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アラムコの歴史的IPO — ADIPECのブースからの眺め

アラムコの広告を掲載する看板を、サウジアラビアの首都リヤドで撮影。(AFP)
アラムコの広告を掲載する看板を、サウジアラビアの首都リヤドで撮影。(AFP)
フランク・ケーン
13 Nov 2019 08:11:25 GMT9

ADIPECでのサウジアラムコのブースは、アブダビが毎年開催するこの巨大エネルギーショーの中で、最も訪問客を集めた展示会となった。

しかし、ほとんどの来客は油田の縮尺モデルを熱心に見つめ、先進掘削技術についての講演に丁重に耳を傾けてはいたが、当ブースの目玉はもちろん、世界で最も収益の高い企業の新規株式公開(IPO)であった。

誰もがこのIPOについて話したがっていたし、ADIPEC(アブダビ国際石油展示会・会議)の開幕前日に公表された目論見書のおかげで、話題も数多くあった。記事にできることは限られているので、ここではアラムコのIPOに関して交わされた多くの会話の中の大多数の見解を「一般の声」として紹介したい。

彼らはIPO目論見書の開示レベルに関して全体的には満足しており、全658ページを読んだ者はいなかったが、目論見書から多くを知ることができたと述べていた。

当然ながら、評価額、売りに出される比率、価格に関する重要な数字を皆待ってはいたが、世界最大の企業を民営化することは、ブース訪問者の一人が言うところの「短距離走ではなくマラソン」であることを理解していた。これらの数字は、来週から始まる製本工程の後に明らかになるだろう。

それにもかかわらず、多くの回答者が、これら数字の最終的な着地点について意見を述べる用意ができていた。総評価額という重要な問題について、石油ビジネス専門家のあるアメリカ人は、株式の売り手であるサウジアラビア王国が、評価額上限を2兆ドル(7.5兆サウジアラビア・リヤル)から引き下げ、 おそらく、1.5兆ドルから1.7兆ドルの間でIPO実施の準備を進めるであろうと考えていた。

この水準で米国投資家からの需要はあるのだろうか?話を聞いた専門家によれば、ジャマル・カショギ氏の死に対する抗議として米国金融機関がIPOに手を出さないという話は誇張されたものであったようだ。結局のところ、この悲劇的な事件をもってしても、今年の記録的な数字となったアラムコの社債発行への米国金融機関の参加を止めるまでには至らなかったと同専門家は指摘している。

いつものように、米国投資家たちは、お金に見合う価値と投資から得る収益の流れを追い求めていた。ある英国銀行家が言うところの「資本保全と資本増価」である。ここで重要な問題となるのは、投資家が株式に期待できる配当だ。

アラムコは750億ドルの配当金を確保しており、IPO投資家向けに新株優先引受権を政府よりも優先的に発行する。このことは公表され歓迎された。配当が原油価格に応じて750億ドルから1,000億ドル以上に実際に増加する可能性があるという報道は好意的に受け止められた。

本IPOはこの段階でサウジ証券取引所のみの問題である。そのため最も重要な側面となるのは、おそらくサウジアラビア国民、王国内の外国人居住者、リヤドでIPO株を購入できるGCC(湾岸協力会議)加盟国市民の間の需要であろう。

話を伺ったサウジアラビア国民の方(20人に話を聞いた中の6人ほど)は、次の事で意見が全員一致していた。一部には愛国的な義務から、一部にはアラムコの長期的な価値への確信から株式購入を希望していたのだ。

特別な銀行機関に本IPOを手配している人がいた一方で、資産(主に土地とサウジ証券取引所でのその他投資)を売却している人もいた。報道とは反対に、株式購入資金を調達するために自宅を第二抵当に入れている人は見当たらなかった。

調査結果全体から見ると、個人投資家向けに確保されている0.5パーセント分はすぐに売れてしまうようである。そのためアラムコは、より多くの株式購入を希望する富裕層投資家の殺到の可能性に対応するために、その数値を調整する必要があるかもしれない。

本IPOに関しては、いくつかの懸念と不確かな事項があった。サウジ証券取引所は、この史上最大のIPOに対処できるのだろうか?部外者(目論見書の中で「戦略的外国投資家」と具体的に言及されている)は評価額に影響するのだろうか?

事情に精通する一部の石油関係者は、本IPOの価格設定がウィーン開催の次回の重要なOPEC会議とほぼ同時期に行われ、それが原油価格に基づく評価額の側面に影響を与える可能性があるという事実に注目した。

サウジアラビア王国が、9月にアブカイク処理工場とフライス油田に受けたような攻撃に対して依然として脆弱であり、本IPOの結果に大きな影響を及ぼす可能性があるという懸念を示したブース訪問者は少なくなかった。

ADIPECのアラムコブースからは、このような一般の声がよく聞こえてきていた。本IPOが現時点での唯一の選択肢であることは確かである。

  • フランク・ケインは、受賞歴のあるビジネスジャーナリストであり、ドバイを拠点に活動をしている。

Twitter: @frankkanedubai

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