、今後莫大な資本支出プログラムの実行が必要とされ、必要とされる資金調達のためには、債券市場での債券発行が欠かせないであろう。

改革によって生まれたのは、多額の債務負担を取り除き、政府に対する負債が明確化され、より予測可能なものにすることで、国際的な公益事業部門の競合他社に近い近代的な企業・財務構造である。

サウジアラビアの消費者は、使用する電力料金の変更によって直接影響を受けることは無いが、長期的にはSECの合理化と近代化による恩恵を受ける。

新しい体制によって、ビジョン2030のメガプロジェクトに資金を提供するために必要な資源を追加提供する可能性も持つ。

SECはパブリック・インベストメント・ファンドが過半数を所有し、サウジアラムコが少数株主となっているが、今回の新体制構築は、一般投資家や戦略的パートナーへの更なる株式売却の体制整備とも見られている。

アドバイザーは当面その可能性について言及していないが、新しいSECは確かにより魅力的な投資先であることは間違いない。

  • フランク・ケインは、ドバイを拠点とする受賞歴のあるビジネスジャーナリストである。 Twitter: @frankkanedubai
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