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ワクチンパスポートはパンデミック脱出の唯一の道

イスラエルのテルアビブのレストランで、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書を提示する準備をする客。(Getty Images)
イスラエルのテルアビブのレストランで、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書を提示する準備をする客。(Getty Images)
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13 Apr 2021 11:04:37 GMT9

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策に「ワクチンパスポート」が運用される可能性が高いという問題を巡り、「ワクチンパスポート」が機能するかどうかについて疑問が投げかけられている。「ワクチンパスポート」の目的は、理論的には、集団免疫をもたらすための抑制と均衡の仕組みを導入することで、新型コロナウイルスの感染拡大を緩和することにある。現在、世界の多くの国々で、プライバシーの侵害と医療の必要性をめぐる議論が行われている。議論の中心となっているのは、人間の安全保障のための要件である。

渡航前に特定の病気に対する予防接種を受け、関連書類を作成するという要件は、新しいことではない。ワクチン接種歴の証明は、旅行者や人の安全に対しさらなる予防策を講じることとなる。ワクチン接種歴の証明書を持っている人は、持っていない人に比べ病原体を拡散する可能性が低くなる。他の病気では予防接種の証明書が必要となるが、問題となっているのは、新型コロナウイルスに関しても同様に接種歴を証明する 「書類 」が必要になるかいうことである。 ガーナやブラジルなどへの渡航については、すでに黄熱病の予防接種証明が必要となっている。黄熱病は蚊が媒介するのに対し、新型コロナウイルスは空気を介して感染する。しかし、考え方は同じである。このように、ワクチン接種を義務付けることで、感染を防ぐだけでなく、感染経路の一部を遮断することができる。それが、旅先や日常生活での人の安全を守ることにつながるのだ。

渡航のためワクチンを接種するという概念は新しいものではないものの、新型コロナウイルスの性質により、ワクチンパスポートを巡る動向がさらに複雑になっている。黄熱病に関する予防接種要件はかなりうまく機能しているが、黄熱病自体が渡航者の中で最も多い病気というわけではないため、その仕組みは完璧とは言えない。しかし、新型コロナウイルスは感染力が非常に強く、世界のすべての国、国境管理、都市部での感染拡大に影響を及ぼす。人間の安全保障のために、何らかの形でワクチン接種歴を示す文書を携帯することは避けられない。証明書を持たないことが自由の一部であると主張するならば、人間の安全保障の定義は崩れてしまう。人権活動家らは人間の安全保障の定義を誤認し、ワクチン接種証明を巡る議論に悪影響を及ぼしている。

人間の安全保障が、システムに抵抗し安全保障そのものを誤認する人々によって、崩されてしまうのだ。

古い考えは、良識ある科学的必要性に置き換える必要がある。すでに新型コロナウイルスのワクチン接種証明カードなどの偽造品が、人間の安全保障に関する要件を悪用してオンラインで販売されている。この自由を巡る議論が、このような犯罪の出現を可能にしているのだ。

このような不正行為を防止することが、ワクチンパスポートをデジタル化する大きな理由である。しかし、そういった技術は、人間の安全保障に対する脅威として、プライバシーの問題を引き起こすという意見も一部ある。このような考え方は、新型コロナウイルスのような病原体になると逆効果となる。人間の安全保障のためには、誰もが、ワクチン接種歴や集計を示すスマートフォンが使えるようになる必要があるのだ。この特殊な新型コロナウイルスという病原体については、人間の安全保障のためにワクチン接種歴を集計することが非常に重要であるから。このようなデータを収集しておかないと、新型コロナウイルスの病原体やその変異株がワクチン接種率を上回ってしまうことになりかねない。

これは何を意味するのだろうか?新型コロナウイルスのワクチンパスポートを使用できるのは、幸運にも早期にワクチン接種ができた特権的な人々だけであるという主張は非常に疑問であり、ワクチン接種証明の必要性を覆い隠してしまうということを意味するのだ。マイノリティや低所得者がこのような技術にアクセスできないという主張もまったく的を得ていない議論である。市や町では、このような社会の一部に携帯電話を配布するプログラムがある。ホームレスの人々に対し安全のために携帯電話を支給する。この技術を使うことで、人間の安全保障に役立ち、ワクチン接種をはじめとする受療歴を記録しておく根拠となる。

世界各国では、国民が再び旅行できるよう、「ワクチンパスポート」の運用が始まっている。中国は、ワクチンのデジタルパスポートの導入を発表した。このパスポートはアプリを介してアクセスすることができ、QRコードを読み取ると、ワクチン接種の状況を確認することができる。日本でも同様のデジタルパスポートの計画が発表されている。EUは「デジタルグリーンパス」を支持するとしている。「デジタルグリーンパス」により、ワクチンを接種したこと、新型コロナウイルス検査の結果が陰性であること、または新型コロナウイルスから回復したことを証明することができ、27のEU加盟国すべてを渡航することができる。

この特殊な新型コロナウイルスの病原体については、人間の安全保障のためにワクチン接種歴を集計することが非常に重要である。

セオドア・カラシック博士

さらに、今後数ヶ月の間に航空便による渡航がさらに開放される予定であるため、ワクチンパスポートは海外旅行の際に重要となる。オーストラリア、デンマーク、スウェーデンはワクチンパスポートの運用を表明している。国民一人当たりのワクチン接種数で世界トップのイスラエルでは、すでにワクチンを接種した国民に「グリーンパス」を発行している。ある調査によると、このようなワクチンパスポートは、これまでは渡航資格が主な焦点であったが、社交界やレクリエーションの場、職場や学校へのアクセスを規制するためにも運用されている。例えば、イスラエルの「グリーンパス」は、ホテル、ジム、レストラン、音楽会場など、制限された場所への入場を許可するものとなっている。また、ニューヨークのワクチン接種歴を示す「エクセルシオール・パス」は、

映画館やアリーナ、イベント会場、大規模な結婚式などへの参加を許可するものとして運用されている。

米国では、バイデン政権が、自由と解放を謳った国の価値観に鑑み、米政府によるワクチンパスポートの導入を否定している。バイデン政権の消極的な姿勢は、米国を少なくともあと3回の感染の波にさらし、コロナ禍から国の回復を遅らせる間違いとなりかねない。米国の競合国もこの動きに注目している。人間の安全保障は、適切な方法で導入される必要がある。ワクチンパスポートやその他同様に証明書などを重視することでそれ以外の道はない。

  • セオドア・カラシック博士は、ワシントンD.Cにある米コンサルタント企業Gulf State Analyticsのシニアアドバイザーである。元米シンクタンクのランド・コーポレーションのシニア・ポリティカル・サイエンティストで、UAEに10年間滞在し、安全保障問題を中心に研究していた。 ツイッター@tkarasik
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