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イランはタリバンの脚本に勝機を見出す

ウィーンで開催されたIAEA理事会に出席した国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長。(ファイル/AFP)
ウィーンで開催されたIAEA理事会に出席した国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長。(ファイル/AFP)
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12 Sep 2021 08:09:54 GMT9
12 Sep 2021 08:09:54 GMT9

アフガニスタン撤退の不手際の記憶は、米国が早急な撤退の意思を示している他の地域に暗い影を落とすだろう。

バイデン政権に残された課題は、中東においてアメリカの存在感が薄れていくことを正当化し、最後のやり残した仕事、形骸化した「共同包括行動計画」(制裁解除と引き換えにテヘランの核開発を抑制する2015年の合意)をイランが遵守するよう、再び交渉することである。

アフガニスタンでの失敗やイラクでの戦闘任務の終了が何を物語っているのか。それは、ますます中東から距離を置き、東側や国内の優先事項に集中するワシントンが、これまで受け入れなかった条件を受け入れるかもしれないということだ。

アフガニスタンの出来事をざっと眺めただけでも、ウィーンでの協議再開前のイランの行動との類似点が見えてくる。

8月以前、タリバンはドーハでの和平交渉相手(米国)に対し、平和的解決を約束すると主張していたが、彼らの戦闘員は次々と州を占領し、カブールに近づいていた。そして今、イランは話し合いの再開を望んでおり、経済的に疲弊した国民への制裁緩和を期待して、核取引の条項を遵守すると主張している。

しかし、先週、国連の核監視機関である国際原子力機関(IAEA)は、イランが核に関する合意の遵守からさらに遠ざかり、約10kgのウランを兵器級まであと27%の純度にまで濃縮したことを裏付ける2つの機密報告書を発表した。さらに、イランは核施設への立ち入りを拒否しているため、核施設の監視映像が重要となっている。しかし、この映像を撮影するための機器の一部が破損・破壊されているため、IAEAはイランの核分裂性物質の現在の位置を把握していない。このような状況は既に、テヘランの野心を抑制するための説得活動を困難にしている。

米国と欧州の同盟国は、ウィーン会議の初期段階では、イランが再度、合意条件に従うことが可能であると考え、慎重ながらも楽観的な見方をしていた。しかし残念なことに、その期待は明確な反抗行為に打ち砕かれた。まるでテヘランは、米国と「P5プラス1」を構成する世界の超大国に行動を起こすよう挑発しているかのようだ。なぜなら、ホワイトハウスがアフガニスタンでの失敗の後、来年の中間選挙の前に、外交政策での勝利を必死に求めていることをよく知っているからだろう。

テヘランは、何度も制裁を受けてきた核プログラムを存続させ、数週間のうちに核兵器の製造を可能にする機会を見出している。

ハフェド・アル・グウェル

現在、米国の外交政策を決定する上で、機能不全、党派性、そして深く偏った国民性といった要素が重くのしかかっている。ほとんどのアメリカ人は、テロリズムに対するゼロ・トレランス(不寛容)政策を共有しており、また他国の国家再建への意欲は失っている。その結果ホワイトハウスは、特に中東や北アフリカでのコミットメントを再検討し、扇動者ではなく調整役としての役割を好むようになっている。

アメリカの永続的なプレゼンスの時代は終わりを告げた。その代わりに、いつでも自身が離脱できるような、曖昧なアプローチにシフトしている。そういった意味でテヘランは、いくつかの制裁体制を乗り越え、数週間のうちに核兵器の開発に成功するペースで進んでいる核プログラムに固執する機会を得たのかもしれない。なにしろ、ウィーンでの協議が決裂したり、テヘランが最初の核兵器を爆発させたりしても、アメリカが決定的な反応を示す可能性はかなり低くなっているのだから。

イラン大統領選挙で穏健派に取って代わった強硬派にとって、制裁強化や国際的な立場を代償にしても、核兵器の核分裂性物質を大量に生産できる成熟した体制を手に入れることほど素晴らしい戦利品はない。イランはすでに地域的に影響力のあるプレイヤーであり、モスクワや北京との関係の助けを借りて国際的に生き残ることができるだろう。

今回のIAEAの発表は、バイデン政権とそのヨーロッパの同盟国の意図を試すものである。イランを公式に非難することは、ウィーンでの進展を台無しにする危険性がある。しかし沈黙を続けることは、核取引の再構築を任されている国連の核監視機関の権威を損なうことになる。

ウィーン会議関係者の初期の反応として、イランの反抗を非難する決議は避けられないと考えられている。テヘランは、このような非難によってウィーンでの交渉が中断されると脅しており、交渉には最大で3カ月かかると予測している。

他のP5プラス1諸国にとっても今回のIAEAの発表は、交渉の継続をより不透明なものにしている。もし、イランが反発して手を引くことになったとしても、この地域からの撤退に固執する米国が、中東の核武装化を止めることができないような、歯切れの悪い新協定を締結しないという保証はほとんどない。

  • ハフェド・アル・グウェルは、ジョン・ホプキンス大学高等国際関係大学院外交政策研究所の上級研究員。Twitter@HafedAlGhwell
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