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イランの人々がインターネットへのアクセスを取り戻せるよう私たちは介入しなければならない

テヘランの高速道路で人々がガソリン価格の値上がりに抗議している。(ロイター)
テヘランの高速道路で人々がガソリン価格の値上がりに抗議している。(ロイター)
22 Nov 2019 08:11:04 GMT9

2017年の暮れに、反政府活動がイラン中で勃発した。地理、人口統計、速度の面で前代未聞と言っていいほどのものだった。ここ数年間、さらに多くの抗議活動が国中で起こり、広がりや速度の点で同じように驚きを誘っている。

繰り返し発生する抗議活動は、イランの人々のみならず、アラブ湾岸全域にとって深遠な意味を持つ可能性がある。西側の政府は現在のデモに関して、2年前のように全くの傍観者となる危険を冒すべきではない。報告によると、わずか4日間で100人以上が殺され、抗議活動は130を超える市町村に広がった。

イランの人々は、政権の抑圧に立ち向かう能力に長けている。米国とヨーロッパは、直接介入したり、抗議活動を主導したりする必要はない。しかし西側の政府は、抵抗勢力の手の届かない分野で行動を起こす責任があると認識すべきだ。

抗議活動は、すでに劇的に強まっていた抑制手段によって脅かされている。現在の騒動が勃発して3日後である月曜日までに、イスラム革命防衛隊(IRGC)は「決定的で革新的な行動」によって抗議活動を抑え込むと断言していた。

同時に、イランは過去最大のインターネット遮断を実行しているとされた。

直接的な抑圧は、イランの活動家たちの並外れた回復力によって押し戻せるはずだ。この点は、前回の全国規模の暴動の期間中に明らかになった。IRGCの発砲、または逮捕後の拷問を伴った尋問によって平和的な抗議者数十人が殺害された時である。暴動は、それでもしばらく続いたのだ。

程度の差こそあれ、社会不安はイランにおいて普通のことになった。テヘランの政権は、強いイメージを打ち出し続けようと、この事実を隠すことに必死になっている。これがインターネット停止および政権が長年行っている検閲の理由付けの主要な部分である。これはまた、イランで通信経路を確保することが政権の弱体化に効果的な理由の一つである。

米国とヨーロッパは、イランの人々の大多数にインターネットへの安定したアクセスを提供する手段を持っている。これは、彼らがデモを組織し続け、全ての動きを抑止しようとするIRGCの努力に対抗する上で助けになる。市民ジャーナリストや大衆が抗議活動の真の規模を明らかにすることもできるのだ。

テヘランは事実上、この真実が政権にとって極めて厄介な事態であることを認めている。西側勢力は、この厄介な事態を促進することでどれほど多くを成し遂げることができるかを過小評価すべきではない。イラン国内の人々が起きていることをよりよく知れば知るほど、神の名を借りた独裁主義とその代表機関に向かって直接立ち上がる気になるのだ。彼らが自由に向けてどれほど多くの危険をすでに冒してきたかを考えると、成功が誰の目にも明らかになった時にどれほど多くのことが達成可能だろうか。

イランの抗議者たちと国際社会とのオープンコミュニケーションはまた、これらの抗議者たちが何のために戦っているかをより多くの人が正しく認識する上で助けになるだろう。2017年および最近の暴動の期間中、政権のアリー・ハーメネイー最高指導者は「敵たち」、とりわけモジャヘディネ・ハルグを非難し、この反対勢力が抗議活動の計画に主要な役割を果たし、反政府スローガンを広めていることを認めた。

主要な反対勢力であるイラン国民抵抗評議会の次期議長マリアム・ラジャヴィ(NCRI)は以前に、民主化運動の活動家たちが2018年を「反乱で満ちた年」にすることを呼びかけた。暴力や投獄といった危険な徴候は払拭されないものの、国民は政権に対する抗議行動を続けた。2018年の反乱は、反対勢力の綱領を国民が支持するものとなったと見る向きもある。綱領は、現政権の転覆に引き続き、民主制度の政府を設立することを訴えている。国家の将来に関するNCRIの計画は10項目からなり、宗教と国家の分離や、女性や少数派の人々の平等な権利の確保を訴えるものとなっている。

イランで通信経路を確保することは政権の弱体化に効果的である。

マジッド・ラフィザデ博士

現在のデモは、「独裁者に死を」と唱えることを含め、政権の変更を主張するスローガンを幾つか生み出した。これができるだけ多くのイラン人、そして国際社会全体に届くことが極めて重要である。そうすれば、イランの人々と反対勢力が民主化への大志の達成に今までにないほど近づいていることを皆が理解できる。

米国とヨーロッパは、抗議者たちが失った通信手段を置き換えることで、これを可能にする一助となれる。もし彼らがこの責務を受け入れないなら、宗教指導者の権力が今までになく脆弱な時にそうしていることになる。

国際社会のごくわずかな投資で、幾十万もの人命が救われるかもしれないのだ。そして世界は、そのような行動から多大な益を受ける立場にあるのだ。

  • マジッド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学で学んだイラン系アメリカ人の政治学者です。イランと米国の対外政策に関する第一人者で、ビジネスマンでもあり、International American Councilの議長を務めています。Twitter:@Dr_Rafizadeh
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