ディーマ・アル・クデイル & ワン・カルロス・ディアス
ジェッダ、ドバイ: ナショナル・コマーシャル・バンクとサンバ・ファイナンシャル・グループは、中東の銀行史上最速かつ最大の合併をわずか15ヶ月で完了させた。
新組織であるサウジ・ナショナル・バンク(通称SNB)は、現在、サウジアラビア最大の金融機関であるとともに、株主にも多くの利益をもたらしている。
これは、SNBの2021年の利益が10.7%上昇したことからも明らかだ。同銀行の報告書によれば、「合併後の一連の効果による業績改善」により、127億SR(34億ドル)の利益を計上したという。
だが、このような合併によって、旧来のリテール顧客の一部が新システムの扱いに苦労していることがアラブニュースの調べでわかった。
SNBは半年足らずのうちに、140万件以上の個人顧客の口座を移管した。
「いうまでもなく、このプロセスは簡単なものではありませんでした。特に2つの巨大銀行事業対の合併ということで、多くの課題に直面しました」と、SNBはアラブニュースの取材に対して語った。
さらに、2つの銀行を統合する過程は「技術的、財政的、事務的、そして指示的な手続きが必要だったため」に「最も困難な段階」であったと付け足した。
学業修了の支援として毎月政府からの入金がある学生口座にアクセスできなくなった学生たちもいた。バセル・アル・アミール氏もその一人だ。
「12月28日にATMで入金された金額を引き出そうとしたが、できなかった。同じ日に友人2人も大学で試したが、無理だった」と、アル・アミール氏はアラブニュースに語った。
「友人の一人はお金を引き出そうとATMを3つくらい試した。次の日、別の友人はお金を引き出せたが、自分はまだできなかった。3日間の間、いろいろなATMを試した。最終的に大学キャンパス内の銀行の窓口に行って問題を解決しないといけなかった」と、彼は続けた。
また、アル・アミール氏はカードが突然、使用拒否されるという問題にも直面した。
「SNBのカードが突然使えなくなったんだ。口座にお金はちゃんとあった。周りでもたくさん、同じ問題が起きた人がいる」
銀行は直ちに対応し、問題を解決したという。
「銀行に電話をすると、翌日には解決されると言われた。そのとおりだったよ」と、アル・アミール氏。
その他にもアラブニュースの取材で明らかになった顧客の不満がある。カードが郵送されるまでに長い時間を要することや、顧客が海外に滞在している場合、カードの入手が困難なことなどだ。
これらは、特にこれほど大規模な合併においては、予想される問題といえる。
SNBの合併は、2020年10月11日、両行間で拘束力のある枠組み協定が結ばれたことで開始された。2021年12月31日までに、顧客口座の移管が完了した。
合併には、リテール、法人、トレジャリーを中心とした5つの分野が含まれた。
また、NCBキャピタルとサンバ・キャピタルの合併、および、人事、調達、財務管理システムなどの管理部門や支店の合併も含まれる。両銀行の支店も合併し、顧客に統合されたサービスを提供できるようになった。
法人部門は現在、11,000 以上の顧客を有しており、中には多くの中小企業が含まれる。また、SNBは法人部門の顧客の100%の口座開設と有効化を完了した。
SNBのアンマール・アル・クデイル会長は、SNBは合併計画のすべての段階を完了し、結果として、9000億SR超の資産を持つサウジアラビア最大の銀行が誕生したと語った。
「合併計画のゴールに到達することは、新たなステージとサウジアラビアの銀行業界にとっての有望な未来への道を切り開くことです」
今年1月現在、SNBはサウジアラビアの銀行セクター総資産の31%、個人向け融資において最大28%、法人向け融資で最大24%の市場シェアを有している。
「現在、当行には500以上の支店があり、サウジ国内全体で4,100以上のATM、950台の現金自動預け払い機、約127,000台のPOS(販売時点情報管理)機器を保有している」と、アル・クデイル氏は述べた。
イニシャルのみの公表を希望するサウジアラビア人の女性、A.S.氏は、スペインに旅行中の12月31日にクレジットカードが使えなくなったという。
「ホテルの予約をしていたら、カードが使えなくなった。口座にはお金があったけれど、アクセスできなかった」と、彼女はアラブニュースに語る。
だが、銀行の対応は非常に良く、問題は早急に解決されたと強調した。
「その日に銀行に電話してクレジットカードが使えないこと、サウジアラビア国外にいることを伝えました。とても素早く親切に対応してくれて、その後は旅行中カードをちゃんと使うことができました」
SNBは、合併に集中的に取り組んできた「大規模なチームがフロントにもバックにも存在する」と語り、今回の合併をサウジアラビアの銀行史におけるターニングポイントと呼ぶ。
アル・クデイル氏は、SNBは現在、新しい戦略的展望を追求するという次の段階に入ったと話した。