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サウジアラムコのIPOが本格的に始動となるも、サプライズに 要注意

2019年11月17日、リヤドでのアラムコのIPO開始に伴い、株式市場に向かうサウジアラビア人の男性。 (ロイター社/アーメド・ヨスリ)
2019年11月17日、リヤドでのアラムコのIPO開始に伴い、株式市場に向かうサウジアラビア人の男性。 (ロイター社/アーメド・ヨスリ)
18 Nov 2019 06:11:23 GMT9

本格的に始動開始となったサウジアラムコの新規株式公開(IPO)は、昨日発表された評価額ベースでもなお史上最大の資金調達となる中、数週間後に控えたタダウル証券取引所での株式の取引開始に至るまで、熱気あふれるニュースの見出しを提供してゆくことになるであろう。

昨日の発表は、目論見書の公表時に明記されていなかった内容についての回答が示される形となり、現時点ではアラムコの全株式の1.5%が、世界中のメディアによって取り沙汰されていた最大企業評価額2兆ドルを下回る価格レンジで販売される見通しとなった。

これについて言えることは、この最終評価額は、常に妥協の問題であるということであり、これが金融市場のやり方なのである。 売り手は可能な限り高い価格で売りたいし、買い手は可能な限り安く買いたいと考える。 そこで両者が納得するどこか中間地点で折り合いをつけるのである。これを「ゴルディロックス」の法則といい、多くの人は、熱すぎず、冷たすぎず、平均的なものを選んでしまうということなのである。

今回のIPOでは、サウジアラビアの法的権限が及ばない海外の投資家が、直接株式を購入することはできないという事実は、筋違いである。 市場は、大手海外投資家がこの歴史的なIPOに参加するための必要条件を緩和してきており、海外の機関投資家は、希望すればタダウル証券取引所を介してIPOに参加することが可能である。今のところ欧米諸国の金融中心地 へわざわざ出向く必要もなく、アラムコは、ある意味コスト効率良く資金調達を行っていると言える。

投資家は、アラムコの全株式の1.5%、即ち256億ドル相当の株式を購入するのだろうか? それは大きな疑問であることは間違いないが、サウジアラビア国内の潜在的な小売市場で見られる兆候からすると、一部の銀行による潤沢な資金提供に裏打ちされた需要が多いことがわかる。 サウジアラビアの富裕層は、言われなくても今回のIPOに数十億という資金をつぎ込むであろう。

従って、個人投資家トランシェ(約0.5%即ち10億株)は、価格レンジの最高値でほぼ完売すると予想できる。

現段階で海外投資家の具体的な需要量を特定するのは困難であるが、その他のアラビア湾沿岸諸国およびアジア地域の機関投資家が欧米諸国に混じって不足分を補ってゆくと考えて良いだろう。

さらに、アラムコは、どの大手投資家を戦略上の海外投資家として密かに用意しているのか、誰もわからない。この史上最大のIPOには、もっと大きなサプライズがまだ登場してくる可能性がある。

  • フランク・ケーンは、デュバイを拠点に活動する受賞歴のあるビジネスジャーナリスト。Twitter: @frankkanedubai
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