Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • instagram
  • Home
  • 責任を伴った包括的な成長を観光産業回復の要に

責任を伴った包括的な成長を観光産業回復の要に

リヤドで開催されたG20サミットで会談する各国の観光大臣。(SPA)
リヤドで開催されたG20サミットで会談する各国の観光大臣。(SPA)
Short Url:
08 Dec 2020 12:12:26 GMT9

観光産業は私たちの社会のほぼすべての部分に関わっています。このセクターには、これがなければ置き去りにされるかもしれない人々を含め、人々の生活を改善し機会を提供する独特な力があります。世界中の、あらゆる発展レベルの国々で、何百万という雇用やビジネスが、観光セクターが好調で活況を呈しているかどうかに依存しているのです。さらに、観光が原動力となって、自然や文化遺産を次世代も享受できるよう守り継ぐ努力も行われています。

観光産業が重要であることに疑いの余地はありません。ですが、様々な理由において大変重要だというのももちろんですが、私たち皆んなにとって大変だった2020年も終わりを迎えようとしている今、その重要性はいっそう高まったといえます。国連世界観光機関(UNWTO)の呼びかけに耳を傾けた各国首脳が、観光産業の支援という言葉を行動で裏付け、観光産業の回復の中心に包括性および持続可能性を据えるべく協力を約束したのは意義深いことです。その結果、世界の観光セクターはかってないほどに団結し、決意を固めることになったのです。

こうした協力精神や、観光産業の力を復興の柱として最大限に活用しようという決意の高まりが何よりも明らかなのが、最近の 一連のG20 諸国の会議や会合です。成功に終わったG20諸国の観光大臣会合により、観光産業が今では世界の舞台で中心的な役割を担っていることが浮き彫りになりました。さらに、未曾有の危機に直面しているにもかかわらず、観光産業がこの課題に立ち向かい、多国間アジェンダにおいて最も差し迫った問題に積極的に取り組み、今後に向けた共通の路線を見極めていることも明らかになりました。

さらに、先月サウジアラビアで開催されたG20首脳会議では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの社会的・経済的影響緩和に向けた共同行動計画や将来に向けた取り組みにおいて、観光産業が優先視されることにもなりました。実際、このサミットの主要な成果の1つである「AlUla Framework for Inclusive Community Development(包括的コミュニティ開発に向けたアルウラ枠組み)」(サウジアラビアで最初にユネスコ世界遺産に登録されたアルウラにちなんで名付けられた)では、観光産業という独特の力が明確に認識され、「ビルド・バック・ベター(より良い復興)」の競争の中で置き去りにされてしまうかもいれない人々や地域社会に機会を提供できるセクターだとして認められました。

G20諸国の観光大臣全員が、アルウラの枠組みを指針として使用し、観光産業の復興計画や、観光産業の力を活用した持続可能で包括的な開発推進に取り組む意向を示しました。これは、観光産業を単なる話題としてだけでなく行動計画の中心に据えるという、この困難な年に私たちがすでに達成した大きな進展の上に築かれたものです。今年に入ってからすでに、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、持続可能な開発のための2030アジェンダの重要な柱として観光産業を何度も明示的に言及していますし、世界中の政府や企業のリーダーからも同様の見解が聞かれます。最近では、UNWTOは70か国以上の首脳と40社の主要観光企業のCEOとともに「ラ・パルマ宣言」に署名し、この分野を変革し、復興を推進するためにイノベーションを受け入れるという私たちの共通のコミットメントを再確認しました。

現在の課題は、この勢いをいかに維持していくかということにあります。世界の一部では観光セクターの再開がすでに始まっていますから、この課題はなおさら重要となります。この目的の達成に向け、UNWTO世界観光危機管理委員会は、12月9日(水)にポルトガルを開催国として7回目の会合を開催します。コロナ危機の当初からそうであったように、この委員会では、政府や企業、国連機関のデータや意見に基づいて、多様かつ幅広い観光セクターのあらゆる側面がまとめられることになります。これによって今年を可能な限り力強く、決意を持って締めくくることができますし、これを土台として2021年も同じように力強くスタートすることができると考えます。

コロナ危機は、私たちに観光産業の再考や再調整のまたとない機会を与えてくれた。

ズラブ・ポロリカシュヴィリ

観光産業とそれに依存する人々や地域社会にとって、2020年は最近の記憶の中でも最も大変な年となりましたが、その2020年も終わりを迎えようとしている今、私たちは新年を楽観的に迎えられるようにしなければなりません。世界全体がそうであるように、観光産業も今、岐路に立たされているのです。観光産業は、単なる軽薄な余暇活動とみなされていた時代から一転して、今や国や世界の発展の一部として定着し、持続可能な開発のための2030アジェンダの重要な柱となったのです。今、私たちは、将来に向け正しい道を歩まなければなりません。コロナ危機は、私たちに観光産業の再考や再調整のまたとない機会を与えてくれました。これにより私たちは、責任を伴った包括的な成長を行動のすべての中心に据えることができるようになるのです。

UNWTOは、世界の観光産業のリーダーとして、官民を問わず、加盟国や非加盟国と緊密に協力し、私たちが直面している前例のない課題に解決策を見出すべく、今後も努力を続けていきます。ですが、観光産業が立ち直り、すべての人々が恩恵を受けるような、より広い範囲における回復や変革を推進するためには、政府の強力な支援が必要であり、私たちは各政府に、こうした必要な支援を提供してあげてほしい、とあらためて呼びかけたいと思います。何もしない、ということは許されません。観光産業は再開し、人々と地球のために、より良い形で成長していくことになるでしょう。

  • ズラブ・ポロリカシュヴィリは、国連世界観光機関(UNWTO)の事務局長である。
特に人気
オススメ

return to top