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アルウラは過去の都市というだけではなく、未来の都市になることもできる

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27 Apr 2021 12:04:11 GMT9
27 Apr 2021 12:04:11 GMT9

文化について語るとき、我々が意味しているのは何だろうか? ユネスコの定義によると文化とは「特定の社会または社会集団に特有の、精神的、物質的、知的、感情的特徴」であり、芸術・文学だけでなく、言語、価値観、伝統、生き方、信仰などの、私たちと私たちの社会が共に生きていく方法も含むものである。文化とは美であり、ロシアの文学者フョードル・ドストエフスキーはこう語った。「美は世界を救うだろう」

政治家として、私はこの定義をシンプルに解釈して拡張し、文化とは人々にとってのパスポートのような身分証明書であると主張したい。そしてパスポートがまさにそうであるように、文化は我々自身が何者であるかを定義するだけのものではない。それは国境を開いてくれるものであり、異文化との架け橋となり、社会的・経済的発展を促すものである。

しかし、我々はいかにしてこれを成し遂げているのだろうか?

イタリアでは、古代ローマ、伝統的な料理、モダンなファッションなどを通してイタリア人の歴史的文化が有名になっている。しかし私は、南の町マテーラを文化の縮図として取り上げたい。マテーラはアイデンティティをもたらし、国境を開いて架け橋を作り、社会的・経済的発展を促進している。

マテーラは「マテーラの洞窟住居(Sassi di Matera)」で有名だ。家々や商店や修道院が石灰岩の岸壁に刻まれている洞窟住居である。町が公式に発見されたのは紀元前251年だが、人間の居住が始まったのは9,000年前まで遡ることができるという証拠がある。残念なことにマテーラは貧困に陥り、1950年代には住民は近隣の近代的な住居に避難しなければならないほどまで見捨てられていた。これは住民たちの生活の質のためには必要なことだったが、文化遺産によって地域のコミュニティを共有することに関してはネガティブな影響もあった。

しかし1980年代、マテーラのための新たなビジョンにより復興と再生がもたらされた。政府や民間投資を通して歴史的な観光地のホテルや博物館やレストランに資金提供が行われ、洞窟住居に居住するための支援となった。これがコミュニティへの回帰や、活気のある創造的なアートシーンの成長につながったのだ。1993年にマテーラがユネスコ世界遺産に登録されたことや、2019年に欧州文化首都に登録されたことなどのマイルストーンはイタリア人の誇りの源である。しかしそれ以上に重要なのは、マテーラのコミュニティがその文化遺産と再びつながったことである。イタリア政府が2014年にマテーラを欧州文化首都に推挙することを決定した際、そのことは抜本的な変革の最も重要なシンボルだった。貧困を脱し欧州のリーダーになれたのはビジョンや文化の賜物である。

マテーラのコミュニティは観光業や接客業を通してアイデンティティを再興させ、架け橋を構築し、経済的な再生を促進することに成功している。この世界遺産は他の世界遺産と並んで、現代のコミュニティが過去と調和して暮らし、現代の経済と歴史が支え合っている誇り高い場所となった。そこには農業や映画などの関連部門の支援があったが、もちろん全てのイタリア人がそれを誇りに思うことができる。

我々イタリア人にこのような誇りがあるのと同様、このアプローチを採っているのは我々だけではない。

マテーラのケースと同様に、アルウラの再生は過去の文化に対する尊重の上に築かれることになるだろう。

マッテオ・レンツィ

サウジアラビアのアルウラ地域は世界的な文化・歴史・遺産・エコツーリズムの来訪地を創り上げる次の大きなチャンスだ。アルウラ王立委員会(RCA)の「時間を超える旅マスタープラン(Journey Through Time Masterplan)」で、アルウラとサウジアラビアはこのようなコミュニティを包括して文化を第一に考えるアプローチに従っている。マテーラのケースと同様に、アルウラの再生は過去の文化に対する尊重の上に築かれることになるだろう。

これを実現する方法の1つは「アルウラサステナビリティ憲章(AlUla Sustainability Charter)」の中にあり、責任ある開発から持続可能な開発への移行を行うために経済、環境、社会的な持続可能性を網羅している。この憲章は、我々の祖先たちが実践してきたように持続可能性から学び、研究をすることで、最も急を要する未来の課題(都市化、資源の枯渇、気候変動)への対処を支援する。

この構想はアルウラ開発の最初にして最重要の段階を指導するものであり、この地域の人々のパターンや環境的・地質学的進化に関する広範囲の科学的研究に支えられている。

そして、これが生きている文化となるだろう。アルウラは生きている博物館になるのだ。地域の人々は何千年にもわたって先祖から伝わる価値観・技術・伝統の保護者であり、アルウラ開発が長期的に成功するための中心的存在であり、優先的な受益者かつパートナーであることを「包括的コミュニティ開発に向けたアルウラ基本構想(AlUla Framework for Inclusive Community Development」は保証している。

これがこの構想の重要な価値観であると私は考えている。この構想は文化を両方の観点で尊重している。1つはユネスコの定義にあるように、人々が作り出したものや生活様式という観点で。もう1つは、何者であるのか、どこへ向かっているのか、どのように感じているのかという観点で。アルウラは過去の都市というだけではなく、未来の都市になる可能性も秘めている。この構想はアルウラの過去と未来をつなげている。コミュニティと世界をつなげている。そこで用いられているのは、未来の世代の人々やサウジアラビアを力づけ、刺激を与え、満足をもたらす方法だ。

この魔法のような場所を歩く人は誰もがこの構想を信じ、「美は世界を救うだろう」というシンプルな名言を信じている。

  • マッテオ・レンツィ氏はフィレンツェの元市長、イタリアの元首相であり、アルウラ王立委員会理事会のメンバーである。
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