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パレスチナ人を標的にすることが、ネタニヤフ再選への唯一の道

05 Dec 2019
ネタニヤフは、ほとんどすべての選挙において、反パレスチナ的な恐怖を広めることによって支持者を集めてきた。(AFP)
ネタニヤフは、ほとんどすべての選挙において、反パレスチナ的な恐怖を広めることによって支持者を集めてきた。(AFP)

イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、選挙で危うい立場に立たされるたび――彼は今年2度の選挙を経験したが――、最後には解決策としてガザ地区とヨルダン川西岸地区のパレスチナ人に頼るところに落ち着く。もちろん、彼は間違った理由のためにそうしている。

ネタニヤフはパレスチナ人を同等に扱おうとはしていない。イスラエルは武力で国家が樹立されて以来、非ユダヤ系の市民を平等に扱ってこなかった。いや、ネタニヤフは――他の右翼政治指導者と同様――再選されるに足る得票を集められるよう、考えの似たレイシストたちの熱情を煽るべく、パレスチナ人に対する軍事攻撃、襲撃、標的を定めた暗殺、暴力を命令して、パレスチナ人を大砲の餌食として用いている。

イスラエルは今年4月と9月に議会の選挙を行ったが、2度にわたって新政府を組織することに失敗している。イスラエルは分断されているが、不運にもそれは、分断されるべき問題について分断されているのではない。代わりに、イスラエルの多数派であるユダヤ系の有権者は、誰がアラブに対してより強硬であるかについて分断されているのだ。

はじめに、イスラエル政府の議会制度について理解する必要がある。イスラエルはこの種の政府を用いて、大統領よりもむしろ、政党連合と首相に権力を与えている。イスラエルにはルーベン・リブリンという大統領がいるが、彼は名目上の長である。本当の指導者は首相であり、首相の率いる連立政権がクネセトの120議席の多数派を支配する。

ネタニヤフは、ほとんどすべての選挙において、反パレスチナ的な恐怖を広めることによって支持者を集めてきた。それは過去にはとても上手くいき、ネタニヤフが自信過剰になるほどだった。ネタニヤフの権力は崩壊したのは、連立政権のたったひとりのメンバー、当時のアヴィグドール・リーベルマン防衛大臣が、保守的で敬虔なユダヤ人はイスラエル軍への従軍を強制されるべきだと提起したときだった。ネタニヤフはこの問題について2018年12月4日に政府を解散し、新しく信任されることを望んで4月の選挙実施を命じた。

ネタニヤフがイスラエルを拙速な選挙に突入させたことには、またもっと他の個人的な理由があった。彼はイスラエルの司法省から汚職容疑で捜査を受けていたのだ。こういうわけで、リーベルマンは長く首相を務めるネタニヤフの権力を削ぎたくて、徴兵制度の変更を提案したのかもしれない。

ネタニヤフは4月の選挙の結果に衝撃を受けた。彼の属する右翼政党・リクードは、ベニー・ガンツ率いる中道寄りの党と引き分けになった。2度目の選挙のスケジュールが続いて設定され、今度は9月17日となった。ガンツはこの選挙ではいっそう好得票を得て、ネタニヤフ率いる党の32議席に対し、33議席を獲得した。しかし、またしても双方が、少なくとも61議席を支配することが必要な連立政権の樹立に失敗した。

ネタニヤフは、ほとんどすべての選挙において、反パレスチナ的な恐怖を広めることによって支持者を集めてきた。

レイ・ハナニア

先月、ネタニヤフは正式に収賄・詐欺・背信の疑いで起訴された。いまやネタニヤフはこれまで以上に、勝つ必要がある。彼は再選された暁には、自身の起訴を免除する法律を成立させることができることを望んでいる。

問題のひとつは、小さいが重要なわずかの数の議席を占めるアラブ系政党を巻き込むことなしには、ネタニヤフのライバルたちは連立政権を樹立できないということだ。ガンツがアラブ系政党と連立を組むことに言及したことで、ネタニヤフとその味方らは彼を裏切り者と呼ぶこととなった。ネタニヤフは数回にわたって、アラブ人の町の投票所内にカメラを仕掛けたり、アラブ人は投票で国を乗っ取ろうとしていると警告したりすることによって、アラブ人による投票を抑えようとしてきた。このことは、ガンツによるアラブ系政党との連立の正式決定を妨げるに十分だった。

焦点はいまやパレスチナ人たちだ。もし人口の20%を占めるパレスチナ人が全力を出して投票すれば、彼らは24議席を獲得することができ、次の政府を組織する強力な役割を彼らに与えることができるはずだ。不運にも、離散している多くの活動家たちはパレスチナ人らに対してイスラエルの選挙をボイコットするよう促してきた。そのような拒絶主義がパレスチナ人の権利を削ぎ続ける破綻した戦略であるにもかかわらずだ。

ネタニヤフは、パレスチナ人コミュニティの機能不全に加え、パレスチナ人たちが権力を掌握することに対する恐れを自身の支持を固めるのに利用することができるということを知っている。そして彼はそれを躊躇うことなく行ってきた。9月の選挙での勝利を逸したネタニヤフは、パレスチナ人の標的に対する攻撃を増大させてきた。彼はガザ地区のとあるパレスチナ人闘士の暗殺を命令して、そのことが行ったり来たりの闘争を引き起こした。イスラエル政府はこの闘争を利用して市民センターへのミサイル攻撃を行い、数十人を殺害、数百人に怪我を負わせた。

選挙の勝利に2回失敗し、そして有罪判決と投獄の可能性に直面している首相は、これまでよりもいっそう必死になっている。どうしてネタニヤフは、イスラエルをよりいっそう悪い紛争の道に引きずることで、権力に留まろうとしないと言えるだろうか。占領地域のパレスチナ人を対象とした暴力の増大は、違法かつ人種差別的なユダヤ人のみの集落の数の増大とともに、ネタニヤフ再選への唯一の道である。今回、彼がどれほどの暴力をパレスチナ人に対して働くかについて、限度は無いだろう。これまでの彼の行動は、ずっと彼がそのような道を歩んでいることを示している。

唯一の望みは、ガンツが勇気を出して正しいことをすることだが、その一方でパレスチナ人は、ボイコットすべきという声を拒否して次の選挙で投票に押し寄せなければならない。アラブ系政党がクネセトの24議席という魔法の数字に近づけば近づくほど、平和とパレスチナ人国家が現実のものとなる可能性が高くなるだろう。

レイ・ハナニアは、賞を獲得した元シカゴ市役所政治記者で、コラムニスト。彼には彼の個人Webサイト(www.Hanania.com)で連絡をとることが可能。Twitter:@RayHanania

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