Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

民間用空港を標的とするのはテロリスト集団だけである

Short Url:
11 Feb 2021 12:02:44 GMT9
11 Feb 2021 12:02:44 GMT9

フーシ派の暴力性を認識している人々にとって、サウジアラビア南部にあるアブハ国際空港における卑劣なテロ攻撃は驚くべきことではない。イエメン内戦の情勢を知るものにとって彼らの残酷で野蛮な行動に目新しいことはない。

すべての戦争がそうであるように、イエメンの内戦は凄惨であり複雑だ。だが、この内戦がどのようにしてどんな理由から始まったかは忘れられるべきではない。民間を攻撃の標的としているこれらフーシ派のテロリストたちは、国連の庇護を受け国際社会に承認された正式な政権を転覆したのだ。その時点でイエメン政府はサウジアラビアなどの近隣アラブ国家に救援と援助を依頼した。

アラブの同盟国による攻撃によってもイエメン民間人の死者が出ている、と即座に反論するものもいるだろう。そのことは事実であるが、大きな違いが一つある。同盟国による被害は事故であり、調査が行われ謝罪もされてきている。一方のフーシ派はというと、サウジアラビアの都市に対する攻撃について自慢し、常に民間人の殺害をほのめかしている。アブハ空港に対して4機の無人戦闘攻撃機を発射した、という本日の発表もそのひとつである。

事実、すでにフーシ派はサウジアラビアの都市に対して数百にものぼるミサイルや無人攻撃機を発射してきた(それには聖地メッカ近辺に対するものも含まれる)。彼らは再三にわたり民間人と民間施設を標的として攻撃を行なってきたが、サウジアラビアの対空防衛によって今のところその被害は最小限に留められている。

これらの攻撃が実際どんな性質のものであるか、を定義するのを国際社会は躊躇うべきではない。これらはテロ攻撃である。サウジアラビアの対空防衛が非常に効果的であるがため納体袋の映像が流れることはなく、またサウジアラビアはイエメンより裕福である。しかしこれらの事実はサウジ王国を被害者から加害者に置き換えるものではない。

以前にはリヤド空港に対する攻撃も起きた。ジッダ空港近辺に対する攻撃も発生した。ここ数週間における攻撃回数の急増は顕著である。停戦に向けた話し合いについて米政権が言及したことでフーシ派はその大胆さを増したかのようだ。彼らはこうした善意のしるしを国際社会、特にアメリカの弱みと捉えているのだ。フーシ派は自らの本質に対して責任を負わなければならず、それに基づいて呼称されるべきだ。その本質とは、あまりにも長きにわたって国家を意のむくまま好き放題にしてきたテロリスト集団である。

フーシ派は責任を負い、その本質であるテロリスト集団と呼称されるべきである。

ファイサル・J・アッバス

バイデン政権の顧問たちが留意していることを期待したい。彼らは前政権によって為されたフーシ派の「テロリスト」指定を解除する意向であるといわれている。米国内の分断の深刻さと政治情勢を見る限り、これは前政権との間のただの政争であるかもしれない。バイデン氏の顧問たちは、フーシ派をテロリストと指定しないことが支援・援助に繋がると真摯に考えているのだろうか。

あらためて言っておくが、フーシ派は長期にわたって支援を妨害し、それを必要とする人々に物資が渡ることを禁じてきた。昨年のコロナウイルス(COVID-19)大流行の真っ只中における個人用防護具に対しても同様であった。この事実は広く知られており、フーシ派はこうした無責任な行動についてサウジアラビアや米国の前政権だけでなく、国連やヒューマン・ライツ・ウォッチからも非難されている。

子供を戦闘員として活発に募集し、過激主義を喧伝し、その公式スローガンが「アメリカに死を」とうたうような集団が支援物資の供給を妨げるなどということはもちろん驚きではない。さらにフーシ派はアメリカ海軍に対する攻撃を3度実行した。繰り返すようだが、これらは戯言ではない。実際に調査された事実である。

アメリカ海軍に対する攻撃は、それらがフーシ派の主たる後ろ盾であるイランに対して寛容政策を採ったオバマ政権の末期数日間のうちに実施されたことにその重大性を秘めている。イランに対する寛容政策は責任ある行動を助長するという名目に基づいていたが、もちろんバラク・オバマ氏は、核合意による数十億ドルもの資金をイランが喜んで享受し、その行動については何も改めず、民兵組織に対する資金や物資の援助を行なって地域を不安定化し続けることをのちに知ることとなる。

水曜日に起きたアブハ空港に対する攻撃は、イランと同様にフーシ派が善意のしるしを誤解する集団であり、その行動はアメではなくムチを使った場合にのみ改められることを示している。

この脅威に対して国際社会がどのような姿勢をとり、国際法に何ができるのかを拝見することとしよう。要は、その細部において異論はあるかもしれないが、民間の空港を作為的に標的にするのは凶悪な戦争犯罪であり、そのことについては議論の余地はないのだ。

  • ファイサル・J・アッバスはアラブニュース主筆である。Twitter: @FaisalJAbbas
特に人気
オススメ

return to top