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アフガニスタンにとって、今後数週間は命運に関わるものとなる

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25 Sep 2021 09:09:45 GMT9
25 Sep 2021 09:09:45 GMT9

アフガニスタンを制圧してから1ヶ月以上が経過した今、タリバンは統治という問題を抱えている。それが反乱軍の指揮とは全く別の次元だということは、彼らは既に理解している。食料は不足しており、資金も枯渇している。アフガニスタンに潜むダーイシュのメンバーは既にタリバンに対する攻撃を行っている。

タリバンを悩ませる問題はこれだけではない。パンジシール渓谷に生まれた「民族抵抗戦線(NRF)」と呼ばれる新しい抵抗勢力だ。劣勢に立たされてはいるが、その状況は世界の政策立案者が注目するに十分値する。

パンジシール渓谷は、カブールの北東100kmに位置する。タジク族が多く住む地域で、その地形は外部からの攻撃に対して強固である。アフガニスタンの中でも戦略的な位置にあり、容赦のない山の地形と谷間が防衛を有利にしている。1980年代、ソビエト軍はパンジシールの攻略に何度も失敗した。主要な谷や村を制圧しても、レジスタンスの拠点である、谷間の支流は攻略できなかったのだ。

1990年代、タリバンによるカンダハールとカブールへの最初の侵攻後の主な抵抗運動もパンジシール渓谷で始まった。このレジスタンスのリーダー、アフマド・シャー・マスード氏は有名な言葉を残している。「私は、たとえ自分の帽子くらいの大きさの地域しか残っていなくても、抵抗をやめない」。マスード氏は2001年9月11日の米同時多発テロの2日前、アルカイダに暗殺された。そして今パンジシールでは、彼の32歳の息子、アフマド・マスード氏が新たな反タリバン勢力を率いている。父の遺志を継いだ彼には多くの賛同者が存在する。

パンジシールにたどり着き、NRFに参加した元アフガン兵、部隊、警察官達の正確な数は不明だが、推定では数千人に上るという。彼らが保持する弾薬の備蓄状況も不明である。パンジシールには豊富な水があるが、食料その他物資は不足している可能性がある。タリバンはこの地域を包囲し、渓谷の大部分を占領している。しかしソ連時代と同様、NRFはすべての支流を支配しており、これは地域の約60%に相当する。タリバンはインターネットや携帯電話を遮断しているためパンジシールから得られる情報は限られており、得られたとしてもタリバン側に偏ったものが多い。

今のところ、抵抗勢力はNRFだけだ。これからの数ヶ月間で、この勢力が及ぼす影響が明らかになるだろう。

ルーク・コフィー

NRFからは短期的な目標を示す声明は出されていない。ただ、現在の状況を1990年代との歴史的な類似性と合わせて分析することで、いくつかの結論を導き出すことができる。今のNRFの最優先事項、それは冬まで生き残ることだ。パンジシールの人々は、冬、そして山の戦いに長けている。過去20年間、アフガニスタンの冬の時期は、タリバンとの戦闘が下火になる時期と重なっている。

NRFは冬を乗り切れば、意思を共にする人々と結束して組織を拡大する時間を稼ぐことができ、春にはタリバンに対抗するための準備が整うと考えているだろう。

もし機会があれば、NRFは北のバダフシャーン州、タハール州、そしておそらくバグラーン州への領土拡大を計画するだろう。NRFの軍事力は限られているが、これら3つの州は主にタジク族のアフガニスタン人が住んでおり、NRFに同調する可能性が高いと見られる。重要なのは、これらの州を制圧することで、タジキスタンとの重要な経路が確保できることだ。中央アジアの国々の中で、タジキスタンはタリバンに最も批判的で、アフガニスタンのタジク民族コミュニティを最も支持している。

長期的には、NRFはサラン峠トンネルやバグラム空軍基地などの戦略的拠点の奪還を試みる可能性がある。現在のNRFにそのような人材や軍事力があるとは思えないが、目的の一つであることは間違いないだろう。パンジシール渓谷は、アフガニスタン北部と南部を結ぶヒンドゥークシュ山脈の主要ルートであるサラン峠トンネルに近い。バグラム空軍基地を攻略することは、象徴的な目的、実用的な目的の両方を果たすことになる。象徴的な目的とは、バグラムが20年間アフガニスタンにおける米軍の活動の中心地であったことであり、実用的な目的とは、バグラムがNRFに外界への空路を与えることである。

NRFは今、殲滅戦に執念を燃やす敵に対して絶望的な状況に直面している。NRFはまた、国際社会、特にアメリカから見捨てられたと感じている。バイデン政権では、今の所アフガニスタンの状況を改善するための政策オプションはほぼ存在しない。しかし、国際社会がNRFを支援するためにできる最も直接的な方法は、タリバンをアフガニスタンの合法的な政府として認めないことである。現在の、タリバンによる暫定政府の状況を見る限りでは、国際社会が彼らの政権を承認することは考えられないだろう。

タリバンが権力を握ることは、国際社会の利益にはならない。パンジシールで抵抗運動が起こり、タリバンがカブールを支配していることで、アフガニスタンと国際社会は1990年代半ばに直面した、同様の状況に戻っている。

タリバンの支配が困難なアフガニスタンの各地で、他の抵抗運動が生まれることはほぼ必然的だ。しかし今のところ、抵抗勢力はNRFだけだ。これからの数ヶ月間で、この勢力が及ぼす影響が明らかになるだろう。

  • ルーク・コフィーはヘリテージ財団ダグラス&サラ・アリソン外交政策センターの所長。Twitter: @LukeDCoffey
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