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カタールのトルコ軍基地:どこを敵視?

アンカラでの会談中にてカタール副首相兼外務大臣ムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニ(左)と握手するトルコ外務大臣メヴリュット・チャヴシュオール(右)。(ファイル/AFP)
アンカラでの会談中にてカタール副首相兼外務大臣ムハンマド・ビン・アブドルラフマン・アール・サーニ(左)と握手するトルコ外務大臣メヴリュット・チャヴシュオール(右)。(ファイル/AFP)
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14 Aug 2019 01:08:09 GMT9

「目の前には敵、後ろは海だ!」これは紀元前711年にイスラム軍将軍タリク・ビン・ジヤドがアンダルシアを征服した際の有名な発言ではない。しかし今回この一句を放ったのはカタールでの軍事基地の建設を監督するトルコ軍の司令官だ。

ここで言う敵とは明らかにサウジアラビアおよび湾岸諸国を指すようで、彼の後ろには荒々しいアラビア湾があるだけだ。

この基地はサウジアラビアおよびイランからカタールを守るというメリットはもたらさず、今なお続くカタールの矛盾を反映している。ドーハはテヘランやワシントン、アンカラとは逆の方向へと走り続けている。

この要塞は収容兵士数2,000人に満たないであろう小さな案山子で、トルコはその危機的な瞬間を援護できるような軍事大国ではない。地域では軍事的後方支援も限られており、湾内に軍艦もなく、空路での物資はイラクまたはイランの承諾がなくては送れず、陸の回廊もない。使命のない基地である、アンカラが湾岸諸国との未来の戦争に備えてテヘランと同盟を結ばない限りは。そしてカタールには米軍基地が2つあるため、それも不可能である。

アル・ウデイドとアッサイリヤの基地を地域の戦争の管理のために利用するアメリカと異なり、トルコ軍の存在は政治的アピールに過ぎずカタール人に負担を強いるものである。高くつく同盟関係だが、同地域のムスリム同胞団のような組織を支援するカタールのプロパガンダには適合する。

ドーハとアンカラの特別な関係は最高の状態にあるとは言い難い。カタールにはトルコを政治的・軍事的に地域大国にすることで同国の欠落を埋めるという野望があった。トルコにイランのような強力な冒険者になってもらいたかったのだ。リヤドやカイロ、バグダッド、ベイルートでの影響力を共有するために。

トルコはシリアに変化をもたらすことを約束したが、イランやロシアのように軍事介入を行わなかったため失敗した。ムスリム同胞団がエジプトで転覆された時も支援せず、逃亡メンバーに亡命を要求した。リビヤへの介入は包囲され、スーダンからは完全に去った。

アンカラとワシントンとの関係を損ねた深刻な敵意により、ドーハの賭けにおける後退はさらに強まった。アンカラは政治的に弱体化し、カタールの財政上の損失はトルコの経済および為替状況の悪化により巨大なものとなった。

この関係はアンカラにとって悪いものであった。カタールとの同盟関係のせいで、トルコは中東における最重要な市場をほとんど失った:サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、そしてアラブ世界の半分以上だ。

今後数週間にかけてカタールのトルコ軍の存在感があばら屋から基地のそれへと向上すれば、その特徴もはっきりしてくるだろう。大した変化をもたらすことは想像できない、アール・サーニ一族の権力を国内の課題から守る程度のことくらいしか。これは諸刃の剣だ。アンカラの同盟関係は国内でも国外でも常に変わってきた。

この記事を締めくくるにあたり、件のトルコ軍司令官がカタール人に話さなかった、タリク・ビン・ジヤド将軍のもう一つの有名なスピーチを付け加えたい。ゴート族との戦いに備えながら部下たちに語ったものだ。「覚えておけ、この国の諸君は強欲な主人のテーブルに同席する孤児よりも不幸だ」

アブドゥルラーマン・アル・ラシードはベテランのコラムニストである。ニュースチャンネルのアル・アラビーヤにて元ジェネラルマネージャー、アシャラ・アル・アウサトにて元編集長を務めた。Twitter: @aalrashed

https://www.arabnews.com/node/1540916

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